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『今夜』に小説を書いたのですが、とても素敵な感想を頂いたので。

どうも、西川タイジです。

先日発売した『今夜』壱号。私は『よるにうたって』という短編小説を書いたのですが、早速読んでくださった方から素敵な感想を頂きました。匿名で、との事でお名前は伏せますが、シェアをさせて頂きます。嬉しい。

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「今夜」にであう

つるつるしたページをめくると、ちょうど蛍光灯の光で部分的に白くなる。この感じはなんだろう、なんて手元で「今夜」を繰りながら考える。油断ならないストーリーテラーのような面持ちで、一枚めくったその書き出しに出会う。「こんばんは」なんて、早速ちょっと油断ならない笑みを浮かべている(ような気がした)。

東京の文脈っておもしろいな、なんてふと思う。文や語句のつなぎあいのなかに、東京、ないし夜を見つける。その「心もとなさ」を想像する。都会の夜の気配が文字通り、文脈のさなかから漂ってくる。面白いのは、どの「物語」を通しても、書き手の多くは夜の中を「歩いて」いることだ。そのとき、そばにいた「誰か」と。夜道を誰かと歩くときの特別感は、壱号限定のエッセンスになっているような気がした。夜道を歩いちゃだめよ、なんて言う「大人(目上)」は東京にはいない、と私は勝手に思っている。

「よるにうたって」(西川タイジ)では、小説の中の主人公が、物語の序盤と中盤に「歩いて」いた。上京してきたばかりのなかで、うまく歩けないでいる主人公が、不慣れながらも「先輩」と連れだって歩くなかには、時間の流れる速さを感じる。猛烈な速さで成長していく(あるいは過ぎ去っていく)若さの、危うい一面を、嵐のように奪っていく、年上の異性という、遠くて絶対的な「他者」。あまりにもあっさり遠い距離にあるふたつを出会わせてしまう日常が、東京の夜をシンボリックに魅せる。

小説は筋書きを操作できるものなので、エッセイのように状況が先立ったのではなく、装置として「東京での時間」と「夜の道を歩く」ということを、物語上で掛け合わせるのは、東京の日常を肌で感じている人の着想だと思った。都会の細い道を二人で歩いて家に向かうって、じっさいはすごく生々しい(と、私は思う。だって若い頃の私は、これを想像するのさえ怖かった田舎者なわけで)。

現実と虚構のあいだを縫っていくような読書の感覚は、体裁にとらわれず自由に掲載できる雑誌のいいところだと思う。誰かから生まれる思いの一端を言葉にし、文章として紡ぐとき、その「ひと綴り」に織られた文面のなかに、書き手の真意が織り込められている。自在なスタイルを持った文章が編まれ、それぞれが「その立場から見える事物」を、より自らが強く瞬く姿で、豊かに語りだすのは読んでいてい贅沢な心地になる。

「今夜」という定点に立ち、無数の観察者による夜の物語は、つつましくも明るく今その時を照らす。その光の部分的な強さに、読み追いながらハッとする。

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いいですね、今夜。

これは個人的なエピソードなんですが、
終電前に「おい待てよ」っていわれたときも、次いつ会えるかわからないなかで、終電を気にせず、ただ当たり前のように、同じ部屋に帰りたかったのかなって、すごくよくわかりました。

「今夜」を読まなかったら、あちらさんの切なさとか好きだった気持ちが、実感としてわかなかったです。色んな角度から誰かの「今夜」を眺めるのは、かつて見えなかったあの夜の相手の気持ちと、癒せなかった自分の心を救いますね。

そんな人なので、西川さんの小説では、猛スピードで大人の階段を登っちゃってるのが、ひたすら羨ましかったです(笑)

長くなりました。多くの人の手に届くことを願っています。
そしてまたぜひ、「今夜」作ってください!!

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ちゃんと初めて小説を書いたので、感想を頂けて本当に嬉しいです。是非色んな方に読んで頂けたら嬉しいです。上京してきた田舎者の青年が、テニサーの新歓コンパで小松菜奈をモデルにした先輩に出会う話です。ちなみに僕の好きな楽曲をいくつかオマージュで散りばめております。全部分かったら、あなたはすごい。答え合わせしたい方、是非ご連絡を。

konya.aitai@gmail.com

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