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2016年8月の記事一覧

南相馬市 ゲン・チャチャ・ピッピのはなし

南相馬市 ゲン・チャチャ・ピッピのはなし

 水と空気がきれいな田舎の古民家で、夫婦でのんびりと自然を満喫しながら人間らしい暮らしをしたい。そんな夢を持って東京で暮らしていた小坂さん(仮名)夫婦が、南相馬市の古民家に一目惚れしたのは、震災が起きる6年前のことでした。

 まずは、ご主人が東京での仕事を辞めて移住し、奥さまも、その3年後に完全に移住しました。古民家は住みやすいように最低限のリフォームをして、隣接する裏山と田んぼ、そして畑も一緒

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宮城県七ヶ浜町・国際村避難所と ダックス一家のはなし

宮城県七ヶ浜町・国際村避難所と ダックス一家のはなし

七ヶ浜町は、東北随一の大都市、仙台からクルマで2~30分の距離にありながら、海と山の豊かな自然を感じることができる、半島の小さな町です。その町名が表すとおり、 七つの浜からは豊かな海産物の恩恵を受けることができ、なかでも松島湾で養殖される海苔は、 古くから皇室御用達のブランド海苔として、町の発展に寄与してきました。

2011年3月11日、東北地方沖を震源とする巨大地震と

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南相馬市・シロのはなし。

南相馬市・シロのはなし。

まずは自己紹介から、ですよね。

ボクの名前はシロといいます。6歳の男の子です。体重は、最近は測ってないけど、たぶん13~4キロくらいじゃないでしょうかね。福島県の南相馬というところで暮らしています。といっても、いまは本当のおウチではなく、カセツといって、小さなプレハブ作りの長屋の 4 畳半二間に、お母さんとユージ、おばあちゃんとボクの4人で住んでいます。 昼間お

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『名無しの黒い犬、ノラクロのこと』

『名無しの黒い犬、ノラクロのこと』

『名無しの黒い犬、ノラクロのこと』

これは、ある災害避難所での話である。

白い犬を連れて散歩していると、どこからともなく現れる犬がいた。首輪も着けていないところを見ると、今のこの犬に、飼い主はないようだ。
黒毛にグレーのブチ、少し困ったような表情をしたその犬は、人に引き綱をひかれて歩く白い犬のあとを、トコトコと付いてきた。
どこに寝床を作っているのかもわからないが、その日以来、白い犬と散歩して

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CMproject〜あれから5年、福島へ〜

CMproject〜あれから5年、福島へ〜

「福島」

この単語を聞く機会も少なくなった。

そう、あれから5年が経った。

5年前と言えば、僕たちのほとんどは中学生だ。

「遥か昔の遠い思い出」

「過去」

僕たちにとって5年前の記憶は、遠い昔の過去の思い出だ。

東北大震災

忘れてはいけない出来事だとわかっていても、東北で震災を直に受けていない当事者でない僕たちにとっては、日常的に意識を向け続けることはない。

そんな僕たちだが、2

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