やっぱり、落ち着きます
どうも西尾です。
明後日からゴールデンウィークに入りますが、なんと長い人は明日から休みに入り11連休なんだとか。
11連休もあれば色々とお出掛けしたり、家でのんびりしたり、DIYなんかもしてみたいですね。
DIYで椅子でも作って、七輪買って川沿いで一人BBQでもしようかな(笑)
やっぱり、落ち着きます
お客さんのいない喫茶店
ブックオフに本でも探しにいこうと思い家を出て、気が付いたら3時間くらい立ちっぱなしだった。
何か目当ての本でもあるのかというとそういうわけではない。
何だろうな、あの本に囲まれた空間にいてると安心する。
本屋でも、図書館でも。
興味のある分野の本から、そうではない分野の本もいっぱいある。
それと掘り出し物なんかもあったりする。
文庫本や新書、雑誌に専門書、たまにハードカバーの本が見た目もすごく綺麗で書き込みも一切無いのに、200円で販売されている。
それを見つけると何だか得した気分になる。
Amazonでも中古本は売っているけど、実際に手にとって見れないのが難点で、本の状態(非常に良い・良い・可)などから判断して購入するけど、ポストに投函された実物を見てみると、これは“非常に良い”じゃなくて“良い”じゃないか?と思うこともある。
その点、ブックオフに行けば実際に手にとって確認できるのは有り難い。
でも目当ての本が必ずしも置いてあるかと言われると、そこは実際に行ってみないと分からない。
結局、ブックオフで2時間くらいは立ち読みしたり、うろうろしたかな。
時間もお昼を回っていた。
お腹も空いたし、どこかで休憩したい。
とりあえず、本を2〜3冊購入してブックオフを出る。
4月というのに汗ばむ陽気で、着ているシャツは腕を捲っておかないと、余計に汗をかきそうだ。
家に帰ると昼飯はあるしな、どこかで軽くコーヒーくらい飲めればそれで良いや、と思い昼過ぎの街中を歩いてみた。
桜の花弁はすっかり散って、新緑の若葉には漲る力を感じる。
スーツ姿のサラリーマンや財布とコンビニの袋を手に持つ事務員さん。
これからお昼休憩だろうか。
私はこの4月とは思えない陽気で暑くシャツの腕捲りまでしているのに、前を歩くサラリーマン風の男性はきっちりとジャケットにネクタイまでしている。
黒一色の肩掛けバックは見るからに重そうで、左右の肩のバランスが不自然になり、右肩に明らかに負担が掛かっているのが見てわかった。
そのサラリーマン風の男性はカツ丼屋の前で立ち止まった。
メニューを見て一瞬入ろうかどうか悩んだのだろうけど、店内の様子も見て直ぐに入って行った。
この人の今日の昼飯はカツ丼か、そんなことを思いながら私は歩いた。
歩いて数分の所にそのお店はあった。
やって来たのは喫茶店。
オシャレなカフェでも無く、スターバックスコーヒーやドトールコーヒーなどのチェーン店でも無く、個人でされているこじんまりとした喫茶店。
人通りの多い大きな通りから人一人が通れるような路地に入っていくと看板が出ていた。
4月の陽気で入口の扉も開けっ放しになっている。
お店に入ると、お婆ちゃんがテレビを見ていた。
テレビを見ているお婆ちゃんはこのお店の人だった。
私以外にお客さんは誰もいない。
私に気が付いたお婆ちゃんが「いらっしゃい」と優しい声で迎え入れてくれた。
私は隅っこの席に腰を降ろした。
お婆ちゃんがお絞りとお水を持って来てくれたので、ブレンドコーヒーをホットで注文した。
先程まで腕を捲って暑がっていたのに、ホットで注文してしまったことに後になって気が付いたけど、その時にはもう遅かった。
奥の方にある厨房からコーヒーの良い香りが漂ってくる。
お婆ちゃんと会話している声が聞こえてくる。
お店のマスターかな。
お婆ちゃんの旦那さんか息子さんだろうか。
程なくして、お婆ちゃんの「お待ちどうさん」の声と共に、白いコーヒーカップに注がれたブレンドコーヒーとゆで卵がやって来た。
注文はブレンドコーヒーたけだったが「ゆで卵も食べて」とご厚意に甘えてゆで卵も頂いた。
すごく芳醇な香りのするコーヒーで、あれだけ暑いと言っていたがホットにしておいて正解だった。
白砂糖を2回に分けて入れて、ミルクも入れる。
漆黒のコーヒーに溶ける白砂糖は跡形もなく瞬時に消えて無くなり、ミルクをゆっくり注ぐと、それはまるで漆黒の大海原に出航する船の航跡のように、ミルクが白波となって徐々に混じっていく。
気が付くと漆黒の大海原が、茶色を呈した外洋へと消え変わった。
コーヒーを味わいながらゆで卵を頂く。
小腹も空いていたので嬉しい限り。
久しぶりにゆで卵を食べた気がする。
小さい頃はあまり好きじゃなかった。
ゆで卵は口の中の水分が奪われてパサパサするからだ。
でもこの時食べたゆで卵は美味しかった。
あの時は分からなかったゆで卵の美味しさに気付けたのかもしれない。
そんなことを思っていると、クスクスと笑い声が聞こえてきた。
お婆ちゃんがテレビを見ながら笑っている。
テレビでは「徹子の部屋」が放送中だった。
私も久しぶりに見た「徹子の部屋」、それ以上にテレビ番組を見て笑っているお婆ちゃんにどこか居心地の良さを感じずにはいられなかった。
まるで本当の祖父母の家にいるかのような気分だ。
何だかすごく落ち着くのである。
ボサノヴァ音楽が流れてくる訳でも無く、ちょうどいい感じのダウンライトが灯っている訳でも無い。
タバコの煙で茶色に汚れた壁紙が目立ち、長年使用された木の机に椅子、もうそこは昭和時代にタイムスリップしたかのような店内だったが、この空間、この雰囲気が私には堪らなく居心地の良いものだった。
少しの間、ゆっくりさせて貰った。
再びメニューを見ると、ぜんざいなどもあるみたいだった。
次来た時はぜんざいも食べてみよう。
そう思ういながらお会計を済ましてお店を後にした。
良いお店で大満足だった。
以上になります。
お読みいただきありがとうございました。
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