「百害あって一利なし」と「いいことずくめ」

「百害あって一利なし」ということばを聞くと警戒心が沸いてしまう。逆に「いいことずくめ」と聞くと本当かなと疑ってしまう。へそ曲がりなのかな?

百害はあるかもしれない。しかし利がまったくないことなんて世の中にまず存在しないと思っている。そもそもこのことばが発せられるような状況になった時点で、一利か二利か三利か知らないが何らかの利点があって物事が動き出しているということだろう。その動きを封じ込めたいと思っている側がこのことばを発することが多いのだと思う。だから百害でも千害でも万害でも不利な点はたくさん挙げるようとするが、利点については触れたくないという心理が働いてこの表現を使う。

これと対になる逆の意味になることば、つまり、「デメリットは一切ない」という意味の慣用語を探しているのだが、どうもいいのが思いつかない。自分の語彙力のなさを恥じながら強いて言えば、「いいことずくめ」かな。もしそんなにいいことばかりなら、議論することも悩むこともない。粛々と進めればよい。

どっちもどっちだと思う。

先日の住民投票で、推進側は「デメリットは一切ない」、反対側は「百害あって一利なし」と言い切っていた。それを聞いた時点でどちらにも与したくないという感情が沸いてしまった。投票権のない地域に住んでいるので部外者なのだが。どちらかを選べと言われたほうもさぞかし困ったことだろう。推進側も反対側も、こういった表現をした時点で議論を拒否すると宣言するのに等しいことに気づかなかったのだろうか。

やはりどっちもどっちだ。だから票が真っ二つに割れた。そう思っている。

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