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The Beatles 全曲解説 Vol.150 〜Lady Madonna

シングル『Lady Madonna』A面。
ポールの作品で、リードボーカルもポールが務めます。

往年のロッカーが憑依!戦後をひたむきに生きた女性達への賛歌 “Lady Madonna”

“Hey Bulldog” と同じく1968年2月にレコーディングされたナンバーですが、ポールもまたこのように、ひたすら「かっこいい…」と溜息が漏れるような曲を作ってしまうのは、ジョンへの対抗意識故でしょうか。
ちなみに、PVの様子は何故かその “Hey Bulldog” のレコーディング風景となっています。

イントロからのタイトで跳ねるようなピアノフレーズは、ハンフリー・リッテルトンによる1956年のナンバー “Bad Penny Blues” を参考にしています。

この曲をプロデュースしたのは、なんとあのジョージ・マーティン。
マーティン本人も、まさか引用されるとは思ってもみなかったでしょう。

このピアノに、珍しくブラシを使用したドラムが乗せられ、渋い渋いブラスセクションも加わり、ビートルズナンバーでもとりわけスウィンギーな仕上がりとなっています。

ポールはピアノの前に陣取り、久しぶりに野太くブルージーな「黒ポール唱法」(筆者命名)を聴かせてくれます。
ただ、この曲でのポールの歌声は、さらに一捻りが加えられていますよね。

この時ポールが参考にしていたのは、終戦直後から活躍し、ロックンロールの始祖の1人と言われた、ファッツ・ドミノ

ビートルズのみならず、後進のロッカーたちに多大なる影響を与えたミュージシャン。
筆者も大好きなアーティストの一人で、LPも所持しています。
ポールがこの曲でしか披露しない独特のグルーヴを持った渋い歌声は、まるでドミノが乗り移ったかのようです。

そんな歌声でユーモラスに歌われるのは、子供たちの世話に勤しむ母親の姿。
毎日毎日ハプニングに見舞われ、やりくりに追われる彼女たちの様子は、まさに戦後の復興期をひたむきに生きた女性たちの姿に重なります。
もしかしたら、14歳で死別したポールの母、マリアへの視線も重なっていたのかもしれません。

“Lady Madonna” は、ソロ活動初期からポールのライブではおなじみのナンバー。
現在でも、渋みをましたグルーヴィーな歌い回しを堪能することができます!

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