奥野和憲

作曲家。自分がオモシロイと思うことや疑問を発信しています。2021年7月ベルギーの音楽…

奥野和憲

作曲家。自分がオモシロイと思うことや疑問を発信しています。2021年7月ベルギーの音楽レーベルよりアルバムをリリース。2021年三重とこわか国体テーマソング。 YouTube→https://youtube.com/channel/UCw5s3rZBNpcXuIuCGfHc9RQ

マガジン

  • アイヌの伝統楽器ムックリ

    アイヌの伝統楽器ムックリについて、私的見解を展開しています。不勉強については何卒ご容赦を。

  • 音楽と心理の交差点

    臨床心理士の山本裕真と音楽研究家の奥野和憲による雑談配信。心理学と音楽を軸に様々な事柄についてゆる〜く話しています。

最近の記事

豆腐とファゴットと私

ここ最近、豆腐を作りたいと思っている とりあえず手頃な「豆腐作りキット」なるもので挑戦しようか考え中である 僕は豆腐が好きではない 鍋に入っている豆腐など、一切手をつけない が、しかし はっきりと嫌いと言えるほど、かたくなに食べないわけでもなく 麻婆豆腐であれば、豆腐以外は大好きなので 豆腐が入っていることは我慢して食べる 程度には食べる では、なぜ豆腐をつくりたいのか ひょっとすると本当においしい豆腐を食べたことがないのではないか? という素朴な疑問がわいたからだ

    • まみれた男の話 ーベートーベン編ー

      来る1月22日(土)、大阪の島本町にある 長谷川書店(水無瀬駅前店)さんにて、ベートーベンのトークイベントをさせて頂くこととなりました。 昨年の夏、ひたすらベートーベンについて調べていたわけですが、そんな話を訪店するたびにお店のスタッフに話していたところ、「その話を店で話さないか?」というご提案を頂いたという流れ ベートーベンの話というよりも、僕がベートーベンのどこに惹かれたのか? という話をするというベートーベンの話のようでベートーベンの話ではない僕の話(笑) とはい

      • 僕とベートーベンの夏休み

        始まりは6月のある日、「ベートーベンとはどういう人なのだろう?」と特にキッカケもなく思った 特定の音楽家にとってベートーベンは避けては通れない偉人であり、ベートーベンの音楽を聴いたことがないということはありえない もちろん、僕も例外なくベートーベンの音楽は全てではないにしても聴いていたし、何曲かは学生時代に分析もしている ドイツのベートーベンハウスにも行ったことがある そういった意味ではベートーベンに関する最低限の知識は持ち合わせるわけだが、人格についてはエピソード程度

        • ベートーベンを売った男・シントラー

          ベートーベンという人となりを世に知らしめたのは、ベートーベンの晩年に付き人をしてたアントン・シントラーという男だ この違和感しかない男について、僕なりの見解に触れておきたい シントラーは晩年にベートーベンの生涯という伝記を執筆したのだが、執筆にあたってベートーベンの貴重な資料である「会話帳」(晩年のベートーベンは耳が聞こえなかったため人と筆談を行っていた。当時、実際に使用されていた帳面や用紙)を改ざんしたという疑惑があり、とにもかくにも真実を捻じ曲げて書いているというのが

        豆腐とファゴットと私

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        • アイヌの伝統楽器ムックリ
          7本
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          16本

        記事

          醜男と呼ばれたベートーベン。AIが再現する本当のベートーベン

          アメリカのグラフィックアーティスト・ネイサンシプリー氏が自歴史上の人物の肖像画をAIによってリアルに再現し、自身のインスタグラムに投稿するという試みを行っている なんと、その中にベートーベンもいるのだ ベートーベンが醜男だったという話は有名だが、それは幼少期に患った天然痘の痕とアバタによるものらしい しかし、実際は音楽の才能のおかげでモテたらしい 当時、肖像画は天然痘の痕やアバタは描かないというのが暗黙のルールであった なので、天然痘の痕はどれくらい残っていたのかはわか

          醜男と呼ばれたベートーベン。AIが再現する本当のベートーベン

          晩年のベートーベン。彼は認知症だったのか?

          晩年のベートーベンについて、彼は認知症だったのではないか そういう疑念が浮かんだのは、甥のカルルを引き取って以降のベートーベンとカルルに関する記録を読み進めている時だった 頑固で変人、怒りっぽくていつも不機嫌な顔をしている ベートーベンにはこういうイメージはあるし、若い頃からそう思わせる言動や行動はたくさんある しかし、晩年のベートーベンは明らかにそれらとは違う異様さを感じずにはいられない 私ごとながら、家業が介護事業を行っていたため、介護の仕事を10年ほど手伝っていた期

          晩年のベートーベン。彼は認知症だったのか?

          ベートーベンとその甥カルル。

          カルル(カール)・ヴァン・ベートーヴェン 楽聖ベートーベンの甥っ子(弟の子)にして養子 ベートーベンの多くの伝記では不良として描かれていることが多い しかし、実際の彼は成績が優秀で優しい人物だったようである ベートーベンの伝記を知る人の多くの認識としては、弟が亡くなって養子として引き取ったカールに相当にスパルタな教育をしたことで、カールは耐えきれずに自殺未遂を図るというものだろう 9歳で実父を亡くし、ベートーベンの養子となるわけだが、母親とベートーベンによる親権争いは相

          ベートーベンとその甥カルル。

          受け継がれるベートーベンイズム。1、2、3、ダダダダーン!

          ピアノの教則本で有名なカール・チェルニー ベートーベンの愛弟子の一人 ベートーベンには二人のピアノの弟子がいた 現在もそうであるが、弟子になるというのには色々ないきさつがある もう一人の弟子フェルナント・リース ベートーベンと同郷のボン出身で、当時すでにウィーンで活躍していたベートーベンにリースの父親が手紙で入門を嘆願するもベートーベンは躊躇した これではダメだと思ったリースの父親がボンから片道切符でリース本人をベートーベンの元に行かせたことで仕方なしに弟子となった 押

          受け継がれるベートーベンイズム。1、2、3、ダダダダーン!

          ベートーベンとフリーメイソン

          ベートーベンがフリーメイソンだった説 正直、僕はどうでもよいのだが、ベートーベンだけではなくクラシック音楽を知る上ではフリーメイソンを避けて通れないので自分なりの考えをまとめてみたい ハイドンやモーツァルトがフリーメイソンであったことは有名だし、当時の多くの音楽家はフリーメイソンであった まずはっきりさせておきたいのは、フリーメイソンについて フリーメイソンは元々、城などを作る石工(石の大工)の組合で、これが時代とともに貴族や芸術家を会員として入会させて組織を拡大してい

          ベートーベンとフリーメイソン

          ベートーベンとコーヒー 番外編

          ベートーベンとコーヒーについて調べる過程で気になったことをここに書きたい そもそもコーヒーの歴史は、飲料というよりもその効能によって世界に伝播した カフェインである これは現代でもそうであるが、眠い時に飲むと目がさえるというもの コーヒーが飲まれ始めた時もそうであった イスラムの高僧がコーヒーを飲んだことで意識が集中でき、夜のは拝礼にも励むことができたことからイスラム教での飲用が許可されたらしい コーヒーを飲まないと夜の拝礼励めないって、、 自分に負けてるやん、、

          ベートーベンとコーヒー 番外編

          名選手で名監督。教師としてのベートーベン

          ベートーベンの幼馴染の息子であるゲールハルト・フォン・ブロイニングが自作曲をベートーベンに見てもらっ時のエピソード ベートーベンの晩年、少年だったブロイニングはベートーベンになつき、ベートーベンもまた「ずぼんのボタン」や「アーリエル」とあだ名をつけて可愛がっていた 尊敬するベートーベンのように曲を書きたいと思い立った少年ブロイニングは、曲を書き、勇気を持ってそれを死が間近に迫り床に伏せていたベートーベンに見て欲しいと願い出た その時の様子をこう語っている 「どんなもの

          名選手で名監督。教師としてのベートーベン

          癇癪持ちのベートーベン 彼の怒りとは?

          ベートーベンが癇癪持ちで怒りっぽい変人だったという話は有名だが これは彼の生徒のレッスンでの行いが大きく影響をしていると思われる しかし、その真意はいかに? カール・フリードリヒ・ヒルシュ(ベートーベンが対位法を習っていた音楽家の孫)の証言に 弟子に対して恐ろしく厳格で、間違いをおかしたりすると猛烈に腹を立てた。すると彼の顔は真っ赤になり、こめかみや額の静脈がみるみる怒張した。また機嫌が悪かったり、いらいらしている時には、この芸術の徒弟をしたたかにつねりあげた。それどころ

          癇癪持ちのベートーベン 彼の怒りとは?

          ベートーベンとコーヒー 60粒の真実  その4

          ベートーベンがパーコレーターを使ってコーヒーを沸かしていたことはほぼ間違いないとして、60粒説であるが これはズバリでっちあげと言っていいだろう あくまで想像だが、シンドラーが数えたに違いない カリスマのエピソードのために、せっせことコーヒー豆を数える姿を想像すると哀れとも健気とも感じてしまうところである (ひょっとしたら、ベートーベンは一度くらい数えてみたのかもしれないという可能性もあるのだけれど) シンドラーは著書の中で、ベートーベンは60粒を1粒も間違えることなく数

          ベートーベンとコーヒー 60粒の真実  その4

          ベートーベンとコーヒー 豆60粒の真実 その3

          ベートーベンは60粒のコーヒー豆をきっちり数えて入れていたという説 前回、僕実は16粒だったのではない?という仮説を立てたわけだが、これから検証していきたい はじめに、現在のコーヒーの入れ方について触れておこう 専用のスプーンに1杯(約10g)を120ccのお湯に抽出したものが標準とされている 専用のスプーン1杯だとこんな感じ そして、16粒を数えてみた これを専用のスプーンに入れるとこんな感じ ん? 少なくないっすか?? 次に60粒を数えてみた 専用のスプーン

          ベートーベンとコーヒー 豆60粒の真実 その3

          ベートーベンとコーヒー 豆60粒の真実 その2

          前回は、ベートーベンがコーヒーを沸かすのに使用した器具はパーコレーターだろうということを書いた さて、そのパーコレーターでコーヒー沸かしてみた 名付けて「ベートーベンコーヒー」(そのままやないかい!) その前に検証しておかなければならないことがある そう、豆60粒説である これは、ベートーベンの晩年の付き人、アントン・シンドラーの証言によるもので、ベートーベンの死後に発表されたシンドラーの著書はベートーベンという音楽家の素顔を世界に知らしめた しかし、ここ30年ほどの研

          ベートーベンとコーヒー 豆60粒の真実 その2

          ベートーベンとコーヒー 豆60粒の真実

          ベートーベンが大のコーヒ好きで、毎朝60粒の豆を数えて一杯のコーヒーを入れていたというエピソードは有名である ちなみにこれは、ベートーベンの晩年に付き人をしていたアントン・シンドラーがベートーベンの死後に発表したベートーベンの伝記の中に書かれている さて、ベートーベンとコーヒーの話は大変興味深いことが多い 今回はコーヒーを通してベートーベンという人をみていきたい まず、ベートーベンとコーヒーについての記録について紹介する ① ウィーンのホルン奏者・フリードリヒ・シュタ

          ベートーベンとコーヒー 豆60粒の真実