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400字程度で書かれた小説たち。ライフワークであーる。 2020年4月11日より2023年12月31日まで 「なかがわよしのは、ここにいます。」(https://nkgwysn.…
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#日記

【400字小説】無題と見せかけて、、、

【400字小説】無題と見せかけて、、、

カネコアヤノのパーカー、まだ着られる季節。
貯金しておいて良かった、新作パーカー気に入って。
カネコアヤノに会えたらって妄想。
絶対握手してもらう、強要。
それは何ハラスメントっていうのかしらね。
サインはもらわない。
吉野さんにも向井さんにも
要求しなかった、個人的には。
吉野さんに握手してもらったことは覚えてる、
向井さんとはしたっけ?

緊張して。

「写真撮ってください」とも言えなかったな

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【400字小説】過去から感じる世界線

【400字小説】過去から感じる世界線

《今》なんてないんダヨ。
過去と未来しかない。
今を捕まえようとしても、
思考が追い付いていかないじゃん。

あの人と家族のことを思う
過去と未来。
死んだらやっと《今になれる》
のかもしれない、知らんけど。

「過去と未来の間にわたしの宇宙があるの」
「体とか精神じゃなくて?」
「精神なんてないんだよ。脳があるだけ。
ただの物質という体」
「だったら、きみのなかに
宇宙はあるって矛盾じゃない?」

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【400字小説】あなたとキツネの隙間から

【400字小説】あなたとキツネの隙間から

覗いてたのは意味なんてなかったからで
剛毛のあなたには抱き締められないさ。
影響受けやすい感受性。
甘いもので虫歯になる可能性。
水溶液は水曜に溶けやすいって知ってた。
あと18分しかないから死んだも同然だ。
間に合わなかった、行っちゃったね、イキかけたね。
センター前タイムリー忘れないのは大谷翔平の方だ。
NBA観に渡米。
徴兵は勘弁してくださいな。
もう50歳かと思ったらまだ48歳でした、ね。

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【400字小説】平均的な天才

【400字小説】平均的な天才

「切腹してお詫びしますっ」と
営業成績優秀の生原が
課長のデスクの前で土下座。
まさか本当に脇差を持っているなんて
思いもしなかったから、初動が遅れた。
それと併せて野次馬な心も出たのは正直なところ。
「まさか刺さないだろ」とも高を括っていた。

刺した瞬間のリアクションは
人間としては正直なそれだったと感じる。
俺も含めたオフィスの誰一人、
身動きできなかったのが、その証拠。
2・0秒してやっと

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【400字小説】トレー

【400字小説】トレー

不思議に思っているのが、
水や空気を固めて持ち運んだりできないこと。
なぜ手のひらに収めてしようとするのに
できないんだろうって、ハヤオは考えちゃうよね。

ジローは当初、面白おかしく
ハヤオの哲学的疑問に対して
ウンウンと頷いていたのだけれど、
さすがにうざったくなっちゃった。

アルバイトで週に3日も会って、
その昼食中ずっと哲学されたもんじゃ、
たまったものではない。
今日もバイトの賄いをお

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【400字小説】棒

【400字小説】棒

昨夜、深い2時までSTAND FM.聞いちゃって
頭がボーッとしている。
気晴らしのために聞いていたのに
やめられなくて、逆効果。

睡眠が大事なのは身を持ってわかっているつもり、イズミ。
イケボに吸い込まれて聞き入り、
最後に時間を確認した
1時58分以降の記憶がない。

寝落ちしてしまって、猫の《ボーちゃん》に
起こされた、朝、5時。
もうスタエフはほどほどにしようって心に決める。

安眠棒っ

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【400字小説】保険

【400字小説】保険

忘れた頃に好きだった彼女からLINEの返事。
オウジはその恋を諦めていたので、淡々と受け止めた。
今さら追いかけても、遅いレスポンスに
振り回されるだけだと、自分に言い聞かせる。
保険レディの仕事をしているから、
その勧誘に繋げる気だろうと警戒。
でも、初めて会ったスタバの窓際の席で
ひとり読書していた彼女の横顔は美しくて、
2年半経っても忘れられない。
ほかの客ことのもお構いなく、
気がついたら

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【400字小説】円

【400字小説】円

究極の円を描きたいと
丸を書きまくっているタサエは腱鞘炎。
昨夏のことは忘れてしまって
「寒い寒い」と連呼するのは都合が良過ぎる話で、
暑さがやって来る気配は当然のことながらない。

コツコツと足音を刻んでやってきたのは助教授で、
彼はタサエの円への執着心に一目を置いていた。
「何か夢中になれることは素敵だ」が口癖だから、
いくら描いても一円にもならない行為を
永遠に続けるように見えるタサエを尊敬

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【400字小説】石

【400字小説】石

面接で頭が真っ白になったココミは、その沈黙部屋で、
面接官までの距離がずっと遠くになった気がした。
まるで中世ヨーロッパの貴族と来客者の食事の席のよう。

真っ白だったからココミは何も考えなかったわけではない。
「何か喋らなきゃ(×16)」と碇シンジみたいに自分に言い聞かせた。
面接官は柔和な笑みをこぼして待ってくれていたが、
履歴書をクリアファイルに仕舞ったので、
実質もう終わったんだと諦めた。

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