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不競法2条1項3号 商品形態模倣行為

1.条文解説

 今日では、3Dプリンタに代表される複製技術はかなりの発展を遂げています。このため、商品形態の模倣(特にデッドコピー)が容易になっています。

模倣者は商品化リスクを極小化できます。しかし、先行者の立場から見ると、模倣者の行為によって先行者の先行利益は大幅に毀損されます。このような状態を放置すると、先行者が現れなくなることが考えられます。そこで、公正な競業秩序を維持するために、デッドコピー品の譲渡等を不正競争としています。

なお、デッドコピー品等の試作「だけ」にとどめ、譲渡等しなければ不正競争ではありません。これは、商品開発の際に他社製品の解析や、他社製品に相当する製品を実際に作ってみる行為まで規制すべきではないからです。
なお、試作品を無償譲渡すると、当然、不正競争になります。

 ここで、商品形態とは、需要者が通常の使用法に従った使用に際して知覚によって認識する商品の形状や形状に結合した色彩等のことです。普通の使い方では見えない部分の形状等は商品形態とはされませんが、内部形状でも見える部分は商品形態とされます。内部形状まで保護が与えられるのは、例えば、バッグです。

 なお、仮にデッドコピー品を販売したとしても不正競争にならない場合もあります。これは、(i)ありふれた商品形態である場合、(ii)当該商品の機能を確保するために不可欠な形態である場合です。ただし、機能確保に不可欠な形状は、特許件によって保護されている場合があります。特許権によって保護されている場合には、不正競争にはなりませんが、特許権侵害になります。不正競争とされるよりも、特許権侵害とされた方がダメージが大きいため、注意が必要です。

2.適用例

・令和1(ワ)11673
 東京地裁ですが、女性用下着(ナイトブラ)のデザイン模倣に関する裁判において、不競法2条1項3号で2億円強の損害賠償請求を認めた裁判例があります(令和1(ワ)11673)(裁判所の判決文)。やはり、商品寿命(商品サイクル)が短めのアパレルでは、不競法2条1項3号は利用価値がありそうです。一方、不競法2条1項1号の主張は特別顕著性・周知性が否定され、認められませんでした。
 また、実質的同一性の判断基準も、問題とされている商品の形態に他人の商品の形態と相違する部分があるとしても,・・・相違がわずかな改変に基づくものであって,商品の全体的形態に与える変化が乏しく,商品全体から見て些細な相違にとどまると評価されるときには,当該商品は他人の商品と実質的に同一の形態というべき、としています。


・不競法2条1項3号

(定義)
第二条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
三 他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為

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