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性格と遺伝子

今回は性格傾向を遺伝子の視点から指導に関するエビデンスを概観してみようと思います。
先週は店主都合でお休みしました。最近お休みばかりでご迷惑をお掛けしています。
今回もどうぞよろしくお願いします。

もくじ
1.性格傾向 
2.遺伝子との関係
3.つまりは?

1.性格傾向 

近年理学療法士は様々な分野で活躍できるようになってきました。
人々の身体的活動の問題に医学的な視点でアプローチしていきます。それが理学療法士の根幹といっても良いと思います。
医学の指標は言わずもがなエビデンスが重視されます。
経験ももちろん大切ですが、経験を裏付けるためのエビデンスも大切となってきます。

人が人に対して理学療法を施し、人が人に理学療法を指導します。
前者はまさに医学的な視点でのエビデンスです。後者は各自の経験値で行うことが多く、これには個人の性格的な一面の関与が大きく反映されると感じています。

性格的な一面とは、つまりいわゆる性格のことです。
ここでは性格傾向として取り扱います。

性格傾向を調べる指標の一つについて以下の論文に示されています。

岩佐 一 著 中高年者における「日本語版 Ten-Item Personality Inventory」(TIPI-J)の標準値ならびに性差・年齢差の検討 日本公衆衛生雑誌 2018; 65(7): 356–363.

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この論文によると、「ビッグファイブ理論」(Big five personality theory)に基づく性格検査が様々な研究に用いられている。ビッグファイブ理論では,性格は 5 つの主要な特性(神経症傾向,外向性,開放性,協調性,勤勉性)に分類されている。神経症傾向の高い者は,情緒不安定でストレスに対して脆弱である。外向性の高い者は,社交的,楽観主義的である。開放性の高い者は,既存の価値観に縛られず,知的好奇心の高い特性を持つ。協調性の高い者は,他者との協調を好み利他的行動傾向が強い。勤勉性の高い者は,自己統制感が強く自己鍛錬を好む特徴を持つ。

と紹介されています。
人が人を指導する際のエビデンスを確立させる必要があります。
そのための論理的な解釈の一つに、この「ビッグファイブ理論」が役立てるのではないかと私は考えています。


2.遺伝子との関係

では、この性格傾向とはどのように規定されていくのか?という疑問にぶつかります。
いわゆる個人が持つ「性格」の決定因子はなんなのか?
これが解決できたら、より良い性格に生まれ変わったり、自分自身の性格を強みに変えて仕事にもプライベートにも生かすことができるかもしれません。

そこで行き着く先は「遺伝子」という発想に突き当たりました。
性格傾向と遺伝子には何かの関係性があるのでしょうか?

その答えの一つになりそうなことが以下の本に示されていましたので紹介します。

小出剛 著 行動や性格の遺伝子を探すーマウスの行動遺伝学入門ー 裳華房 2018

「性格にはビックファイブと呼ばれる5つの因子があることが知られていますが、それらについても遺伝的因子の寄与率が調べられています。外向性は56%、神経症傾向は52%、誠実性は53%、調和性は42%、開放性は53%と、いずれも50%前後の寄与率を示すことが分かっています」

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図に示されているように、遺伝的要因と環境的要因の組み合わせであることが分かります。
つまり、個人の性格は、遺伝的要因と環境的要因の組み合わせによって、ある程度決定されるということが言えるかもしれません。


3.つまりは?

個人の性格は、遺伝的要因と環境的要因の組み合わせにより、ある程度決定されるということが文献から示唆されました。

つまりは・・・
噛み砕いて簡単に表現してしまえば、「個人の性格は、半分は遺伝、半分は環境の要因によって決まる」ということでしょうか。

以下の論文にはこのようにも示され、性格と遺伝子にまつわる論争の奥深さが分かります。

浮田徹嗣 著 性格に与える遺伝的要因と環境的要因に関する考察─心的現実の再発見─
横浜市立大学論叢人文科学系列 2015:Vol.66 No.3 23-39.

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「パーソナリティというのはペルソナ(仮面)を語源とする言葉で、場面に応じて変わりうるという含意のある用語であり、それに対しキャラクターというのは、クルトゥール(彫り込まれたもの)を語源とする言葉で、一生を通じてほとんど変わらないという含意がある
とされている」

「つまり、性格というのはその人の中に内在する特性ではなくて、その人の人間関係に映し出される幻影にすぎない。・・・性格とは、その人と他者との間で起きる事象全体が帯びる特性である。・・・対人関係を抜きに、性格を判断することはできまい」

「遺伝子は変えることができなくても、 過去の経験は変えることができなくても、現在の対人関係に関する認識の仕方(実際の人間関係のあり方を含めて)を変えることができれば、性格や行動の仕方は変わるのである」

「人間の性格を考える際には、まわりの人との関係や、その人が抱いている対人関係にまつわる空想を考慮しなければならないだろう。結局、性格を個人に内在する属性としてとらえることには、かなりの無理があると考えざるを得ない」

性格と遺伝子の話し・・・
教育管理分野の世界ではどのように解釈され、どのようにエビデンスとして構築化されるべきでしょうか。指導に関するエビデンス・・・
自身の研究は続きます・・・


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