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臀物語

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タイトルをしりとりで繋げる物語、です。 「しりものがたり」と読みます。 第1,第3,第5日曜日に更新予定です。 詳しくはプロフィールに固定してある「臀ペディア」をお読みください。
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#結婚

引っ越し

「実は折り入ってお話ししたいことがございまして。」
「どうしたんですか。」
 今日も今日とて打ち合わせをしようとカフェに来ていたのだが、雨相がそう切り出したのだった。
 しかし別にそれ自体は特段珍しいことではない。
 こうやって大風呂敷を広げてみては、意外と普通の話だったり、逆にそんな小さな話が次の話のヒントになることもあった。
 そのため高森は、雨相からこんな風に切り出されたときは、なるべく前の

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クライアント

 時刻は午後七時を回ったところ。敦はいつもの何倍もかっちりしたスーツに身を包み、慣れない場所に座っていた。
 指定された場所は、自分では当然入れないような高級なレストラン。入口に書かれていた店名も何と読むのかわからず、とりあえず入ってきたのだ。
 敦の座っている席からは大きなガラス張りの窓が見えたが、そこからは東京の夜景というものが一望できた。
 待ち人が来ない以上、何もすることができず、時たま水

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 いつもの喫茶店。いつもの席。いつものコーヒー。いつもの風景である。

 朱里との結婚を決めてから、雨相はそれまでのように勝手気ままに旅に出たり、原稿を上げなくなったりすることはなくなっていた。
 高森としては翻弄されなくなったことを喜びつつも、どこか寂しさも感じており、子供が生まれて以降、すっかり飲みに行けなくなってしまった学生時代からの友人のことが頭をよぎった。
 このまま先生はどんどん丸くな

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チリ

「今日はお招きいただきありがとうございます。これつまらないものですが。」
 そういって手に持っていたデパ地下のスイーツが入った袋を手渡した。
「わざわざありがとうございます。僕なんていつも高森さんにはお世話になってるのに。」
「そんなそんな。雨相先生あってのものですよ。」
 普段とは違うこの雰囲気。それもそのはずだ。
 高森は、今まで、雨相の家まで原稿を貰いに押し掛けたことは何度かあったが、こんな

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