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特許法 みんな「鋭意に研究」していますよね?

 特許明細書や意見書において、「発明者は鋭意に研究し・・・」「驚愕すべきことに・・・」のような表現が使われることがあります。

 私は鋭意研究していない研究者などいない、のではないかと思います。

特許要件の判断では、基本的に鋭意研究したか否か、驚愕すべきか否か、は考慮されないはずです。また、試行錯誤結果についても特許要件の判断でも考慮されないはずです。

念のため、特許審査基準の進歩性の記載についても確認してみましたが、試行錯誤という単語は課題の認定のところにだけ記載されていました。

審査官は、請求項に係る発明とは別の課題を有する引用発明に基づき、主引用発明から出発して請求項に係る発明とは別の思考過程による論理付けを試みることもできる。試行錯誤の結果の発見に基づく発明等、請求項に係る発明の課題が把握できない場合も同様である。

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/tukujitu_kijun/index.html

ただし、この種の記載は、①発明者を称賛できること、及び、②行数を稼げること、においては適していると思われます。したがって、明細書を作成される方は、この種の試行錯誤の過程や、鋭意研究した等の文言の記載を出願人側から求められた場合には、権利解釈でマイナスにならない範囲であれば入れるのではないかと思います。

なお、一度だけかなり鋭意に研究したんだな、と思ったことがあります。
その時は、①従来はあるパラメータは特性と無関係というのが通説だったようですが、②発明者は他の研究結果との比較検討の結果、その通説は誤りであることを見出して、本願発明を完成させた、みたいなストーリーでした。

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