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朗読後記

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自分の朗読の反省文などをまとめました。(マニア向け)
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【朗読後記】山月記を再読してみた

【朗読後記】山月記を再読してみた

 大好きな作品の再読です。寅年の〆に読みました。前回読んだのは2021年2月でした。その頃はまだ朗読後記を書いていませんでしたが、この話を朗読した時のことはよく覚えています。前に習っていた講師の指導の下、時間をかけて練習しました。その講師に習うようになってから確か3作目か4作目でした。そしてこの作品は某朗読コンテストで課題になっており、私もエントリーして予選通過しました。入賞はしませんでしたが、他

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【朗読後記】小川未明『野ばら』を読んで

【朗読後記】小川未明『野ばら』を読んで

 今回初めて小川未明の作品を収録しました。朗読教室の課題になって読んだことは何度かありましたが、文体が自分の声に合わず、苦手意識が高く読めませんでした。

 さてこのお話し、「野ばら』といういかにもファンタジーなタイトルですが、そういうお話ではありません。いつものように優しい文体ではありますが、力強いメッセージある作品です。この時代に読むべきものだと思います。

 ある方の朗読を聞いて、私もぜひ読

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【朗読後記】嫌い、嫌い、大好きな話を読む

【朗読後記】嫌い、嫌い、大好きな話を読む

北村兼子の『ねこ』を読みました。

この時代に女性パイロットを目指したというのですからかなり飛んでた方だったんですね。かっこいい!文章もかなりかっこいいです。作品に出会ったときこれは読みたいと思いました。
私の場合、かっこいいなと思う文章ほど読めません。これも難しかったなぁ。もう少し練習すればよかったとも思いますがキリがないので区切りをつけました。でもこれは自分の十八番にできたらいいなと思う作品な

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【朗読後期】読み分けは難しい

【朗読後期】読み分けは難しい

朗読では1作品の中での「読み分け」も重要な要素です。
まず考えるのは会話文の時ではないでしょうか。誰が話しているのかわかるようにします。手法のひとつが声の高さを変えること。子供や女性は高めに、男性や年寄りは低めにというものです。地の文もありますから登場人物が2人くらいの時にはこれで凌げます。器用な人は七変化で登場人物ごとに声色を変える人もいます。私は声色の数はあまりないので、違う部分で音に変化を出

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【朗読後記】1年後に読んでみた

【朗読後記】1年後に読んでみた

毎度どの作品も苦労しますが、太宰治の「待つ」は長く取り組んだにもかかわらず、特にダメだったものの一つです。あの後、たまに読んでみたのですが、いつまで経っても自分にとって心地いい音が聞こえてこない作品です。

久しぶりに去年収録したものを聞いてみました。
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……
なんだこれは……
これを「ましだ」と思っていた当時の私の未熟さよ……。

ひどっ…💧

この1年で耳が進歩した証拠です

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【朗読後記】U35京都朗読コンテスト 予選指定テキストを読む

【朗読後記】U35京都朗読コンテスト 予選指定テキストを読む

今年初めて開催される朗読コンテストの課題を読ませていただきました。
もちろんこの音源を予選に提出するわけではありません。応募資格に年齢制限があるのですが、ちょびっと(?)オーバーしているので出せません。応募資格は16〜34歳。朗読が好きな方にたくさん応募していただきたいです。

むっちゃ狙い目ですよーー!どんな読みを求めているのかは募集要項に書いてあります。
さあ、みんなチャレンジしてみましょう!

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【朗読後記】桜の話と早口ことば

【朗読後記】桜の話と早口ことば

4月なのに寒いと思っていたら、今日は初夏の陽気です。冬物はもう片付けて大丈夫でしょうか…。今年こそ着なかった冬物を断捨離するぞと今思いました。

私が住む街の桜もだいぶ散りました。今回はこの季節に読みたいなと思っていた梶井基次郎の「桜の樹の下には」を読みました。
グロテスクな表現があるのでおどろおどろしく読む方もいるようですが、私は違う味わい方をしています。
「こんなことを想像できるんだぜ、オレ�

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【朗読後記】朗読発表会での話

【朗読後記】朗読発表会での話

12月25日、朗読教室の発表会がありました遠方であることとコロナ禍が重なり、前回の夏の発表会や先生の朗読会には行けず、今回念願の初参加になりました。

楽しかった〜♪ スポットライトや音響などにまで気を遣っている発表会を経験したことがなかったのでワクワクしました。お客様も今までで一番多かったとか。先生や朗読会の仲間も、初参加の私を温かく迎えてくださって嬉しかったです。皆様どうもありがとうございまし

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【朗読後記】表現について

【朗読後記】表現について

自分の趣味がそうだからかもしれませんが、最近朗読が流行っているなと思います。私が朗読をし始めたのは10年以上前ですが、その頃から比べて随分メジャーになりました。朗読とひと口にいってもいろいろなやり方があります。楽しみ方も目的も目標も人それぞれです。今回は表現についての考えをお話をします。

朗読を習っている人の中には、感情を抑える読み・作品を届ける読みというのを聞いたことがあると思います。また逆に

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【朗読後記】思い出がショートショートになった話

【朗読後記】思い出がショートショートになった話

今回の朗読は深川岳志さんの『歩道橋』です。私は毎日のようにclubhouseの深川さんのroomにお邪魔します。このお話は、そこでの雑談の中から生まれたものです。こちらがその時の深川さんの記事です。

私が話した歩道橋にまつわる思い出話が2つ、このショートショートに含まれています。それについて今回はお話しします。

歩道橋の思い出 その1中学校の通学路にある歩道橋でのことです。幹線道路を渡るために

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脚本『月想』を読んだ話

脚本『月想』を読んだ話

今の季節にぴったりな作品です。脚本家の高橋郁子さんが個人で楽しむ範囲でと公開してくださっている脚本の朗読をしました。原案は今昔物語集第27巻24話です。(使用については条件があります)

この原作は以前ある朗読コンテストの課題になっていました。古文の朗読なんてしたことがないのに勉強もせずに挑戦し、当然玉砕。不選考事由には「早すぎる。セリフがわざとらしい」と書いてありました😔

この「月想」は舞台

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【朗読後記】「沼」に嵌って出られなかった話

【朗読後記】「沼」に嵌って出られなかった話

まさに底なし沼でした芥川龍之介の「沼」を朗読しました。まだまだうまく読めていないのですが、ここまで来るのに3か月かかりました💦
ゆっくり読んでも7分かからない短い話なのですが難易度高けぇ~~!今まで読んできたものの中で一番難しいかったです。かっこいい文章なので上手に読めれば相当かっこいいはずなんだけど、かっこいいとか悪いとかそういうレベルで読めるまでには至らず、朗読の体を為すことで精一杯でした。

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「一の朗読」朗読リスト&朗読後記(リンク集)

「一の朗読」朗読リスト&朗読後記(リンク集)

<作家名敬称略>

◤anchor.fmにて公開している朗読◢

◎芥川龍之介「蜜柑」
「蜜柑」(再録・2022年)ー後記:今年初めて読む話は
「妙な話」
「蜘蛛の糸」
「魔術」 1・2・習作ー後記:「魔術」芥川龍之介「魔術」を読み直してみる
「藪の中」前編・後編ー後記:芥川龍之介「藪の中」を読んでみる
「ピアノ」ー後記:芥川龍之介「ピアノ」
「蜘蛛の糸(再録・2022年)」ー後記:「蜘蛛の糸」を

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【朗読後記】ZOMBIEものを読む

【朗読後記】ZOMBIEものを読む

私のTwitterやInstagramをご覧になった方はご存知かもしれませんが、私はホラー映画が好きです。ゾンビものの映画もたくさん見ています。なのでホラー作品の朗読にチャレンジしてみました、という話ではありません。
今回読んだゾンビものは全く怖くないゾンビの話です。よく朗読させていただいている深川岳志さんの8編の連作を3回に分けて収録しました。
くだけた話なので軽い感じで読んだつもりです。ゆるい

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