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夫婦で鮨という自由 (2)

✳︎1つ前のnoteのつづきです
https://note.mu/okariday/n/n1f7e00209a34

金沢へ着くまでに、寿司屋とホテルは予約しておいた。列車の乗り換えをしながら、有名店と呼ばれる寿司屋を上から順番に電話していく。一昔前に営業をしていたから、電話掛けは苦にならない。100本くらいならかけられる。しかも、寿司のための電話!みなぎる!

だが、私のやる気は空回り、残念なことに寿司屋はどこも予約でいっぱいだった。階段を降りながら、トイレの順番を待ちながら、ストイックに掛け続けたのに。今夜、というワードだけで半笑いで断られる始末。ちーん。

金沢まで行って、回転寿司になっちゃったらどうしよう…
不安になって夫に相談したその時、金沢駅近くの 鮨きのしたさんで予約が取れた。ネットでは、能登産にこだわるコスパのよい町鮨と書いてあった。高級寿司と、回転寿司の間の町鮨。あれ、もしかして完璧じゃないか。

予約が20時なので、金沢駅近くのホテルにチェックインし、駅前のデパートをぶらぶらして、ゆっくりと向かう。路地裏の、小さな灯りが見えてくる。

ドキドキしながら、扉を押す。そこには、余裕のリラックス空間が広がっていた。カウンターには子連れの客、くつろぎ系の常連夫婦、そしてカウンター目の前にテレビ!拍子抜けするくらい、カジュアル。

メニューには金額が書いていないけれど、おまかせはひとり6000円から。やすーい。高級寿司屋に電話を掛けすぎて麻痺してるので、とりあえずそれをお願いする。あとはビール、ワイン。

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ゆっくり、順番に、つまみがやってくる。
あぁ、こういうの。これ。求めてた。
せりの和え物、いわしのぬた和え、あん肝や蒸し鮹。そして、焼き白子。

ワインから日本酒に切り替えて、ちびちびと飲む。すべてが美味しい。困惑する。いつも口にしているものとは、次元が違う。

目の前のテレビではバラエティ番組がやっているし、夫婦でのおしゃべりも普段通りのしょうもない話なんだけど、美味しいものを体に入れて、私はどんどん元気になる。

いつもはついボロックソに文句を言ってしまうけど、ここに連れて来て(ついてきて)くれた夫には感謝しかない。愛情がフルチャージされていく。

写真を撮り忘れたけれど、このあとたらの芽や安納芋の天ぷらもいただいた。あつあつを、塩で。

そうして、お寿司を握ってもらった。
緑の大きな葉に、ひとつずつ美しい寿司が置かれていく。

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美しすぎる。

よく、シャリがふうわりとほぐれる、みたいな表現がされるけど、ああ〜これか〜と舌が意味を理解した。シャリとネタが、柔らかく丸く一緒になって、ほぐれていく。不思議だ。こんなことなら、もっとお腹を空かせておけば良かった。

どれも眉間にシワがよるくらい美味しかったけれど、バッテラと赤貝が格別だった。大切に咀嚼しながら、もう誰も喋らないで、私をひとりにして、という気持ちになった。

近くに座っていた常連さんが、夫の優しさを褒めてくれる。(そして奥さんはたぶん性格がキツいと言われる。…正解!)翌朝の散歩ルートについておすすめまで教えてもらい、行きます行きますと約束して、お会計した。2時間も居座って、お腹いっぱい食べて、お会計は予算の半分で済んでしまった。

はじめは金沢おでんを食べにもう一軒行こうかと言っていたけど、もう満足。余韻を残したまま、手を繋いで来た道を戻り、ゆっくりお風呂に浸かって眠った。

夫婦ふたりで、ほんとうに金沢で鮨を食べることが出来た。今年はこういう、小さな挑戦をしたい。諦めないで、心躍る時間を創りたい。

(おわり)

*おまけの翌日編はこちら
https://note.mu/okariday/n/n4631e8d76ecf

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