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世界が麺で満ちる時

私はラーメン大好きのりまきさんであり、これまで、たくさんのラーメン屋を旅してきた。
ラーメン屋を巡ってラーメンを食することを「旅」と言っていいと思う。
中学高校時代の行きつけは、大阪ミナミの金龍ラーメン、地元の天下一品河童ラーメン、梅田の古潭ラーメン
大学生時代には神座(かむくら)
20代前半は2号線沿いのラーメン街道にあるラーメン屋を片っ端から食べたり、バイト終わりに朝まで遊んで早朝に天一あたりでこっさり(こってりとあっさりの間のスープをそう呼んでいた)を食べて帰ったり。
それぞれの時代に自分の中でのお気に入りだったり通い続けたラーメン屋というものがあり、ラーメン屋を見ればその時代を思い出すくらい青春とセットになっている。

例えば金龍ラーメンは父親が大好きなラーメン屋で、子供の頃にミナミに連れて行ってもらった日は必ず金龍で食べて帰った。それ以降も、心斎橋の2丁目劇場でお笑いライブを見た帰りに友と食べて帰るのがセットだった。
神座は、大学生の頃に、徳島から出てきて大阪で一人暮らしをしていた彼氏に「うまいラーメン屋を知っている」とどや顔で言われて細長い神座に連れて行かれて、「どうマニアックやろ?」と言われたが、大阪の超有名店やしな、大阪生まれ大阪育ちの私をなめたらあかんで、と思いつつも黙って喜んで食べていた20歳の私とか。
令和に入ってからの私の一番好きなラーメン屋は圧倒的に「人類みな麺類」なのだが、40代になりこってり背脂豚骨がしんどくなってきていることも相まって、貝出汁の旨味が分かるお年頃へと進化したようだ。

ちなみに30代の私は、うどんにどっぷりと浮気をしていたので、遠距離恋愛のごとく月に一度は香川に通っていた。(うどん愛についてもいつか綴りたい)

これはエッジが効いてるタイプの麺。
これはエッジは効いてないけどコシがある麺。
エッジ分かるかしら。

讃岐うどんというものすごくエロい存在に夢中になり、麺のコシは?麺にエッジが効いているか?出汁は?トッピングは?などを一緒に行く人とメモしてノートにしたためていた。
家族や彼氏(神座とは別の。ちなみに徳島の男とはすぐ終わった)や友達など、色んな人と香川を旅して、ありとあらゆるうどんを食べた。
香川に行ってうどん屋を1日に7軒回ったりしていたから(1泊2日で11軒)、今以上に胃袋は底知れずであった。
しかしある日、うどん仲間の最重要人物だった一人がうどん旅の直後に糖尿病になってしまい、私のうどん仲間に激震が走り、それを機にうどん熱は一気に熱を失っていった。
そしてまた私はひっそりと、古巣のラーメン業界へと返り咲いて復縁した。
(あ、私にとって、本当の最大の愛は焼き肉とステーキであり、もう家族なので別れることはないし、常にこの身を捧げている。)

ラーメン業界を少し離れていた私は、すっかり関西ラーメン事情に疎くなってしまったが、私の友達のしめちゃんはずっとラーメンを愛してきた人間なので、最近のラーメン事情は彼女か彼女の兄から聞いている。(2人で定期的に行なっているヤサグレ会も常にラーメン談義の時間が設けられている。)
「人類みな麺類」(以下、「人類」と略す)も、しめちゃんから紹介されたヤツだ。
空いている時はほぼない。
いつも長蛇の列である。
(台風で電車が止まっている日に歩いて行ったら、かなり空いていたので台風が狙い目)

チャーシュー最高
エヴリバディ ヌードルズ



うどんに浮気する前はこってりラーメンが好きだったのだが、人類のラーメンはあっさりしているのに深みがあって濃厚という複雑美味で、なるほど、40代の大人のラーメン屋巡りはこういう路線で行こう、と驚きの発見があった。
人類は店の中ではずっとMr.Childrenが大きなテレビ画面に映し出されて大音量でミスチルの名曲がエンドレスで流されている。
しめちゃんはミスチルが唯一ここのラーメン屋で嫌いな点だと言い、私はと言うとミスチルは全然いいんだけど、株式会社の名前が「UNCHI」というセンスが嫌いな点である。
少し脱線すると、しめちゃんの最近の一番のお勧めは「鱗」というラーメン屋らしいが、ここも常に列を成しているからまだアタックできていない。
最近の私は、一人での遠征ラーメン中心になっていて、
飛騨の高山ラーメン、
和歌山ラーメン、
京都ラーメンなどなど。
あちこちでラーメンを旅している。



そして大阪のラーメンをおろそかにしていることに気づいて反省し、このたび大阪のラーメン業界で話題の「世界が麺で満ちる時」に行ってきた。

この店のネーミングセンスは、UNCHI株式会社の人類みな麺類で修業をした人が独立した店なので、癖のある店名にうなずける。
人類系のラーメン屋が大阪にポツポツ生まれていて、弟子の味を確認しようと思い来てみた。コロナ禍以降私は外食を控えており、ラーメン屋は、開店と同時か15時とかの変な時間帯などの客のいない時間帯か台風の日を狙うようにしていて、「世界が麺で満ちる時」はいつも長蛇の列だという噂を聞いていたから平日の18時オープンと同時に来店してみた。
店主1名、客は私1名。
ラッキーであった。
そして噂通り、ミスチルに対抗してか、店内のテレビにはB’zが大音量である。
90年代万歳。
メニューも「Orange Phantom」
「Alone」「Ocean」など、B’zにちなみまくっている。
この店はピリ辛オレンジオイルテイストが売りらしいが、あえてピリ辛を選択肢から外して、定番の醤油ラーメン「Alone」に煮卵トッピングをチョイス。客人アローンなのでちょうど良い。
ドキドキしているとドーンと出てきた「Alone」

アローン
僕らはそれぞれの麺を抱いて生まれた。巡り合うために。

(BGMと人類最強イケメン時代の稲葉浩志)

チャーシューは、見た目が薄切りハム系で、正直あまり好みではないなと思った。
人類の巨大な極厚の豚の角煮みたいなチャーシューとは違って、かなりあっさりしてそうだなあと少しがっかりしたものの、食べてみて「ごめんなさい!私がバカでした許して」とすぐに見た目がハムっぽいチャーシューに謝った。
しっかりした濃厚な味があった。

別の角度からアローン。

やるやんか、アローン。
スープも美味しいし、麺は人類に似た感じのコシのある太麺。
今まさに。

今がその時

満ち満ちたので、8分で完食。
ごちそうさまでした。
店員も驚きを隠せない高速スピードでラーメンを食べて店を出た。感染対策は完璧。
良き麺であった。


思えば私はラーメンが好きというか、麺類が好きだ。人類みな麺類、私も麺類である。
日本で食べるラーメンもうどんも好きだが、これまで世界で食べてきた麺料理も愛してやまない。

インド、ネパールやチベット圏で食べたトゥクパやチョウメン、
中国で食べた蘇州麺、杭州で食べた牛肉麺、台湾の麺線、
タイのパッタイ、カオソーイ、
ベトナムの牛肉のフォー。
ちょっと変形版でスペインのフィデウア、イタリアのスパゲティ、モロッコのクスクスも麺類とカウントしていいだろう。
もちろんカップ麺も麺類だからスペインのYATEKOMOも、インドのマギーも仲間だ。
だが、世界中探しても日清のカップヌードルに勝てるカップ麺はないと断言できる。

トゥクパ。インドのスパイスに飽きた頃に染み入る味。
台湾の麺線。出汁がうまいのよ。
パッタイと色々。
タイで食べた麺と多国籍メニュー。もれなく食べ過ぎ。
チェンマイのココナッツカレー味のカオソーイ。
ベトナム、ホイアンの朝ごはんについてた食べ放題のビーフフォー
バルセロナで食べたパスタのパエリヤ、フィデウア
モロッコのクスクス。世界最小パスタなのでこれも麺類。
スペインのあんまり美味しくないけどなんか食べちゃうヤテコモ。
インドのマギー。チリは半分しか入れないのがマイベスト
出来上がりのマギー
世界一美味しいカレーヌードルと剱岳。



世界中の麺のことを思い出しながら、帰り道を歩いた。
次の旅でもまた色んな国で色んな麺と出会いたい。
麺との出会いはやはり旅である。
世界は麺で満ちあふれている。
癖のある店名が、意外と私の心を打っていたらしい。
また、麺の旅に出よう、そして満ちよう。



気づけば結構書いていた私のラーメンnote↓


ただ「ラーメンを食べて美味しかった」という日記を書きたかっただけなのに、思いの外、3300字も語ってしまったので、これはもはや疑いようもない愛だろうと思い、こちらのだいふくだるまさんの企画に便乗させていただくことにしました。

いつもだるまさんの色んな愛について読ませてもらって、激しくうなずいています。
特にカレーとかスパイスとかインド映画とか。
愛って深くて広い。

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