nokofuku のこふくのきもの72候

日本には72もの季節に名前がついた七十二候があります。季節に合わせた着物のコーディネー…

nokofuku のこふくのきもの72候

日本には72もの季節に名前がついた七十二候があります。季節に合わせた着物のコーディネートを考えながら、日本の魅力を再発見しています。

最近の記事

第58候 虹蔵れて見えず(にじかくれてみえず) ('20.11.22〜)

小雪初候 虹蔵れて見えず(にじかくれてみえず) 実は松江では、この時期はたくさんの虹を見ます。時雨の合間に斜めの陽がさして、見上げると、やっぱり出てた。ということがよくあります。小雪というにはまだ早いようです。北の方は、ずいぶんと寒いのでしょうね。 中国では虹は龍ということで龍の帯を締めてみました。着物は横双の大島紬です。横双の大島紬は光沢感があり、ちょっと改まった感じのカジュアルな装いができるような気がします。 松江の朝はこのように、たなびく雲に朝日が当たり、豊

    • 第57候 金盞香し(きんせんこうばし) ('20.11.17〜)

      立冬末候 金盞香し(きんせんこうばし) 出雲地方である松江はいよいよ神在月に入ります。全国の神様が出雲大社に集られると言われています。一般的には神無月ですね。さてさて、金盞は水仙のこと、黄金色の引箔の袋帯が頭に浮かびました。暗いお茶室に映えそうな帯と思います。いらっしゃる神様方に失礼のないように、紋付の鮫小紋のお着物を選んでみました。 毎年、この時候になると、水仙を探しますが、やはりまだ、咲いておりません。水仙は北のほうが早く咲くのでしょうか?それとも南の方ですか?冬

      • 第56候 地始めて凍る(ちはじめてこおる) ('20.11.12〜)

        立冬次候 地始めて凍る(ちはじめてこおる) 桧垣文の十日町紬にざっくりとした真綿紬の八寸帯です。帯はイカットのような織りです。秋晴れの一日、日中は暖かく、ストールを肩にかけて、充分でした。 朝夕は冷え込むとはいえ、地が凍るとまではいかない松江地方です。露に朝日があたり、白く光っていました。 雲ひとつない良いお天気が続いています。夕方、仕事場から出ると、見事な夕焼けでした。 そして、小四の息子さんが、とってきてくれました。アケビと柿です。タネを庭に植えてみようと思い

        • 第55候 山茶始めて開く(つばきはじめてひらく) ('20.11.7〜)

          立冬初候 山茶始めて開く(つばきはじめてひらく) お茶の先輩から、炉開きのお誘いがありました。着物は、白い椿の小紋を山茶花に見立てて、思いついたものですから、選んでみました。帯は繻子の名古屋帯で、鳳凰の織り模様です。古い繻子の帯です。繻子の光沢感の改まった感じが好きです。 椿の小紋ですが山茶花に見えなくもありません。どうでしょう。 晴れたり、降ったり、コロコロと変わる空模様は、まさしく秋。松江の近くの山の紅葉は雨の中でもしっとりと、きれいでした。 寒くなってくる

        第58候 虹蔵れて見えず(にじかくれてみえず) ('20.11.22〜)

          第54候 楓蔦黄なり(もみじつたきなり) ('20.11.2〜)

          霜降末候 楓蔦黄なり(もみじつたきなり) 紅葉や蔦が色づく頃、まさしく松江の木々も色づき始めました。格子の紬に、もみじ、菊、蝶の型染めの帯を選びました。 寒くなり、ふらふらと飛ぶ蝶を見ます。 秋を経て蝶もなめるや菊の露  芭蕉 不老長寿の象徴の菊の露を飲むと、元気になると思われていたそうです。蝶が菊の露を飲む様は健気な感じがします。儚い美しい詩ですね。この帯にぴったりな詩を見つけて、嬉しく思いました。 散歩中に見つけた、落ち葉がとってもきれいで、輝いて見えまし

          第54候 楓蔦黄なり(もみじつたきなり) ('20.11.2〜)

          第53候 霎時施す(しぐれときどきほどこす) ('20.10.28〜)

          霜降次候 霎時施す(しぐれときどきほどこす) しぐれが降るようになる頃。朝時雨、夕時雨、空模様が刻々と変わり、とても美しいです。先日の十三夜もきれいでした。十三夜のお茶会や、秋の様々なお茶会に、万筋の江戸小紋を用意しています。帯は綴れの竹の模様の袋帯です。 十三夜の日、月の出から、あっという間に、あたりが暗くなりました。 竹の春という言葉があるそうです。木々が、葉を落す頃、竹の葉は瑞々しくあるので、竹の春だそうです。竹の春にちなんだ帯を占めています。 日の出の様

          第53候 霎時施す(しぐれときどきほどこす) ('20.10.28〜)

          第52候 霜始めて降る(しもはじめてふる)'20.10.23〜

          霜降初候 霜始めて降る(しもはじめてふる) 先日、陶芸家の岩佐昌昭さんの作品展に出かけました。 とっても美しい器を見せていただき感激でした。 岩佐さんファンのお友達と一緒に、久々に着物で出かけました。袷の着物の下に、単衣の長襦袢で、ちょうど良い気候でした。松江地方では、霜が降りるにはまだ早いようです。東北の方は、霜降かもしれませんね。どうでしょう? 朝の水滴の様子です。急に寒くなり、木々の葉が赤く色づいてきたり、木の実を見つけたり、秋のうちに気ておきたい、着物があ

          第52候 霜始めて降る(しもはじめてふる)'20.10.23〜

          ②第51候 蟋蟀戸に在り(きりぎりすとにあり)'20.10.18〜

          寒露末候 蟋蟀戸に在り(きりぎりすとにあり) 寒さを感じるようになって、虫たちも、冬に備えるのでしょうね。着物はぜんまい紬です。帯は真綿紬の素朴なほっこりとした風合いの織物です。どちらも、温もりを感じる布です。包まれていると、暖かです。 実は、キリギリスのことを思うと、胸が締め付けられるようなのです。 イソップのアリとキリギリス。 夏に遊んでいたことを責められて、食べ物を分けてもらえないという。いたたまれない。このお話は子供の頃から、怖かったです。 さて、 そ

          ②第51候 蟋蟀戸に在り(きりぎりすとにあり)'20.10.18〜

          第51候 蟋蟀戸に在り(きりぎりすとにあり)'20.10.18〜

          寒露末候 蟋蟀戸に在り(きりぎりすとにあり) ここのところ、お天気の日の続く、松江です。着物は、大島紬に、格子の名古屋帯を選んでみました。お茶の先輩からのお誘いがあり、近々出かけるのですが、雨の場合は、大島紬にしています。濡れたり、汚れても、気にならず、お手入れがしやすいように思います。 帯はすっきりと格子を合わせてみました。 朝晩が冷え込んできて、合わせの着物が着やすい季節になりましたね。 暦の方も、蟋蟀戸に在り、と、蟋蟀の声も、弱々しくなって、戸口で、〝おうち

          第51候 蟋蟀戸に在り(きりぎりすとにあり)'20.10.18〜

          第50候 菊花開く(きっかひらく)'20.10.13〜

          寒露次候 菊花開く(きっかひらく) 菊の花が咲き始める頃。松江の菊花展は松江城にて10月26日からです。ちょうど、重陽の節句の旧暦の9月9日のあたりです。丹精込めて育てられたみごとな菊が、たくさん並び、見応えのあるイベントです。 菊の模様は、礼装の着物の模様としても、よく使われる、おめでたい模様です。一年を通して使える模様でもあります。 今日の写真の着物は、節のある真綿紬です。横菊の型染めが並び、素朴な印象のお着物です。 タンスの中には菊の模様のお着物がたくさんあ

          第50候 菊花開く(きっかひらく)'20.10.13〜

          第49候 鴻雁来る(がんきたる)'20.10.8〜

          寒露初候 鴻雁来る(がんきたる) 寒露に入り、急に寒さを感じるようになってきました。着物もようやく袷を出そうと思います。袷わせの初めに、塩沢紬に手が伸びました。生糸と、真綿糸の両方が使われているということで、滑らかでありながら、素朴な風合いで、軽やかです。色も、秋始めを感じさせるような刈安色なので、ちょうどよい感じがします。 帯は暦にちなんで雁の型染めです。よくみると、鴈が網を持っていますね。不思議に思い、調べてみました。すると、”雁は蘆を銜みて網を捍ぎ、牛は陣を結び

          第49候 鴻雁来る(がんきたる)'20.10.8〜

          のこふくのきもの72候

          第48候 水始めて涸れる(みずはじめてかれる)'20.10.3〜 秋分末候 水始めて涸れる(みずはじめてかれる) 新米が出始めて、早速いただきました。透き通ったお米を食べる喜び、ご飯だけで充分に満たされます。あまりにも嬉しくて、ご飯色(?)の塩沢お召を出してみました。我が家のお米は5分つきにしてもらっているので、少し黄色味を帯びていて、ちょうど、この塩沢お召のようなお色です。 10月に入りましたので、本来ならば、衣替えで、袷のお着物になるのですが、普段着の場合は、感覚で

          のこふくのきもの72候

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          第47候 蟄虫戸を坏ざす(すごもりのむしとをとざす)'20.9.28〜 秋分次候 蟄虫戸を坏ざす(すごもりのむしとをとざす) 虫が隠れて戸を閉ざすころ。日を追うごとに涼しさが増してきます。着物に袖を通しやすくなってきました。着物は少しゴワゴワとした、素朴な感じの単衣の紬です。帯は生紬に蝶や菊、楓などが型染めされています。 虫たちがおうちの中に入りたそうです。ごめんね、と出て行ってもらいます。虫たちの様子からも、これから寒くなることを知らされます。 そんな、秋始まりのお

          のこふくのきもの72候

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          第45候 秋分初候 雷乃声を収む(かみなりこえをおさむ)'20.9.22〜 秋分に入りました。昼夜の長さが同じになる日。これからは日が短くなり、夜が長くなります。夏が大好きなので、毎年、この時期になると暑さの和らぎにホッとすると同時に、寂しさを感じます。 そんな時、無理をして、明るく振る舞うというより、内面を見つめるような暗めな装いに親しみを感じて、お着物を選んでみました。 このお着物は男物の小千谷縮を仕立て直したものです。いわゆる小千谷縮よりもしっかりとした生地感で、

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