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芸術の雑想ノート

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映画、音楽、文学などに関する雑感を書いています。
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2019年12月の記事一覧

【随想】愛と情熱に生きたブロンテ姉妹

【随想】愛と情熱に生きたブロンテ姉妹

今日はクリスマス・イブということで、キリスト教にちなんだテーマを。昨年には、文学と信仰・宗教の関係性を、次の記事にまとめてみました。今回はもう少し的を絞って、ブロンテ姉妹のキリスト教観について触れてみたいと思います。

今から十数年前、初めて『嵐が丘』と『ジェイン・エア』を読了したときの感想は、次のようなものでした。

しかし念頭に置いておきたいのは、彼女たちが決して信仰を否定していたわけではなか

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【随想】耐える勇気とともに ―19世紀の女性詩人(2)―

【随想】耐える勇気とともに ―19世紀の女性詩人(2)―

続いて、『ブロンテ姉妹』(原題:"Les Sœurs Brontë")。彼女たちは小説だけでなく詩も書いていましたから、ここではあえて「詩人」と呼びます。

本作はフランスが制作したため、全編がフランス語となっていますが、語学に堪能だった才女の三姉妹のことですから、あながちあり得ないシチュエーションではなかったのでは。何といっても、ガヴァネスですから……(萌える!)

陰鬱なハワースの荒野が、彼女

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【随想】自らの魂に忠実に生きる ―19世紀の女性詩人(1)―

【随想】自らの魂に忠実に生きる ―19世紀の女性詩人(1)―

年末年始の日課として、日中は大掃除に原稿書き、あるいは外出して“アート系のものに触れて帰る”というルーティンを繰り返していますが、夜には19世紀の女性文学者を描いた映像作品を好んで見直しています。

まずは、エミリ・ディキンスンの伝記映画『静かなる情熱』(原題:"A Quiet Passion")。

これほど自らの魂に忠実に生きた女性がいるでしょうか。19世紀の抑圧された旧弊的な価値観の下で、ほ

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