久米正雄ーその人と文学ー蛍草を廻って
久米正雄。明治24年に長野県で生まれる。8歳で教員だった父を亡くし、母の生まれ故郷の福島県へ。相当に優秀であったようで、一高(現在の東京大学)に無試験の推薦入試で合格。同級生には芥川龍之介、菊池寛、山本有三らなどがいた。早熟な文才の人物で、中学時代に書いた俳句で大人たちをざわつかせた。一高入学後も学生記者として新聞に寄稿文を連載、校内の機関紙に初めて書いた戯曲を載せればプロの演出家の目に留まって上演されるなどしている。卒業後は経済的な事情から主に新聞や雑誌に大衆小説を書いて人