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商標法43条の2 登録異議の申立て


1.概要

 拒絶理由があり、登録されるべきではない商標登録出願が、審査過程でのミスにより登録されることも考えられます。このような場合、審査のミスで成立した権利が存続すべきでない場合もあります。このような場合、商標登録を維持すべきか否かを(審査の見直しという観点から)判断するための制度として、本条が設けられています

 具体例ですが、自社の商標を付した商品を販売している場合も多いと思います。この場合、自社商標と同じ商標やほぼ同じ商標が、自社で販売している商品について商標登録されると困ります。これは、自社の商品販売等に対して、商標権の行使(差し止め)、ライセンス料の支払いなどが必要になるかもしれないからです。このような場合、無効審判を請求することもできますが、商標登録後に発行される商標掲載公報発行日から2月以内であれば、登録異議申立をすることができます。

 上記具体例とは話が違いますが、登録異議申立は何人もできます(利害関係は不要)。これは、登録異議申立が、公益的な目的を達成するために設けられているからです。

 登録異議申立の理由は、基本的に拒絶理由と同じです。ただし、商標法6条の一商標一出願違反は登録異議申立の理由ではありません。一方、商標法8条の先願主義違反は、登録異議申立の理由です。また、後発的無効理由に相当する登録異議申立の理由はありません。これは、登録異議申立が、登録処分の適否の判断を行う制度だからです。

 商標掲載公報発行日から2月という期間は、縦覧期間(商18条4項)と同じです。なお、登録異議申立可能な期間内に無効審判を請求することもできます。

2.追って補充

 異議申し立てや審判請求において、書類作成の時間的余裕がない場合、「追って補充」と書類に書いて提出することがあるようです。

 できれば、最初からしっかりと記載しておいた方が良いとは思いますが、期限日の前日などに依頼された場合などは、「追って補充」と書類に書いて提出することになりそうです。

この「追って補充」と書類に書いて提出することが、手続き上問題ないのか調べてみました。

一応は問題ないようなのですが、ある程度の時間が経つと、補正指令が発せられ、その後、審判請求書が却下されるようです。

《請求の理由・証拠方法》 Q1-18:請求の理由の作成が間に合わないので、審判請求書の【請求の理由】の欄に「追って補充する」と記載して提出した場合、どのように扱われますか。
(四法共通) A1-18:審判請求書の【請求の理由】の欄に「追って補充する」と記載して提出した場合、できるだけ速やかに【請求の理由】の記載を補充する手続補正書(方式)を提出してください。手続補正書(方式)の提出がない場合は補正指令が発せられ、これに応答しなければ審判請求書は却下となります。

https://www.jpo.go.jp/faq/yokuaru/shinpan/document/index/08.pdf

・商標法43条の2

(登録異議の申立て)
第四十三条の二 何人も、商標掲載公報の発行の日から二月以内に限り、特許庁長官に、商標登録が次の各号のいずれかに該当することを理由として登録異議の申立てをすることができる。この場合において、二以上の指定商品又は指定役務に係る商標登録については、指定商品又は指定役務ごとに登録異議の申立てをすることができる。
一 その商標登録が第三条、第四条第一項、第七条の二第一項、第八条第一項、第二項若しくは第五項、第五十一条第二項(第五十二条の二第二項において準用する場合を含む。)、第五十三条第二項又は第七十七条第三項において準用する特許法第二十五条の規定に違反してされたこと。
二 その商標登録が条約に違反してされたこと。
三 その商標登録が第五条第五項に規定する要件を満たしていない商標登録出願に対してされたこと。

●情報元
 https://www.jpo.go.jp/faq/yokuaru/shinpan/document/index/08.pdf

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