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浅香唯さんと僕たちの物語。

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「浅香唯」さんと、文字を打つと僕のテンションが上がります。僕たちの生活に、浅香唯。
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続「浅香唯のドリームビリーバー 」番組ステッカーを夢見る日常。

続「浅香唯のドリームビリーバー 」番組ステッカーを夢見る日常。

【今までのあらすじ】

ラジオに初めて送ったメッセージが浅香唯さんに読まれ、ペンネーム「奥田庵」となった僕は、全ての活動ネームを奥田庵に変えた。
その後、楽しくラジオを聴いていた六月。新たに「番組ステッカー制度」が開始される。番組でメッセージが読まれた人の中から一名にだけ浅香唯さんがペンネーム、もしくは本名など、「書いてもらいたい名前」をステッカーに記入してくれるという企画。僕は、「奥田庵」になる

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覚醒【短編小説】

覚醒【短編小説】

ある日唐突に覚醒した。

「ん?」

唐突すぎて笑ってしまった。
浅香唯の「幸せの色」を聴き終わり、「愛の元気主義(1989ライブ版)」が始まってすぐに覚醒したのがわかった。
浅香唯が、観客に「みんな元気?!」と、呼びかけたところだ。
場所は、東海道線の茅ヶ崎と辻堂の間。

「ヤバっ」
と、思わず声が出た。

覚醒とは?

突然、視界が広がり頭の中がクリアになった感覚。
色々と体中にへばりついてい

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歩ける気分【短編小説】

歩ける気分【短編小説】

昨日の帰り、バスが来るまで少し時間があった。
まだ夕焼け。
暑さも和らぎ心地良い涼しさ。

歩いちゃおうっかな。
と、次のバス停まで歩くことに。
スマホで音楽を聴きながらトコトコトコトコ。
腕を振りながら「健康になっていく」気がする自分に嬉しくなる。
もっと腕を振りつつ、足を出すとき腰を少しひねったり。

ああ、これから歩いて帰ることにしようかな。
なんて、気持ちも舞い上がる。
一つ目のバス停を越

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インドアカレー【短編小説】

インドアカレー【短編小説】

電車が事故で止まってるらしい。
僕は帰るのを諦めて、なにかしら適当なものを食べて、ネットカフェにでも泊まってしまおうかと考えていた。

タクシー待ちの人の列。
改札に溜まる人混み。

とにかく駅から離れる。
しばらくすると、人の気配もなくなり、街灯の光すら弱い静かな道へと出た。

ふと、カレーの匂い。
少し先に、カレー屋の看板が見えた。
簡易的な看板。A4ぐらいの大きさで、丸文字の手書きで「インド

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カレーなる浅香唯【短編小説】

カレーなる浅香唯【短編小説】

黄昏。
漠然とした喪失感。

「……」

やる気が出なくて焦っている。
そういう気持ちは心地良くない。
焦らなくていい。
休んだほうがいい。

「……カレーかな」

玉ねぎ、トマト缶、鶏肉。
赤缶カレー粉、ヨーグルト、蜂蜜、ブイヨン、コンソメ、ウスターソース、バター。
を用意する。

「考えるな」
と、小さく呟く。

テレビをつけ、YouTubeを見られるようにして、浅香唯のライブを流す。

「…

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曲。

曲。

久々にジュリマリを聴く。
JUDY AND MARY。
YUKIがボーカル。

「Over Drive」を。スマホですぐに買える。
で、尾崎豊も買う。
「汚れた絆」
懐かしいーっと、脳がシュワーっとする。

小沢健二の新曲も買う。
「運命、というかUFOに」

で、空。
いい天気。

バンドに青春に、新曲。

さて、満足した。

と、浅香唯に戻る。
「GO! GO! 90'S」から。

うんうん。

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おじさんはドキドキしたくない。【短編小説】

おじさんはドキドキしたくない。【短編小説】

私はおじさん。
貯金はほぼない。

金のないおじさんは、誰にも相手なされない。
自由な存在。
ただただ、余計なことに巻き込まれないように、日々静かに過ごしている。

ひとけのない公園に行きスマホで浅香唯を聴きながら今日の平穏に胸を撫で下ろし、静かに自分を称える。

よくやってる。
今日も頑張った。
お昼は食べないで500円節約した。
誰も見ていなくても自分なりの努力。
それで良いのさ。

「Bel

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ある老人の依頼。【短編小説】

ある老人の依頼。【短編小説】

宣伝用の動画を作ってほしいと依頼があり13時にその老人の家へ着いた。

車が1台分しか通れない狭い道を抜け、空き地を2つ挟んだ場所にその家はあった。少し壁にひび割れはあるが、どこにでもあるような一軒家。

インターフォンを押すと、老人が顔を出した。
眼光が鋭いが、特段威圧的でもない、白髪の短髪、紺のシャツにスエットパンツ。
「ご苦労様です」
と、僕に言った。
「よろしくお願いします」

居間へ案内

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誰かのためという「快楽」について。【短編小説】

誰かのためという「快楽」について。【短編小説】

仕事帰り。
打ち合わせ終わり。
駅のホームでスチールカメラマンと電車を待っていると、反対ホームでこちらを見ている若い女性がいる。
凄い見ている。
刺すような視線で睨んでいる。

「……」
「……娘です」
と、スチールカメラマンが小さな声で言った。
「怒ってませんか?」
「ええ」

反対ホームに電車が入ってくる。
乗客の出入りがあり、電車が発車。
ホームには、まだスチールカメラマンの娘が立ったまま。

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