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日常雑感

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日常生活の中でふと頭に浮かんだことを雑記としてまとめています。
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#ことば

ウクライナ侵攻のニュースで思うこと

 このところウクライナ侵攻のニュースにくぎ付けになっている。仕事中もネットラジオやニュース専門局のライブストリーミングを流しっぱなしにしている。

 21世紀のこの時代に、あのような前近代的な戦争行為が実際に起こることには驚くほかない。

 テレビのニュース番組の中で "NATO" についての解説がたびたびなされている。その昔、西側諸国の軍事同盟である「北大西洋条約機構(NATO)」と旧ソ連を中心

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名前が出てこないだけ?

名前が出てこないだけ?

 いつのころからかよくわからないが、広告で見かけるタレントの名前が表示されなくなった。昔はどうだっかわからないが、つい最近まで、タレントの写真があると、その横に小さくその人の名前が表示されていた。気づいていた人は少ないとは思うが。

 理由はよくわからない。肖像権を尊重するということなら、以前は名前が表示されていたのに、今では表示されなくなったことが説明できない。普通に考えれば、昔よりも今の方が

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"海外" という言葉に感じる違和感

"海外" という言葉を聞くといろいろな思いが浮かんでくる。

会社員時代、ある物品をドイツからフランスに陸上輸送するプロジェクトにかかわったことがある。そのプロジェクトの契約件名の中に「海外輸送」という用語が入っていた。ある大組織の担当者との打ち合わせの際に、ドイツとフランスは地続きなのだから、「海外」へ輸送する、という言い方はおかしくないかと聞いてみた。その担当者曰く、たしかにそうだけど、すでに

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"ear" と "year" の発音

翻訳の仕事で英語の読み書きはずっとやっている。しかし英語を話したり、聞いたりする機会はほとんどない。だからいわゆる「英語耳」は鍛えられていない。今さら鍛えてもという気持ちもあるし、そもそもネイティブではないのだからという諦めの気持ちもある。

だから、"ear" と "year" は聞き分けられないし、よほど意識しないと言い分けられない。言うまでもなく、まったく別の意味をもつ単語だから、聞き分けや

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コンセッションとホワイエ

ときどき映画館に行く。館内案内図などで「コンセッション」と書いてある。何だろう?と思いながら行ってみると、そこにあるのはテイクアウトの店。そう。映画館の入場口の近くにあって、ポップコーンや飲み物などを売っているお店だ。

普段いきなり「コンセッション」なんて言われても、たぶんほとんどの人は何のことかわからないだろう。なぜ「売店」ではだめなのだろうと思うが、飲食物を売るコーナーとは別に映画のパンフレ

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米国議会襲撃事件に関するニュース用語

米国の国会議事堂襲撃事件があった頃から現地のニュースをネットで観たり聞いたりすることが多くなった。やはり気になる。米国の大手ニュースネットワークではライブでニュースを配信しているところがいくつかある。

トランプ氏から「フェイクニュース!」と攻撃されていた側は、ここぞとばかり一刻も早くトランプ氏を追い出したいという願望のこもった論調のニュースになる。一方、保守的な論調のニュースサイトでは、バイデン

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首相と監督

たまたま英文ニュースを見ていて、"German Chancellor Merkel..." (「ドイツのメルケル首相は...」)という見出しを見かけた。そうだった。ドイツの首相は "prime minister" ではなく "chancellor" というのを思い出した。

久しぶりにドイツ語の辞書を取り出してきて調べてみる。首相はドイツ語で "Bundeskanzler"。この中の "kanzl

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「すぎる」が多すぎる?

このところよく目にする言い回し「~~すぎる〇〇」が何となく気になる。

美しすぎる○○
美味しすぎる〇〇
楽しすぎる〇〇
......

「~~すぎる」からダメと後に続くのかと思いきや、そうではない。もっぱら誉め言葉として、「〇〇」のところを強調したいときに使う。

よく使われる強調表現「すごく」、「本当に」、「とても」、「超」などは強調したい言葉の前に付ける。それに対して、これは後ろに付けるとい

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「勝者と思われる」か「明白な勝者」か

米国の大統領選の結果に関する報道を見ていると、記事によって微妙なニュアンスの違いがあることに気づいた。

政権移行の予算執行にかかわる一般調達局がバイデン氏を "apparent winner" と認定したことを受けた記事だ。報道では、バイデン氏を「勝者と思われると判断」というという記事から、同氏の「勝利を正式に認定」や同氏が「明白な勝者」とまで書いた記事もある。かなり受ける感じが違う。

これは

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Playにはご注意

「遊ぶ」を意味する英語でまず頭に浮かぶのは "play" だろう。しかしこの単語は使い方が要注意だと思う。大人が遊ぶという場面で "play" を使うと別の意味にとられる恐れがあるからだ。日本語でも、大人が誰かと遊ぶという場面で、「〇〇とプレイする」とか言われると、ドキッとして変な想像をしてしまう人がいるだろう。英語にもそれに近い語感がある。

子どもが遊ぶのに "play" を使うのは全く問題は

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「百害あって一利なし」と「いいことずくめ」

「百害あって一利なし」ということばを聞くと警戒心が沸いてしまう。逆に「いいことずくめ」と聞くと本当かなと疑ってしまう。へそ曲がりなのかな?

百害はあるかもしれない。しかし利がまったくないことなんて世の中にまず存在しないと思っている。そもそもこのことばが発せられるような状況になった時点で、一利か二利か三利か知らないが何らかの利点があって物事が動き出しているということだろう。その動きを封じ込めたいと

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「夜には晴れるでしょう」と言われても...

天気予報でたまに耳にする表現、「夜には晴れるでしょう」には微妙な引っ掛かりを覚える。

天気用語には厳密な定義があるようだ。そのうえで公式の予報でアナウンスしているのだから、正しい言い方なのだろう。

「晴れ」ということばでほとんどの人が頭に描くのは、青空だろう。日も差しているはずだ。そもそもこの漢字の中には「日」も「青」も入っている。

だから引っ掛かる。

澄み切った夜空を表すのに「晴れ」以外

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アンガージュマン

翻訳の仕事をしていると、実務上よく出てくるのになかなか訳しにくい単語に出くわすことがある。英語の動詞 "engage(名詞形ではengagement)" もその一つだ。関与するとか、噛みあうといった意味なのだが、日本語にするとなかなかしっくりこないことが多い。

機械類のマニュアルなどの工学的な文書で、「歯車が噛みあう」というのはいい。しかし、人や集団などの関係性を表す場面では、約束や交わり、関与

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「せいぜい」頑張ってください

だいぶ前にテレビで観たオリンピック代表選手の壮行会だったか。時の首相が挨拶の中で、「せいぜい頑張ってください」というのを聞いて微妙な引っかかりを覚えた。

大急ぎで言い足すが、このことば遣いはまったく正しい。あらためて辞書を引くまでもなく、力の限り頑張ってほしいと言っているわけだから、何らいちゃもんをつける筋合いはない。しかし何だ、この違和感は。

日常生活で「せいぜい頑張れ」と言うのは、期待して

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