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12位→2位に急浮上した「ミドルマネジャーに求められる能力」とは何か?

毎年実施されている「ミドルマネジャーの人事実態調査」。

この調査では、ミドルマネジャーの能力開発ニーズも対象になっていますが、2023年に入って急遽上位ランクしたスキルがあります。

それは、何なのでしょうか?


「職場の構想を描く力」が12位から2位に急浮上!?


その能力とは「職場の構想(ミッションやビジョン)を描く力」です。前回調査(2018)では12位でしたが、今回の調査(以下Webサイト参照)では2位に急浮上しています。

同一のものかどうか定かではありませんが、2020年調査(参考:日本企業のミドルマネージャー調査報告書(2))でも4位にランクインしており、じわじわとそのニーズが高まっていることが伺えます。


ところで「職場の構想を描く力」とはどういうものなのでしょうか?

本調査を実施した産業能率大学さんのレポートには詳細の説明が見当たりませんでしたが、ひとつの解釈として「自身が率いるチームのミッションやビジョンなどを明確に示す力」と言えそうです。

具体的には、会社としてのミッション、ビジョン、パーパスを踏まえ、組織全体における自身のチームの役割と方向性を明確に示し、チームメンバーに対して納得・共感してもらえるように伝える力です。


なぜ、今「職場の構想を描く力」の能力開発ニーズが高まった?


さて、ここでふと気になるのは、この数年で「職場の構想を描く力」の能力開発ニーズが高まった理由です。

なぜ急に「職場の構想を描く力」が上位ランクインしたのでしょうか?

その理由はさまざま考えられますが、ひとつは企業経営において「エンゲージメント」が重要視されるようになったことがありそうです。

エンゲージメントとは、従業員が会社に対して愛着心や思い入れを持ち、組織と個人がお互い成長に貢献し合う関係のことを言います。このエンゲージメントが高い組織は、営業利益率や労働生産性に良い影響を及ぼすことが明らかになりました。そして、そのエンゲージメントを高める鍵は、現場と日々接点を持つ管理者、つまりミドルマネジャーにかかっています。

では、現場のエンゲージメントはどう高めれば良いのでしょうか? ひとつは明確なビジョンを示すことと言われています。メンバーが自分の仕事にエンゲージメントを感じてもらうには、その仕事がどのように貢献しているのかを理解する必要があります。そのため、ミドルマネジャーがビジョンやミッションを明確に伝えることは、エンゲージメントを高めるために非常に重要なのです。


「職場の構想を描く力」が重視される他の理由として、現在が昨今の変化の激しい環境であることも影響していそうです。

環境変化の激しい今の時代、会社全体として方向性を示すことは当然のこと、現場単位でも同様に方向性を明確に示し続ける必要性があります。というのも、会社全体の方向性は現場から見ると遠く感じられることがあるためです。頭では理解できていても、その距離感から日々の行動や意思決定に対する引き寄せが難しく、迷いが生じることがあります。

会社を取り巻く環境が日々変わるように、チームにおいても置かれた状況は変化し続けます。それはチームの仕事の根幹を揺るがすものから些細な変更までさまざまです。こうした変化がある中で安定的にチーム運営を行うには、ミドルマネジャーが方向性を示し、判断基準を明確にしておくことは極めて重要です。日々の意思決定や優先順位付けにも、マネジャーがビジョンやミッションなどを策定することは重要と言えるでしょう。


ほかにも従業員のモチベーション向上やチームの一体感醸成など、「職場の構想を描く力」が上位ランクした背景や理由はさまざま挙げられそうです。

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