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The Beatles 全曲解説 Vol.122 〜Lucy In The Sky With Diamonds

『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』3曲目。
ジョンの作品で、リードボーカルもジョンが務めます。

子供の感性2人分の見事な融合 “Lucy In The Sky With Diamonds”

タイトルの頭文字をよーく見てみると「L・S・D」
「まーたトランス状態のジョン・レノンが変な曲を書きよった!」ということで、一部の放送局では放送禁止になったそうですが、ジョン・レノンともあろう者が、そんな無粋でダサい芸当を打つ訳ないじゃないですか!
実際、本人は頭文字の件を「単なる偶然」と切り捨てています。

ですが、キツくエフェクトのかかったギターにオルガン、タンブーラの音色に乗って「セロファンの花」だの「マーマレードの空」だの、どう考えてもアカン薬の世界観をあんな気怠く歌われると、なんか疑ってしまうのも事実。

有名な話では、この曲のモチーフになったのは、当時4歳の息子、ジュリアン・レノンが持ってきた一枚の絵。
「友達のルーシーがダイヤを持って空に浮いている」という、ジョンの息子らしい奔放な発想の絵は、ジョンに大きなインスピレーションを与えました。

ですが、この曲の歌詞にはもう一つモチーフがあることをご存知でしょうか。
それは、かのルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』
この曲の歌詞の多くは、「アリスが遭遇したもう一つの世界」をイメージして作られたと言われています。

実は少年期のジョンはやんちゃなロック少年であると同時に、こういったファンタジーを好む文学少年でもあったのです。

ジョンは普段から、こういった文学作品に影響を受けたナンセンスな文章やメモをノートに書き込んでいました。
彼が時折ウィットに富んだジョークや気の利いたセリフを放つ背景には、こういった文学的なバックグラウンドもあったのです

そして、ボブ・ディランとの出会いをきっかけにより自由な詞作を目指し始めたジョンは、この時期になってその自由さを爆発させるようになりました
その爆発ぶりは、これ以降のジョンの作品の多くで堪能することができます。

この時期のジョンの音楽、そしてその世界観は、決して粗悪なドラッグや、(結果としてそうなったとは言え)一時のサイケデリックブームに乗っかったものではなく、過去に編まれた多くの先人の言葉たちに触れ続けたことこそが土台になっている、ということがよく分かる作品です。

ジュリアンと子供心を忘れないジョン、「2人の子供たち」が編み上げた傑作です。

補足情報: ステレオとモノラル

“Lucy In The Sky With Diamonds” のモノラルバージョンは、ステレオバージョンよりもかなりボーカルのエフェクトがキツくなっており、気持ち悪くなるような幻惑感があります。
まさに、ルーシーと一緒に空遠くまで飛んでってしまいそうです

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