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【映画】ロストケア~彼はなぜ42人を殺したのか~

観て参りました話題作のロストケア👇

本作を観る前は、相模原事件に類似した勘違い野郎(犯人のこと)の物語で、正義側の長澤まさみ(検事)が、松山ケンイチ(犯人)の言動に揺れながらも、事件を解決していくパターンかな?なんて思いきや、全っ然違います!もっともっと深い、日本の闇のお話なんですよ💦

☝️解説だけでは、相模原事件に類似した反社会的サイコパスな犯人の物語かと思いきや…💧

※ここから先はネタバレを含みます👇
では、どうぞ。

全く悪いことをするように見えない真面目な介護士(松山ケンイチ)だが、ある事件に巻き込まれることで、その裏の顔がバレることになる。画面中央の新人介護士のユミも、そのショックから離職して、人生を大きく狂わす。


その後、検事の長澤まさみが容疑者の松山ケンイチを追及してゆく訳だが、その過程で様々な「親の介護」という地獄の中で、もがき苦しむ人々の存在を知る。彼はそんな人々に救いを与えたのは自分であり、そのケアを「ロストケア」(喪失の介護)と自信を持って語る💦


松山のしたことは本当にケア(介護)だったのだろうか?劇中では、要介護(認知症)の親がいなくなったことで、子どもと過ごす時間が出来た母や、新しい恋と向き合う事が出来たシングルマザーがイキイキと生活している場面が映る。また、ある被害者家族は、「救われた」とさえ長澤まさみに話しをする。


法廷でありのままを話す松山ケンイチ。もちろん、恨む家族からは罵声を浴びる事になるのだが、彼は愉快犯や軽率な考え方から要介護老人41人を殺害した訳ではなく、実は彼自身の犯行が、実の父親の介護という地獄に嵌まり込み、実の父親を殺害するに至るのをきっかけにしているという壮絶な経験をしていた。


折り紙が父親との思い出だった松山ケンイチ。親一人子一人の家庭で、彼は親孝行の為に退職して介護生活に入るのだが…💧後々には、一日三食の食事にも事かく状況になる。肝心の行政は生活内容を査定せず、書類要件だけで保護非対象の判断を下す。この辺りからの松山ケンイチの髪の毛の変化に注目💦柄本明の要介護老人役が、観る者全てを松山ケンイチ目線にしてしまう!


裁判後に松山ケンイチに会いに行く検事の長澤まさみ。取り調べ中には松山ケンイチから、「貴方は安全地帯にいるから…」と再三その立場や境遇の違いを指摘され、「わからないだろ!」と言われ続けたが、彼女の告白から、実際は彼女自身も深い闇を抱えていたのだと知る💧いや、彼、彼女、そして一部の家族だけがこの深い闇を抱えているのではない。この日本に、もはや安全地帯などないのではないかと劇場内が痛い程、思い知らされる。


これは明らかに日本の闇を、これからの未来を指摘している映画だと気付く。

そして最後には、ロストケアが善なのか悪なのか?松山ケンイチが父親を殺した時、枕元に置かれた父の作った赤い折り鶴を見た彼が爆発する感情と伴に、その答えを表現する。そして場面が変わり、長澤まさみも、母に許しをこうシーンでラストを迎える。まさに圧巻のラスト15分!

エンディングで流れる森山直太郎の「さもありなん」が観客の心に刺さるように響く!

本当に私の文章だけでは、何も伝わらないだろうと思う程凄い映画です!たぶんここ五年で、最も泣いた映画かも知れません。ぜひ、これから親の介護を迎える40代、50代の方々必見の映画です。

そして、介護の仕事や看護師の方など、老人のケアに携わる方、その一人でも多くの方が、この映画を観に行ってくださればと思います。


終わり



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