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162.「ネット上の音楽無料交換」著作権侵害で1人48万円の個人賠償!日本初!

5・ケーブルテレビ楽曲9200曲差し止め


2005年8月30日、日本音楽著作権協会(JASRAC)がケーブルテレビ3社に対し、CS(通信衛星)放送での音楽著作権料の支払いを求めた訴訟の控訴判決が知財高裁であった。

これは、日本音楽著作権協会と利用契約を結ばず音楽著作物を利用されたとして、成田ケーブルテレビ(千葉)など3社に使用差し止めと損害金の支払を求めた訴訟の控訴判決だった。

当時の中野哲弘裁判長は、請求棄却の一審東京地裁判決を変更し、地上波アナログ、BSデジタル放送を除くCS放送など、同時再送信の全番組で使用されている楽曲9200百曲の使用差し止めと計835万円の支払いを成田ケーブルなど3社に命じた。

訴えられた他の2社は銚子テレビ放送(千葉県)、行田ケーブルテレビ (埼玉県)。被告側は上告する方針だが、判決理由では、「JASRCなど著作権管理団体がテレビ放送の同時再送信について合意した1973年当時は地上波放送しかなく、その後、団体間の交渉をみても、使用許諾の範囲にCS放送の同時再送信が含まれているとは認められない」などとした。

一審・東京地裁判決は、「CS放送での音楽使用はJASRCなどの著作権管理団体とケーブルテレビ会社の契約に含まれており、新たに支払う必要はない」として請求を棄却していた。

©NPО japan copyright association


 (1)著作権コラム 知的財産高等裁判所(知財高裁)ってどんなとこ?

知的財産高等裁判所(知財高裁)は、知的財産権をめぐる訴訟を専門的に取り扱うため、2005年4月に東京高裁の特別支部として発足。
5人の判事で大合議を行なう特別部を含め、計5部ある。
裁判官は18人、特許庁や弁理士事務所から派遣される調査官11人に加え、128人の専門委員で構成されている。

このうち専門委員は、半導体やコンピュータプログラム、バイオなど各分野の専門家が揃い、任期は2年となっている。
専門委員に裁判官が訴訟ごとに助言を仰ぐ。
 
(2)知的財産をめぐる訴訟

知的財産権をめぐる訴訟は大きく3つに分けることができる。

1つは、特許庁で特許無効などが争われた場合の審判結果に対する不服申し立てや訴訟や取り消し訴訟

2つ目は特許権、実用新案件、半導体集積回路(IC)の回路配置利用権などの技術に関する権利をめぐる訴訟。

3つ目は、このほかに商標権、意匠権、出版物の著作権など技術以外の権利に関する訴訟がある。
 
(3)「知的財産に関するすべての訴訟を扱わない」
知財高裁では、東京高裁管轄外の地裁で争われた商標権など非技術系訴訟の控訴審は、各地の高裁に回る。
知財高裁に集まるのは、特許権など技術系訴訟の控訴審。
非技術系訴訟で東京高裁管内の地裁で争われた分は、知財高裁が取り扱う。また、特許庁の審決に対する不服申し立てなどは、知財高裁が第一審となる。

(4)「知財高裁設置の背景」
知財高裁の設置背景には、日本企業の国際競争力を高めること、政府が知的財産の保護・活用を国家戦略として打ち出した背景がある。この知的財産を重視する姿勢は、産業界からの要請があった。

現行の裁判の司法判決は時間がかかりすぎ、期間が長いというデメリットがあり、判決内容に統一性がないという問題もあった。
 
知財高裁はそれらをふまえて、栽判の迅速化に加え、「何が特許侵害にたるか」など知的財産に関する統一ルールをつくることが期待されている。

これまで、3件が大合議で審理され、判決が出されている。初の判決は「一太郎事件」、2件目は「パラメーター事件」、3件目は今年1月にキャノンが逆転勝訴した「インクカートリッジ事件」。

このように専門性の高い事件について、当事者のみならず、産業界も納得できるような判決を出すことが重要と考えられる。

©NPО japan copyright association


 

6「ネット上の音楽無料交換」著作権侵害で1人48万円の個人賠償!


CDなどのパソコンに取り込んだ音楽を「ファイル交換ソフト」を使い、不正にインターネット上に公開し、無料で交換していた会社員男女5人が、レコード会社5社から著作権侵害を指摘され、1人平均48万円の賠償金を支払うことで合意したと、日本レコード業界が2005燃6月6日に発表した。

同協会によると、ネット上の音楽交換で、個人が賠償金を支払うのは日本で初めてのことだという。ネット上の著作物に対する個人の利用マナーに警鐘を鳴らした。

同協会は2004年11月から、ネット上で音楽を誰でも無料でダウンロードできるよう大量に公開していた44人の住所、氏名の開示をネット接続業者に請求していた。
 開示された八人に対し、各レコード会社が個別に賠償交渉を申し入れ、このうち5人が賠償に応じてレコード会社に反省と謝罪を伝え、二度と権利侵害しないことを約束した誓約書を提出した。
同協会とレコード会社は、「今後も情報開示、賠償請求を続け、特に悪質な侵害行為に対しては法的措置も辞さない」とし、今後も徹底的に情報開示を行なうとしている。


「クリエイター著作権全般」特定非営利活動法人著作権協会(NCA)
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↓著作権noteマガジン
https://note.com/note_npo/m/mda45b5085c07https://note.com/note_npo/m/mda45b5085c07

https://note.com/note_npo/m/m2656037508d3



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