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夏の尾道散歩 【2022夏18きっぷ旅①】

青春18きっぷで久しぶりに西に向かおうと思って路線図を見ていた時に、以前広島に行った際に通り過ぎた「尾道駅」が気になっていたことを思い出した。尾道が良いとよく聞く。
友達のしめちゃんも尾道デートをして結構良かったと言っていたし、尾道に行ってみようかな。
そんな感じで行き先を決めた。


私の国内の旅は大体18きっぷで弾丸で行くことが多い。
そうすると、テンポよく、あまりタイムロスがないように予定を組まないと、もったいないことになる。
今回も初めての尾道ということで、何があるかよく分かっていないまま乗り込むことになったが、一応やりたいミッションをいくつか決めておくことにした。

①尾道ラーメンを食べること。
尾道と言えば尾道ラーメンというワードを思い出したので、ラーメン好きとしてはこの機会に尾道で食べておきたい。
②広島風お好み焼きを食べたい。
尾道は広島なので広島焼きを食べたい。
③レモンケーキとかレモンを使った飲食物を摂取したい。
広島と言えばレモンなので、レモンを使ったスイーツを食べたい。

おっと。
やりたいミッションの3つが全て食べ物になってしまった。
まあ大体私の旅ってご当地グルメを追いかけるようなものばかりだし、旅とは食べることだったりもする。

食べ物以外で考えてみたが、尾道と言えばしまなみ海道が繋がっている場所。
今治まで行ってご当地限定の今治タオルを買いたいと思ったが、自転車で今治まではしまなみ海道を片道70㎞走り抜けないといけない。日帰りで大阪へどうにか帰ってくるというのは現実的に見て厳しそうである。
なので、
④少ししまなみ海道を自転車で走って橋を渡って島々や海を見ながら風を感じる。
を4つめのミッションにした。

それだけでもタイムオーバーになりそうだが、尾道に行ったことのあるしめちゃんに尾道のおすすめを聞いたら、「上の方の寺まで登って見た景色が良かったで」「あと、レトロな商店街が良かったで」と言っていたので、
⑤商店街と上の方の寺へ行ってみること
もミッションに掲げてみた。

ちなみに、1時間20分間だけ倉敷に途中下車して立ち寄ったから、尾道に着いたのがお昼の12時前。
そして終電が19時47分。
18きっぷ旅岐阜編で、トラブルに巻き込まれてあわや帰れなくなりそうな事件もあったので、今回は、終電1本前の19時の電車に乗るのを目指したい。
さて、滞在時間が僅か7時間でミッションをいくつクリアできるかのチャレンジ旅みたいになってきたけど、全力で楽しみたいと思う。

そんなわけで尾道の旅の始まり。

12:01
ネットでは雑貨屋って書いてたのに中華料理屋になってた大和湯
おのみちクリエイターズマーケット

まずは、レトロな商店街に行ってみた。

そこを抜けて千光寺というお寺までロープウェイで上がり、お寺をお参りして景色を眺めてから、降りて尾道ラーメンをサクッと食べようという前半の計画。
レトロな商店街は、本当にレトロでいい感じであった。
土地柄、おしゃれな自転車屋さんがあったり、温泉を改装した料理屋さんがあったり。
可愛い雑貨が並んでいるお店があったので、中に入ってみるとそこは、「おのみちクリエイターズマーケット」というお店で、尾道の若手のクリエイターがデザインして作っている商品が売られていて、手拭い好きの私が思わず一目ぼれした手拭いがあったのでそれを買った。早々とお気に入りの尾道土産(For自分)を買えて大満足。


幸先が良さそうだなと思いながらロープウェイ乗り場に向かう。
道中にあった「活版カムパネルラ」という店名がセンス爆発している文房具雑貨店さんも素敵だった。好きなデザインでノートが作れるらしいから、時間に余裕がある時にまた来て作ってみたい。

さて。
ロープウェイ乗り場に到着。
しめちゃんは、「ロープウェイはめっちゃ並んでたで」と言っていたが、全く人がいない。
なんと、メンテナンスで本日運休であった。

千光寺まで徒歩で20分と書いてある。
夏がぶり返したような暑さ。
ここまで来るだけで汗ダラダラなのだが、上まで20分間も歩いて登ることを想定していなかったが大丈夫だろうか。
気合いを入れて、家から持ってきていた手拭いを首に巻いて、千光寺へと階段を登り始める。
大量の猫に出会えるという「猫の細道」という道があったが、本物の猫とはどうやら暑さのせいか1匹も出会えず、本物ではない猫をたくさん見かけた。

「嘘やろ、35℃やで」と私が大きめの独り言を言ったら、前にいたお兄さんが振り返った。

坂にくっついたような形で古民家があり、いくつかの小さな古寺があり、私が好きな摩崖仏(岩にそのまま仏を彫っていて、自然の中に信仰が溶け込んでいるところが好きである)が味わい深くはあったが、そんなに味わっていられないくらいの猛暑日。
ジリジリ、ポタポタ、クラクラ、ごくごく。
尾道は坂の多い町ということは全身で理解した。

磨崖仏


ヤバすぎる暑さの中、30分くらいかけて登り坂を歩き、千光寺に到着。
上まで来ると風が通り抜けていて、風鈴の音が涼やかで、見晴らしも良く気分が良かった。
いやあ登って良かった!
疲れが少し飛ぶくらいの勢いで、そう思った。
千光寺も岩に飲み込まれそうな立地で立っていて、自然と共にある姿が好きだなと思った。

大きな数珠みたいなものを引いて回すとカチカチ言う。これがお経となる。


途中、志賀直哉についての説明書きの看板が出ていた。尾道のこの辺りで暮らしていたことがあるらしい。
さっき尾道商店街で見かけたパン屋の名前「パン屋航路」は志賀直哉の「暗夜行路」にちなんでいたのかと、パン屋航路先行で心に刻んだ。


行きの電車で読み始めた森見登美彦の小説「夜行」で、第一夜は尾道が舞台であった。
私が登ってきた坂道は小説に出てきたあの道ではないかと思えた。右手に雑木林、左手に階段状に民家。鍵となる小説の中の青い瓦屋根の雑貨屋「海風商店」はもしかしたらこの辺にあるのではないかと考えながら、坂道を歩いて登って下りてきた。
ロープウェイ運休のおかげでさっき読んだ小説の舞台を追体験しながら歩くことができたのは不思議な感覚だったので、ロープウェイに乗れなかったのは良かったのかも知れないな、と頑張ってそう思うことにした。


坂を下り終えた頃、体力が相当消耗し削られたので、尾道ラーメンを今すぐにでも食べてラーメンの汁をすべて飲み干さなければしまなみ海道はとてもじゃないが無理かも、という危機感を感じていた。
汗でぼとぼとになった手拭いをトイレの水道で洗って絞り、リュックに括り付けてワンポイントオシャレと見せかけて干すことにし、汗を拭いたり首に巻く用は、先ほど買ったかわいい手拭いにチェンジした。
かわいい手拭いを買った少し前の私よナイスである。
それから、レトロな商店街の適当なラーメン屋で尾道ラーメンを5分くらいで平らげ(いつでも早食いチャンピオン)、また大量に汗をかいた。

しめちゃんから「尾道ラーメンどやった?」とLINEが来たので、「背脂がもっとあれば良かったかな。1軒ではまだ判断できないけど特に語れることはない」と返事したら、「せやろ」と返ってきた。
ラーメン愛好家の意見交換終了。



前半の計画は予定が少し狂いながらも無事終了し、ミッションの①と⑤は完了した。

次は自転車を借りるため、海沿いを進み、「ONOMICHI U2」に向かった。
尾道はブルーの町だなと気づく。
借りた自転車は白色で、あまり選ばない色だが、この色がしまなみ海道にとても馴染みそうな予感がしていて良かった。

後半へ続く…


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