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【詩】羊になることにした

傷口だと思っていたところから角が生えてきた
元に戻せなくなったので
仕方なく羊になることにした
「あなたの正体はよく分かっている」
そう言う人ほど何も知らないから
この空を隠すカーテンを引いて
長い手紙を書こう
君が眠る前に数えている
あの羊たちの群れに
迷いこんだとしても見つけてくれるかな

【詩】かぼちゃ色の夜

だれもが化け物になりたがるおかしな夜
君におもちゃの拳銃を向けられて笑った
あのとき撃ち殺されておけば良かったな
今年も同じことを考えている南瓜色の夜

【詩】霧の朝

星も
花も
音楽も
きれいなものはみんな
名前を付けられて汚れていく

風の音も
鳥の声も
君の呼吸も
いつもより遠くから
聞こえてくるような霧の朝

【詩】メロディ

誕生日ケーキを食べようとしたら
クリームの間から五線譜が出てきた
そういう運命なんだと言われた気がした
神様にはきっと耳も目もついていない
だから祈りの言葉は聞こえないし
手を合わせる姿も見えないだろう
嘘をついてはいけない場面なんて
この世にはひとつもないのに
今は本当のことしか言いたくないな
もっと良いものが手に入ったから
いらなくなってしまった あの愛とか
獏も食わないような この夢とか

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【詩】かなしい歌が連れてきたみたいだ

ずっと続いてほしいとか
早く終わってほしいとか
そんな願いには目もくれず
星はただ燃えて消える
離れ離れになる夢を見たんだ
悲しい歌が連れてきたみたいだ
次の曲が始まって
夢は消えたけど
流しきれなかった別れの場面がひとつ
今もまぶたの裏に残っている

【詩】七日目の月

薄く広がる雲の上に
七日目の月が出ている
星空にぼくたちの
影が溶けていく
ひとつずつ針で刺すように
波の音を縫い付けたい
信号が青に変わっても
ずっと渡らずにいたかった
ああ まるで
お伽話みたいな日々だったな

【詩】UFO

新しい星に着いたけれど
どうやって呼吸をすればいいのか誰も知らなかった
いつか生物が絶滅するこの星で
最後の二人が死ぬところを想像している
酸素の濃度が急激に下がっているようだ
それは愛の名を騙ってやってくる
未確認飛行物体
ぼくらは何も知らないまま乗せられて
気がつけばいつも宇宙の果て

【詩】砂の粒になって

広大な砂漠の砂の一粒になるよりも
小さな砂時計の砂の一粒になって
静かに君に伝えたい
これで全部終わりだよ、って