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伝説のつるぎ 大熊健司
2021年3月28日 01:04
「おはよう、まっつん。やっぱり月曜日はどうにもエンジンかからないね。」「まあそうだな。」「まっつんは週末どっか行ったりした?」「ああ、昨日の夜に家族で外食したくらいかな。」「おいいねえ。何食べたの?」「とんかつ。」「とんかつか、最近食べてないかも。」「俺も久しぶりだったよ。」「やっぱりとんかつって家って言うより外で食べるもんだよね。」「まあそうだな。俺も料理できないから詳しいこと
2021年3月21日 00:00
授業が終わって生物準備室に戻り扉を開けると、そこにはすでに先客がいた。「早くないか。」「ちょっと早く終わったんだよね。」「そうか。」 会話が止まる。「直先生、可愛い生徒が遊びに来たのにその態度はなくない?」「大桃さん……」「ごめんってば、樽井先生。」 僕は少しため息をついてから彼女に尋ねた。「で、今日はどうかしましたか?」「お医者さんみたい。」 大桃さんは笑いながらそう言っ
2021年3月14日 07:30
インターホンが鳴る。モニターを除くとそこには宅配のお兄さん。「お届け物です。」「はい、ありがとうございます。」 しかし最近何かを頼んだ覚えはない。酔ったついでに注文してしまったのだろうか。いや、最近そこまで飲んだ記憶もない。色々な考えを張り巡らせながらドアを開ける。「ではこちらにサインの方お願いします。」「はいはい。」 そういって印鑑を押し、小さめな箱を受け取った。重さは、そんな
2021年3月7日 00:10
学園祭最終日。二日間演奏会をみっちりと行った私たち吹奏楽部に束の間の自由時間がやってきた。 私は友達の誘いを断り、迷うことなく文芸部の展示教室に向かうのだった。 「ハル、来てくれたんだ!」「もちろんよ。」「ありがとう!」 とびっきりスマイルを浮かべながらそう言った純ちゃんは、私に藤色の文集を渡してくれた。 純ちゃんの書いた文章を初めて読んだのは知り合ってすぐの頃だった。「ハル