インターン6期生企画イベントを開催しました
皆さん、こんにちは。インターン6期生の、ぽんです。
4月20日(土)に、インターン6期生企画イベントをオンラインで開催しました。
企画タイトルは「わたしたちは生きのびるために~ホロコーストを生きた障害当事者たち~」です。
この企画は、昨年11月に始まったインターン6期生の活動の集大成でした。
企画に関心を寄せてくださった皆さん、当日参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました。
今回の記事では、ワークショップ企画から準備、当日、インターン活動の修了式までを振り返ります。
インターン活動の集大成
「決める」ことを練習する
今回、私は初めてイベントを企画しました。まず、ミーティングでインターン生一人ひとりがやってみたいことを自由に発想し、企画書にまとめました。どの企画案も、これまでの活動では取り上げられなかったとても重要なテーマが散りばめられており、1つに絞るのはとても難しかったです。
最終的にテーマに決まった「障害当事者」は、私にとってイベント後も考えたいものでした。社会においてしばしば一括りにされる「障害者」の中に、多くの人の日々の生活が覆い隠されているような感覚があったからです。
テーマを決めてからは、準備に何が必要か話し合いを重ねました。実施日、募集人数、会場、資料準備、広報の方法などを決定するために話し合ったのですが、この「決める」ということが私にとって最も難しい点でした。
なぜ「決める」ことが難しかったのかというと、「もっと話し合いを深められれば、一人ひとりの声を取り入れられるのではないだろうか?」という私の中の葛藤があったからです。どうしたら限られた時間の中で物事を進めながら、同時に一人ひとりを尊重するやり取りが出来るのか考えました。
コミュニケーションについて、深く考える時間でした。
できることから始める
準備とは何をするのか、という話し合いに続いて、誰がどのように広報を担当するのか、広報が始まったらどこに向けてイベント案内を発信するのか、当日の歴史的背景の解説はどのように行うのか、進行はどう進めるのかといった役割分担を行いました。そして、Kokoro代表のふみこさんやスタッフのMakiさんのアドバイスを参考に、ミーティング以外の時間に各自の役割を黙々と進める必要がありました。自分の作業を終えて、他のインターン生やスタッフに確認してもらう際には緊張しましたが、少しずつ物事が進んでいく感覚はとても嬉しいものでした。
締切が迫ると焦ってしまうこともありましたが、まずはできることから少しずつ、と自分に言い聞かせながら進めることを学びました。
一方で、コミュニケーションそのものについて考えました。例えば、ミーティングに参加出来ないメンバーがいる場合、話し合いの内容をどのように伝えたら次のミーティングに参加しやすいだろうか、と考えました。そして、これまでふみこさんやMakiさんに頼っていたミーティングの進行や事務連絡などもインターン生が担ったことで、他者に呼びかける際にどのような言葉を使ったら良い雰囲気が作れるだろうかと考えるきっかけになりました。
役割分担と責任について、深く考える時間でした。
ほんの少しの優しさで対話が始まる
試行錯誤を経て迎えた当日は、様々な地域や国から異なる世代や立場の方が集まりました。
私は、開会挨拶を担当したのですが、「こちらの音声は聞こえていますか?」と呼びかけた際に、参加者の皆さんが画面上で丸のジェスチャーを作ったり、リアクションボタンを押したりして「聞こえていますよ」と応えてくださったことが、心に残っています。
ここで、当日のプログラムをご紹介します。
疑問符が集まって対話がひらかれる
今回の問いの焦点は、短い文章の抜粋でした。
この文章から、インターン生も含め参加者の皆さんとたくさんの問いを考えました。一部抜粋して紹介します。
誰の、どんな言葉なのか全く説明のないまま問いづくりを行ったため、参加者一人ひとりが物語を想像しながら問いを言葉にする様子が印象的でした。
そして、問いを言葉にした後は、参加者の皆さんと一緒に今回のワークショップの題材であり、問いの焦点を抜粋した絵本を朗読しました。
今回、取り上げたのはナチ・ドイツ政権下を生きた視覚障害当事者オットー・ヴァイトの絵本『パパ・ヴァイト ナチスに立ち向かった盲目の人』(インゲ・ドイチュクローン作/藤村美織訳)です。彼はドイツ人でしたが、視覚障害を持つ多くのユダヤ人を自分のブラシ工場に匿い、表面上は彼らを労働者として受け入れました。しかし、「生産性」のために雇ったのではなく、共に生きる仲間として受け入れていたのです。
ワークショップでは、インターン生の一人が歴史解説を行い、ヴァイトの生きた時代やホロコーストの背景について話してくれました。この解説を聞いて、私は「誰かと生きること」の頼もしさと難しさを同時に感じました。イベントを終えても、他者と一緒に生きていくことはどのようなことなのか、と考えています。
対話では、ヴァイトをきっかけに、優生思想や効率主義、障害や病と共に生きることについてなど様々なキーワードが出ました。私の中にある偏見や差別に向き合うことで、改めてこの社会で起きていることを考える時間になったと感じています。
現在、オットー・ヴァイトの作業所は「オットー・ヴァイト盲人作業所博物館」となってベルリンに残っています。
今回、実際に博物館を訪れたインターン生のあかりさんが、撮影した写真を共有してくれました。ここでご紹介します。
写真を通して、歴史として読んだヴァイトの物語は現在も人々に呼びかけているのだと私は感じました。
そして、オットー・ヴァイトについて知り、これまで学んできた歴史を異なる角度から学び直す体験をしました。イベントの中では、過去から現在へ歴史が繋がる瞬間があったように思います。
博物館の公式サイトでは、英語とドイツ語でデジタルコンテンツを見たり、解説を読んだりすることが出来ます。
ご興味ある方は、是非ご覧ください。
私は、今回のイベントを通してオットー・ヴァイトに光を当てることで歴史を様々な視点から読み直す面白さを味わいました。同時に、彼を単純に英雄視しないということの重要性を感じました。ヴァイトの人生は「ユダヤ人を救った完璧なヒーローの物語」ではないと思うからです。ヴァイトが出来たこと、出来なかったこと、他の仲間がいたから出来たこと、など物語の多様な解釈の存在が大切だと感じています。
アンケートの紹介
参加者の皆さんからいただいたアンケート回答を抜粋してご紹介します。
私にとって、励みになるあたたかい内容でした。インターン活動を終えても、皆さんからの言葉を心に留めて過ごしたいと思っています。
インターン活動を終えて
イベントが終了して数日後、インターン活動の修了式を迎えました。
振り返ると、半年間のインターンで多くのことを経験し、学びました。
ホロコーストの歴史を学ぶ中で、ひとりの行動によって救われた命、連帯によって救われた命があったことを知りました。また、救われなかった命の多さと、その命を今もずっと尊ぶ人が世界中にいることを実感しました。
そして、それぞれ異なる場所で学び、異なる視点を持つインターン6期生のメンバーから、たくさんの刺激を受けました。
今、私は誰かと共に活動することを、一人ひとりと真剣に向き合いながら共に歩むことだと思っています。そして、一人ひとりが居心地良く過ごせる場を作ることで、「これまでやったことがないけれど、やってみよう」と新たな挑戦に向けた行動を起こせるのではないかと感じています。
私は、これから自分に出来ることは何か、と考えています。まだはっきりとは分かりませんが、大学院生として誠実に研究テーマに向き合いながら、「今、自分に出来ること」を考え続けたいと思います。
これまでKokoroを通して出会った方々、今年の夏まで活動を続けるトリスタン・ダハさん、そして、新しく活動を始めるインターン7期生の皆さんがこの後も良い時間を過ごせることを心から願っています。
イベント案内
Kokoroでは、これからもたくさんのイベント開催を予定しています。
多くの皆様のご参加を心よりお待ちしています。
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