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大学の文化祭という戦場にとん汁で特攻した話


毎日note更新40日目。

noteで今募集中のコンテスト

#これからの仕事術

に参加したい。

参加したいのだが、僕には特にこれといった仕事術はない。

そもそもサラリーマン経験もないため、世間一般的な仕事術は持ち合わせていない。

でも参加したい。

何か書く事はないだろうか。

昔、大学1年生の頃、学際でみんなでとん汁を売った事があった。

あの経験から何か仕事について書く事が出来るかもしれない。

あの時、とん汁を売った事で仕事における大事な何かを学んだ気がしないでもない。



大学1年生の秋。

クラスのみんなで文化祭に出店する事になった。

僕の大学は1回生の間だけ「基礎演習」という名前の中学や高校でいうクラスのようなものがあり、そのメンバーで1年通して様々なイベント等を経験していくのだ。

5月ぐらいに「新歓祭」という新入生限定の文化祭みたいなイベントがあり、そこで僕達のクラスが出した店は大成功を収めていた。

店の名前は

「きみのすぐそばめし」

そばめしの店である。

このそばめしが何故か飛ぶように売れて凄い利益が出た。

僕は個人的には大失敗すると思っていた。

まず店名がすっごい面白くないし(この案が出た時みんな大爆笑だった。このクラスで1年やっていくのが不安になった)

文化祭の出店でそばめしは売れないだろうと思った。

しかし蓋を開けてみれば売れに売れた。

僕は内心「ウソやろ!?」と思いながら表向きは「そばめし最高!」な顔をしていた。

そんな成功を収めての文化祭である。

みんな自信に満ち溢れていた。


まずは何の店を出すかだ。

みんなそばめしっぽい物を頭の中で探した。

そう、クラス全員「そばめしの二匹目のどじょう」を狙う気満々だったのだ。

みんなそばめしドリームを追い求めていた。


誰かが言った。

「とん汁ってどうやろ?」

みんなオオ〜!!となった。


何がオオ〜!!だったのかは未だに分からない。

誰かが

「とん汁って何かそばめしっぽいよな!!」てテンション上がりながら言った。

僕は心の中で思った。


どこがやねん。

とん汁のどこがそばめしっぽいねん。

とん汁もそばめし言われてビックリしてるわ。

ていうかどんだけそばめしの影追いかけるねん。


しかしそばめしの時も僕の予想に反して大成功したし、口出しは出来なかった。

僕は自分の商売センスに全く自信が無かったのである。


店はとん汁に決まった。

店名は「ぶっとん汁」になった。

「きみのすぐそばめし」っぽい名前を追い求めた結果だ。

僕はまた心の中で思った。


ぶっとん汁て何や!?

きみのすぐそばめしは腹立つ名前やけど、「すぐそば」と「そばめし」の「そば」で繋がってる!

ぶっとん汁はどこが繋がってんねん!?

「ぶっとん」と「とん汁」か?

「ぶっとん」て何や!?

ぶっとんなんて言葉初めて聞いたぞ!

何やぶっとんて!


僕の心の声はもちろん届く事はなく僕達のクラスは

「ぶっとん汁」を出店する事になった。

大学の学祭といえば様々な出店が立ち並ぶ。

群雄割拠。

まさに戦場。

そんな中に僕達はとん汁片手に突っ込んで行く事になった。


当日。

「ぶっとん汁いかがですか〜!!ぶっとん汁いかがですか〜!!」

僕は声を張り上げていた。


だからぶっとん汁て何やねん!

言うのめちゃくちゃ恥ずかしいわ。

もう普通に「とん汁」でよかったやん。


そんな事を考えながら僕は必死に呼び込みを行っていた。

なぜなら

全然売れていなかったのである。


開店して2時間、絶望的にお客さんがやって来ない。

みんなチラッと見ては素通りしていく。


何故だ!?

みんな焦りに焦っていた。

そばめしはあんなに売れたのに!

そばめしドリームをもう一度!


店の看板にはこう書かれていた。

「ぶっとん汁 400円」


激高である。

激高ゆりこである。

このとん汁の原価は確か100円ちょっとぐらい。

めちゃくちゃ利益出す気満々である。


誰がとん汁に400円も出すねん!

そら売れへんわ!

と僕は心の中で華麗な後出しジャンケンを決めた。


天候も味方してくれなかった。

その日は11月にしてはやたら暑かった。

とてもとん汁飲んであったまろうという感じではないのである。


少し遠くから店を見てみる。

「ぶっとん汁」の「っ」が小さすぎて

「ぶとん汁」に見える。


ぶとん汁て何!?

まっずそ!!

誰がぶとん汁飲みにくんねん!

ぶとん汁て何か村に代々伝わる、村の人は普通に飲むけどリポーターが飲んだらウエッ!てなる汁っぽいな!


久しぶりにお客さんが来た。

クラスの女子がとん汁を入れる。

カップの半分ぐらい。


すっっくな!!

どんだけケチるねん!

コース料理のでっかい皿の真ん中にちょこんて乗ってるムニエルみたいなってんぞ!


呼び込み担当の僕はイラ立っていた。

何せ、匂いは一丁前にうまそうなのである。

腹が減って仕方ない。

もう握り飯ととん汁をかき込みたい。

とん汁調理担当の男子も辛そうである。

歯を食いしばりながらとん汁をかき混ぜている。

今の所このとん汁は

「腹減らせ拷問装置」

としてしか機能していないのだ。


1時間後。

一気に半額、200円引きする事になった。

ぶっとん汁 200円である。

あまりにも売れなさすぎて煮込みすぎて具が溶けてきていた。

"具だくさん"ならぬ"具すくな"のとん汁になっている。

結果200円引きにしてもあまり売れなかった。


さらに1時間後。

売れなさすぎてみんなトランス状態になってきていた。

「ぶっとん汁いかがですか〜い!!」

僕も最後にいらん「い」を付けて遊んでしまっている。

調理担当の男子も不気味な笑顔でとん汁を混ぜている。

みんな半狂乱と化していた。

ぶっとん汁200円が売れない。

そしてついに決断した。

それはドラゴンボールで界王拳2倍から3倍に引き上げる悟空の如く

「原価もってくれよ!!100円引きだああ!!」


ついに100円となったぶっとん汁。

さすがに少しずつ売れだした。

しかし時すでに遅し。

終了の時間が徐々に近づいてくる。

みんなの覚悟は決まっていた。

「50円引きだあああ!!!」


まさかの50円になったぶっとん汁。

夕方になって寒くなった事も手伝ってかなり売れる。

しかし50円である。

余裕で原価を切っている。

ぶっとん汁は売れば売るほど赤字になる無双状態に突入していた。

もうここまできたらみんな普通に自分らでとん汁を飲んでいた。

狂乱の宴である。

そしてとうとうその時が来た。

「0円だああああ!!!!」


ぶっとん汁 0円。

ただの炊き出しである。

バ〜とそこら辺の人に配って

「ぶっとん汁」は閉店した。

結果的にぶっとんだ赤字が残った。


以上が僕らが学祭でとん汁を出店して大失敗した一部始終である。

とん汁はなぜ売れなかったのか。

反省すべき点はどこだろうか。

思い付くポイントを挙げてみよう。

・とん汁という料理は単体で成り立ちにくい(とん汁は何かメインの料理と一緒になる事で最大限の力を発揮すると思う)

・気候に左右されやすい

・値段設定が高い

・量が少ない

・店の名前が変

こんなところだろうか。

つまり反省すべきポイントは

ほぼ全部である。

これを反面教師にしてもらい

皆様のこれからの仕事術に役立てて貰いたい。


無理矢理締め括ったがこんな内容でコンテストに出しても大丈夫なんだろうか。

一応ハッシュタグ付けさせてもらいます。

最後に。

話の中で色々言っていたが僕はとん汁が大好物である。






100円で救えるにっしゃんがあります。