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映画の“立体的なタイトルロゴ”が好き


 みなさん、映画の“立体的なタイトルロゴ”お好きですか…?
 どことない古臭さ、そして超大作感。それらを感じさせてくれる立体型ロゴ、俺は大好きです。恐らく幼少期からゲーム「ドラゴンクエスト」に慣れ親しんだ俺は、“立体的な文字=何やら凄いもの”と身体の芯まで刷り込まれていたのでしょう。


開発中の最新作「ドラゴンクエスト12」のタイトルロゴ。
シリーズ生誕から36年間変わらぬ形状のロゴながら、今作は少々リアルな雰囲気に。
心なしか立体感も増して見える。



 ──という訳で、本稿では立体的なロゴが掲げられた映画…特にロゴと内容の双方を気に入っている作品の一部を挙げ、ロゴのデザインと内容の所見を映画ファンの観点から述べていきたい。なお、デザイン関連の知識は一切無いのでご承知置き下さい。


「ベン・ハー」(1959)



 「ベン・ハー」のタイトルロゴは、とてつもなく大仰かつ壮大。この足し算全開なデザインは一種の芸術だ。俺は“ロゴ史”に詳しい訳ではないので、本作以前にこのようなデザインが存在したのか(いつから存在するのか)が無性に気になっている。
 さて、本作はアカデミー賞を11部門も受賞しているだけあって、もちろんロゴだけでなく映画も素晴らしい内容である。驚異的な群衆(エキストラ?)描写。数奇な運命に立ち向かっていく熱き主人公:ジュダ。マッドマックスもたまげる戦車(馬車)バトル…。そんなエネルギッシュな超大作である「ベン・ハー」は、格調高さと娯楽性のどちらも優れた、歴史に残る“名画”と呼んで差し支えない。
 なお、日本版のカタカナロゴは意外とシンプル。特撮映画的な雰囲気を持つデザインではないだろうか。

パンフレット表紙画像。


「スーパーマン」(1978)



 リチャード・ドナー監督×クリストファー・リーヴ氏主演版「スーパーマン」のロゴも好きだ。水晶風のデザインは、スーパーマンの故郷:クリプトン星の世界観をイメージしているのだろうか?
 また、映画冒頭でジョン・ウィリアムズ氏のメインテーマと共に出現するタイトルロゴ・キャスト陣の立体的な現れ方も素敵だ。3D映画化したらさぞかし大迫力だろう。いや、3Dメガネを掛けなくても俺には3Dに見える!最近は「映画のオープニングを早送りする派」の方も多いと思われるが、そんな方々でもこのOPの迫力には釘付けになってしまうことだろう。
 勿論本編も素晴らしいヒーロー映画で、クリストファー・リーヴ氏が“超人的なヒーロー”を体現する様を存分に堪能できる。事故と早世が惜しまれる…。


「コナン・ザ・グレート」(1982 日本版ロゴ)

※日本版ロゴは右下。原題は「Conan the Barbarian」


 まるでグランドキャニオンのような、無骨かつ力強い立体ロゴ。原題のロゴはオーソドックスかつ格調高い西洋風ファンタジー感があるが、アーノルド・シュワルツェネッガー氏(以下シュワちゃん)の肉体美・作品内容との合致度は日本版の方が高い気がする。
 「プレデター」「ターミネーター」「コマンドー」等でお馴染みのシュワちゃんといえば、重火器をバリバリ操る角刈りの筋肉男…といった印象が強いだろう。しかし最初の当たり役(代表作「ターミネーター」は本作の2年後に公開)は、1930年代のファンタジー小説シリーズ『英雄コナン』の実写化である本作だったそうだ。やがて強大な王となる、剣を振るうロン毛の筋肉男を抜群の説得力で演じていたシュワちゃん…。“シュワちゃんには銃だけでなく剣も良く似合う”と、本作を観れば多くの方に感じていただけるはずだ。
  なお、この度改めて調べたところ、意外にも「プレデター」「ターミネーター」「コマンドー」のロゴには立体感が無かった。(「ターミネーター」は立体的と言えなくもないが、個人的にはやや厚みが薄い)



「ランボー」(1982 日本版 旧ロゴ)


画像は原作小説『一人だけの軍隊』より。


 シルヴェスター・スタローン氏が脚本・主演を務めた名作「ランボー」。かつて本作の宣伝時に使われていたロゴは、立体的かつ特徴的だ。頂点が「ラ」と「ン」の間にあるせいで、微妙に文字のバランスが悪いのはご愛嬌。デザインは「西部警察」(1979〜)の影響を受けているように感じられる。

西部警察のロゴは頂点がきっちり真ん中にある。
何故「ランボー」の頂点は「ン」と「ボ」の間じゃないのだろうか。


 ただ以前にも述べた通り、初代「ランボー」は娯楽大味アクション映画ではないので、娯楽色を想起させるロゴが作品内容にマッチしているとは言い難い。現行の映像ソフトではこのロゴは使われていないようだが、そうした批判の声があったのだろうか?


現行で使われているロゴが左下に。なお、本作の原題は「First Blood(先制攻撃)」。本作の哀しい内容を象徴する、重い言葉である。


「カットスロート・アイランド」(1995 日本版ロゴ)



 上記二例と同じく、日本版のロゴ。オリジナル版の海賊感・冒険感のあるロゴ(画像真ん中左)もワクワクさせられるが、日本版ロゴの方が本作の豪快さを如実に表している。
 さて、本作は「ダイ・ハード2」「ディープ・ブルー」等で知られる洋画界の破壊王:レニー・ハーリン監督の海賊冒険アクション。制作費は1億ドル、回収できたのは1000万ドル…と、ギネス記録に残る赤字を叩き出してしまったことで有名な作品だ。しかし、“大コケ”の一言で片付けるには非常に惜しい、活力と魅力に満ち溢れたアクション映画…と俺は主張したい。
 それにしても、BDジャケットの時点で爆発の威力がおかしい。もはやアクションシーンではなく爆破事故現場。本編も終始このテンションで見応えがあるので、興味が湧いた未見の方はぜひご覧あれ。


“立体的なタイトルロゴ”の未来はどうなる


 先に例を挙げたような大仰なロゴの超大作は、近年なかなかお目にかかれない気がする。やはりトレンドから外れているのだろうか。かく言う俺自身も、「フラットでシンプルな“今っぽいロゴ”もいいな…」と宗旨替えしかけている。
 例えばドゥニ・ヴィルヌーヴ監督版の「DUNE」(2021)。タイトルを知らなければ磁石が四つ並んでいるようにしか見えないこの単純なロゴ…。映画の無機質・荒涼感とも合致した見事なデザインだ。デザイナーの方に拍手喝采を送りたい。



 さて、立体的なロゴはこのまま時代の波に飲まれ、やがては砂に埋れゆくのだろうか…?いや、決してそんな事は無い。
2022年夏、“立体型ロゴ界”の期待の新星が上映されようとしている。



 マイティ・ソー四作目「ソー:ラブ&サンダー」。
前作「ソー:ラグナロク」(あえて原題で呼ばせて頂く)も確かに立体型ロゴであったものの、ガラッとデザインを変えてきた。娯楽路線を突っ走ってやる!との主張をひしひしと感じる、様々な意味で期待値が上がるロゴだ。
 なお、こちらは原題版も同様の字体。テイザービジュアルのデザインといい、これは“洋楽ロック”的な文脈のデザインだろうか?


 …という訳で、大作洋画における“立体型ロゴ文化”はまだ消滅せずに済みそうだ。いくら古臭く時代遅れになろうとも、この形式のロゴが映画文化と共に生き続けることを願うばかりである。



※「ドラクエ12」の画像はドラクエ35周年特設ページより、「ソー」の画像は公式サイトより引用。その他画像はAmazonより引用しました。


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