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165.ウルトラマンの著作権は一体どうなるの?

13.「ウルトラマンまたまた敗れる!」どうなるウルトラマンの著作権

横浜マリタイムミュージアム前に設置された4.5メートルの初代ウルトラマンの巨大立像。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より


 新華社電(北京=共同)によると、日本の円谷プロダクションが「ウルトラマン」の著作権を侵害されたとして、北京市内のデパートを相手取って起こしていた損害賠償請求訴訟で、北京の第一級人民法院 (地裁)はこのほど円谷プロ側の訴えを退ける判決を言い渡した。

中国紙によると、このデパートは日本国外でのウルトラマンの利用権を保有するタイ企業から許可を得て中国メーカーが製造した玩具を販売。

円谷プロ側が販売停止や損害賠償を求めたのに対し、デパート側は、円谷プロは利用権を提供したタイ企業や中国メーカーを訴えるべきで、事情を知らない小売業者を訴えるのは不自然だと反論していた。

判決は、中国ではタイの企業がウルトラマンの利用権を登録しており、デパートらの過失はなかったとして訴えを退けた。
タイ企業の日本国外でのウルトラマンの利用権をめぐっては、円谷プロは敗訴が確定している。

ウルトラマンの著作権は一体どうなるの?

だが、


「鋼鐵飛龍之再見奧特曼」のトレーラーに登場したウルトラマン(ねとらぼより)

※判決日は2020年6月30日。被告は「ドラゴンフォースはユーエム(※)の正規許諾を受けて制作した」と主張していましたが、裁判所は「ユーエムが持つウルトラマンシリーズの利用権が仮に正当なものであったとしても、その権利範囲に『キャラクター(または一定の改変を加えたキャラクター)を用いた映画の撮影』は含まれていない」と認定。藍弧等の行為が円谷プロの権利を侵害していると判断しました。
 
制作会社等には、「ただちに本件著作権侵害行為を停止すること」「原告にもたらした悪影響を払拭するため、(裁判所の審査を経た)声明を発すること」「原告に対し、経済損失を賠償すること」との判決が下りました。円谷プロは「著作権法の基本原則に従って下された判決であり、当然の結果である」とコメントしています。

そう、やっと勝った。

中国もそうですが、タイや米国でもようやく勝ちました。正義が勝つにはウルトラマンのランプの点滅時間では無理だったが、日本の誇る著作物、ウルトラマン。良かったですね。


14.群馬県社会教育委員会も盗用? アイデアは借りたもの、盗用ではない


 
群馬県教委が小学生に無料配布するために作成した小冊子「ぐんまの子どもたちのためのルールブック50」の内容が、米国人教師の著作と酷似していることがわかった。

群馬県HP群馬県教育委員会より


県教委は、「アイデアを借りたもので盗用ではない」としているが、県民から指摘されるまでは、参考にした著作があったことを明らかにしていなかった。

この小冊子は、2004年末に、県民から募集した1736点の中から、「誰も仲間はずれにしない」「きれいにあとかたずけしよう」などの50ルールを選んで作成されたもの。しかし、構成は、米国人教師ロン・クラークさんの著書『みんなのためのルールブック』(亀井よし子訳、草思社)とソックリ。いずれも50のルールを理由とイラスト付きで紹介、そのうち15がほぼ同じだった。

2004年10月 著者/編集 : ロン・クラーク, 亀井よし子 出版社 : 草思社



クラークさんの「しかられている人のほうを見ない」に対して、小冊子は、「しかられている友だちをジロジロ見ない」

「相手の目を見て話そう」は、「相手の目を見て話をしよう」

「もらったプレゼントに文句を言わない」は、
「人からもらった物に文句を言わない」、などとなっている。

この内容について、県民から「あたかも自分たちのアイデアのようなに前面に押し出すのは問題」との指摘が寄せられたという。

この指摘に対し、県教委総務課は、「著作権情報センターに問い合わせたところ、『アイデアならば盗用ではない』とのことだった。宣伝になってしまうとも考え、草思社側と連絡も取らず、クラークさんの名前も出さなかった」と説明しているという。

草思社側は、営利目的でないとして問題視していないが「多くの教育委員会から部分的な引用についての問い合わせはあるが、丸ごと冊子を作ったというのは初めて聞いた」と話している。

文化庁著作権課では、「アイデアを使う分には別の著作物と認められ、著作権法には触れない。ただ、提訴される場合もあり、出版社の許諾を取った方が確実ではないか」と指摘している。

確かに、アイデアには著作権はない。
だが、言葉にはある。明らかに部分的に改変した事実は間違いないと思われる。また、スローガンや、交通用語など、短歌や俳句などの創作性のある言葉、短文には著作権があることを見落としてはならない。

また、文化庁も言っているが、著作権者や出版社に確認や許可を取っていないことはかなりの問題だ。現在の群馬県のホームページには著作者、出版社の名前が掲載されているが、どうも、後味が悪い。
 
 

 15.ネット上での記事見出しの無断配信は違法


 
2005年10月6日。インターネット上で配信された新聞社の記事の見出し部分を無断使用し、利益を得ているのは違法として、読売新聞東京本社は、インターネットサービス会社「デジタルアライアンス」(神戸市)に、2480万円の損害賠償と記事見出しの使用差し止めを求めた訴訟の控訴審判決が知的財産高裁であった。

https://banabo.net/shimbun-midashi-katachi「あなたの新聞」より

塚原朋一裁判長は、「新聞社が多大な労力をかけて作成した見出しを無断で自己の営業に使ったのは社会的に許容されず、不法行為に当たる」と述べ、請求を棄却した一審・東京地裁判決を変更し、約23万7700円の賠償を命じた。

これは、ネット上での見出しの無断使用を違法とした初の判決。
これにより、ニュース配信をめぐるルールに大きな影響を与えるだろう。

このデジタルアライアンス社は、新聞社・通信社が、「ヤフー」に有料配信している記事の見出しを無断利用し、「一行ニュース」として配信して広告収入を得ていた。

この見出しをクリックすると、ヤフーのホームページに飛び、記事本文が読めるようになっている。

6日、「見出し無断使用、ネット会社に賠償命令! 読売新聞逆転勝訴」ヨミウリ・オンラインの見出しがそのまま敗訴した「デジタルアライアンス」の「一行ニュース」にも流れた。

しかし、6日午後には、「見出し著作権裁—デジタルアライアンス社に賠償命令—知財高裁」と別の見出しに差し替えられた。

デジタル社の有本哲也社長は、「裁判結果をお客さんに伝える必要があり、一番早くネットに流した読売の見出しを使った。
いつも通りの対応だった」と釈明したが、「判決を詳しく検討して今後の対応を決めなければならず、今、波風を立てるのは良くないと思った」ため、見出しを差し替えたという。

では、どんな判決だったのだろう?
「見出しは、多大な労力、費用をかけた報道機関の活動が結実したもので、デジタルアライアンス社の行為は、読売新聞の法的保護に値する利益を侵害した」と判断した。

その上で、デジタル社の事業について、「見出しが作成されて間もない情報の鮮度が高い時期に複製利用している」「営利目的で反復継続している」などの点を挙げ、「原告の法的利益を侵害している」と結論付けた。

また、判決は見出しの著作権について一般的には認められないとしたが 、「表現いかんでは、創作性を肯定し得る余地もある」と述べた。

「見出し無断配信は違法」という初の司法判断に対して、不明確な部分も残る。
 見出しは法的保護に値する利益と認定したことにより、「多大な労力と費用をかけた見出し情報」が新しい形の利益侵害を違法と認めたのはかなり画期的なものといえる。

 
これは、著作物として認められないものであっても、創作性のあるものについては利益を認めるということだ。
 しかし、最終的には1カ月1万円という名目的な損害賠償には、なぜか拍子抜けしてしまう結論だった。

また、損害賠償を認めただけで、「差し止め」は認めなかった。
本来、不法行為に基づく差し止めという措置が取れないのは大きな疑問として残る問題だ。

フランスのAFP通信は、東京発で、「日本の新聞が見出しのオンライン使用をめぐる損害賠償請求訴訟で勝訴」との見出しで世界に配信した。
記事は、「判決は、新聞見出しに保護を与え、日本では初の判断」と報じた。
知財高裁は、ネット上に公開された情報は、誰でも自由に利用できるというネット世界の “常識 ”に対し、たとえネット上であろうとも、情報の商業利用に一定のルールを設けた。

※注・「見出し」も創作性のあるものは著作権を主張できるが、単なる事実の場合 (工夫がない)は自由に利用できる。

さらに詳しくは、下記「日本新聞協会」を参照してください。

 

©NPО japan copyright association


↓著作権noteマガジン
https://note.com/note_npo/m/mda45b5085c07https://note.com/note_npo/m/mda45b5085c07

https://note.com/note_npo/m/m2656037508d3


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