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観察瞑想(マインドフルネス)の説明が、凄く分かり易い。 「自分」を浄化する坐禅入門 小池龍之介 (著)

本書『「自分」を浄化する坐禅入門』は、東京大学を卒業した僧侶 小池龍之介氏による書籍です。

観察瞑想(マインドフルネス瞑想)の、基本的な呼吸瞑想から、応用形のボディスキャン、その発展形までを、分かり易く・精細に解説した書籍です。著者はお坊さんですが、宗教的な儀式・思想を排除し、解説に徹しています。


本書は、瞑想の過程・経緯・結果に関わる「生の声・体験」を数多くしているという点で、更にはその具体的な瞑想方法を分かり易く、細かく具体的に記載しているという点で、特筆すべき価値をもちます。

2021年12月現時点で、マインドフルネスの啓蒙本は複数発刊されています。しかしながら、マインドフルネス瞑想を実践したことにより、具体的に〇〇という感覚があった・〇〇が変わったという、生の声・メリットを、著者の体験から記述した本は殆ど存在しないのです。具体的な瞑想方法も、殆どの本は半ページから数ページ程度でしかなく、観察瞑想の肝である筈の「集中・観察」の本当の意味は、伝わってきません。ここの部分の詳細解説がある事が、本書の特筆すべきポイントです。


本書が解説する観察瞑想の目指すところは、

  • 「注意力」「観察力」「平常心」を養い、自動操縦された感情は自我のない「無我」である事を体感し、自動操縦の元になっている心の棘を抜いて自我で行動する事

であり、一般的なマインドフルネスが主張する所と大体同じです。その説明過程で、実体験からくる説明があるため、実感を持って主張が理解できます。


本書は、瞑想(座禅)をレベル別に10stepに分けて説明します。多くの人は、1step目だけでもストレス解消などの効果が十分得られます。参考までに、step1の要約メモを以降に載せます。


本書は、マインドフルネス・観察瞑想(呼吸瞑想、ボディスキャン)の、日本版バイブルと断言して良い本です。興味を持った方は、是非本書を精読して、step1からゆっくりトライしてみて下さい。


<本書要約(意訳込み)>

■step1 呼吸に親しむ

  • 鼻先→腹への、空気が流れていく感覚の移動を、意識で追う。
    *鼻先→鼻の奥→のど→胸を膨らみ・へ込みしながら→お腹

  • 感じるところは感じるまま、感じない所は「感じないまま」意識を通り抜けさせる。

  • やがて、身体の感度が高まっていく。
    *のど、胸、腹など、感情とリンクした部位に敏感になることが重要。

  • 呼吸コントロールしようとせず、淡々と見守ればOK。

  • 雑念が出てきても、敵対せず、追い払おうとせず、心の何%かを息の感覚にのせておけばOK。
    *のめりこみ/敵対ではなく、その両極を超越してゆるりんと「放っておく」=「捨」の態度を学ぶ
    *捨=平常心は、のちのち体内や心を見つめていく際に重要

  • 意識がそれた⇔戻すを繰り返す事で、自意識に気付く観察力と、ぶれても戻す集中力が育つ(筋トレ)
    *少しでも早く、意識がそれたと気付けるよう見張り、気付いたら呼吸に心を戻す

  • どうしても息がしにくい場合は、
    ①息は細く・均等に・深く・長く(息の始めから終わりまで、なめらかで一定にする)
    ②おへその下、下腹部へと空気を送る(息を吸い下腹部を突き出す際に、感覚として目立つ地点に送る)
    ③息が苦しくなるまでは吐き切り、吸いきる(無理せず、少し苦しい程度で、心の余裕を奪えればok)

  • 上記をしていると、やがて呼吸が長く、細く、深くなり、身体もリラックスする。
    *すぐの事もあれば、何日もかかる事がある
    *息苦しい時も、より良い息を作り出そうとせず、今の息を味わうことに集中する
    *呼吸が深く安定し始めると、外界の事があまり気にならず、いわゆる瞑想状態に入ったことが分かる

  • しばらく上記が味わえるようになったら、step2に進む


■step2 観察力
■step3 より強い集中力
■step4 捨=平常心
■step5 緊張と不快を受け止める
■step6 雑念と仲良くする
■step7 一転集中力
■step8 身体感覚スキャン
■step9 苦楽を知る
■step10 心を観察

※step2-step10は、記載省略
※step1だけでも十分ですが、step7くらいまで進めると、マインドフルネス瞑想の熟練者が喜悦感・解放感などと呼ぶ感覚が出てきます。

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