見出し画像

パリ条約5条の3 特許権の侵害とならない場合

 パリ条約5条の3では、文理解釈上は特許権侵害となりますが、特許権侵害とは取り扱わない場合(例外)を規定しています。この例外が適用されるのは、船舶と、航空機又は車両と、に関する特許です。

 具体的には、各同盟国の領水(領海、内水路、港湾)に、他の同盟国の船舶が入った場合において、船舶附属物に係る特許発明を、船舶内で専らその船舶の必要のために使用することは、特許権の侵害とはなりません(パリ条約5条の3 1.)。「船舶の必要」という形で規定されていますので、科学調査船や軍艦などの艦種によって必要な範囲が異なります。なお、貨物船に搭載した特許製品を、船舶の必要とは関係ない範囲で使用する場合には、本条の適用はありません

 また、パリ条約5条の3 2.では、「航空機又は車両」が対象になっていますが、我が国では車両が対象外となっています。これは、我が国は他国と陸続きではないからです。また、「構造又は機能」に関する発明のみが対象外です。この場合においても、トラック等に搭載した特許製品を、航空機の構造又は機能と関係のない範囲で使用する場合には、本条の適用はありません。


・パリ条約5条の3 特許権の侵害とならない場合

次のことは,各同盟国において,特許権者の権利を侵害するものとは認められない。
1.当該同盟国の領水に他の同盟国の船舶が一時的に又は偶発的に入つた場合に,その船舶の船体及び機械,船具,装備その他の附属物に関する当該特許権者の特許の対象である発明をその船舶内で専らその船舶の必要のために使用すること。
2.当該同盟国に他の同盟国の航空機又は車両が一時的に又は偶発的に入つた場合に,その航空機若しくは車両又はその附属物の構造又は機能に関する当該特許権者の特許の対象である発明を使用すること。


#弁理士 #弁理士試験 #弁理士試験の受験勉強 #知財 #知財法 #パリ条約 #工業所有権の保護に関する1883年3月20日のパリ条約
#毎日note #コラム #毎日更新 #note #毎日投稿 #note毎日更新 #毎日 #最近の学び #毎日更新倶楽部 #考察コラム #クリエイティブ #士業

この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?