商標法10条 商標登録出願の分割
1.概要
本条では、商標登録出願の分割について規定されています。
本条における「分割」とは指定商品、指定役務を分割して別の出願とすることであり、商標に対する分割ではありません。このため、文字と画像が含まれる商標を、文字部分と画像部分とに分割することはできません。
なお、国際商標登録出願は本条の適用がないので、分割できません(商68条の12)。
指定商品、指定役務を分割しますので、元の出願には2以上の指定商品又は指定役務を有することが前提となります。ただし、包括的な商品区分等を指定している場合は、包括区分に含まれる商品等を分割することができます。また、元の出願からは、分割した指定商品等を削除する必要があります。
2.具体例
具体例ですが、出願Aを出願A,Bに分割する場合は以下のようになります。
この場合、出願Aに含まれる指定商品a1, a2のうち、a2が出願Bに分割される(出願Bに移る)ことになります。指定商品a1, a2が互いに類似するケースも考えられますが、その場合でも分割自体は可能です。
また、出願の分割なので、商標権の登録後は出願ではなくなっているので、本条の分割はできません。
分割ができるタイミングは、商標登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合と、拒絶査定不服審決に対する訴えが裁判所に係属している場合に可能です。
手続きを簡略化するため、元の出願について特許庁側が内容を把握している書面、書類は、分割出願について提出擬制されます(商10条3項)。このため、これらの書面を再提出する必要はありません。
3.その他
商標法10条1項の商標登録出願の分割は、「・・・かつ、当該商標登録出願について第七十六条第二項の規定により納付すべき手数料を納付している場合に限り、・・・」のように、手数料支払いが要件となっています。
たしか、手数料を支払わない大量出願・大量分割出願をした会社があって、それが原因で設けられた規定だった気がします。ルールの抜け道を悪い方向に突くと、ルールが厳しくなるという例でだと思います。
・商標法10条
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