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「時間泥棒」完結済み 全16話

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平和な僕らの町で、ある日、イエローバスが衝突するという事故が起こった。ライオン公園で撮った覚えのない五人の写真を見つけた千斗たちは、意味ありげに逃げる白猫を追いかけて商店街まで行…
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#泥棒

「時間泥棒」第一話

「時間泥棒」第一話

第一章動かない猫

「いってきまーす!」
 スニーカーを履いて玄関から飛び出すと、四月の風が頬をなでる。通いなれた道を歩いて今年で六年目。満開まであと少しの桜と日差しが、気持ちいい。
 急にぽかぽかしてきた陽気のせいなのか、ベンチで眠りこけてるお年寄りや、バスが来てるのにぼーっと立ち尽くしているスーツ服のお姉さんなんかで目白押しだ。
 大人になると忙しすぎて、みんな疲れちゃうのかな。
 そんなこと

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「時間泥棒」第八話

「時間泥棒」第八話

天川の行方不明事件
(1)

 自宅に戻ると、いつもより元気のない僕に気づいて、お母さんが心配そうな顔をした。だけど、靴を脱ぎながら黙っている僕に、それ以上話しかけてはこない。
 今のままではスカーフェイスを捕まえるどころか、姿さえ見つけるのは難しい。手がかりと言えば救急車のサイレンだけ。その音を頼りにあいつを追うわけだけど、救急車が現場に到着するまで、親切にスカーフェイスが僕たちを待っているはず

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「時間泥棒」第九話

「時間泥棒」第九話

天川の行方不明事件
(2)

 目を覚ますと朝八時だった。目覚まし時計の音と同時に、腕時計から紅葉の声が届く。
『おはよう! 昨日考えたんだけど、スカーフェイスを見つけても、素手じゃなかなか捕まえられないと思うの。だからみんな、家を出るときに虫捕り網を忘れないで!』
 めずらしく起きているジョージが、元気に答える。
『オゥ! じつはそれ俺も考えてたよ! 思いついたのは野球のミットだったけどな!』

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「時間泥棒」第十話

「時間泥棒」第十話

天川の行方不明事件
(3)

僕はライオン公園までの上り坂を一気に駆け上がる。脇道から乙女町に入り、《北川理髪店》の前へたどりつく。するとちょうど店からミチルが出てきた。
 腕時計を確認すると、時刻は九時三〇分。
「千斗君! さっきお父さんが、天川で小学生が消えたって!」
 ミチルもどうやら行方不明の男の子の話を聞いたみたいで、かなり慌てている。僕は呼吸を整えて言った。
「……うん! 僕も聞いた!

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「時間泥棒」第十四話

「時間泥棒」第十四話

第十章不法の器の代償

 カラス神社に着いたのは、それから十分ほど経ってからだった。窮屈そうに虫網に押し込められたスカーフェイスは、まだ意識を取り戻していない。
「マルコ! ミチル! おまたせ! 本当におつかれさま!」
「おまえらマジでクレイジーにすごいぜ!」
 自転車を止めて二人に駆け寄ると、マルコとミチルは照れくさそうに顔を見合わせた。
「みんな、気をつけてね。クロの意識が戻ったら、目を見ない

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「時間泥棒」第十五話

「時間泥棒」第十五話

第十一章ミチルのフラッシュ

 紅葉とジョージの意識が戻ったのは、それからすぐ後のことだった。気がつけば、状況がガラリと変わった様子を見て、ジョージも紅葉も目を丸くしている。
「おぃ⁉」白地の黒ぶち猫を見たジョージが突然叫んだ。「うし?」
 どう見たって猫だよ、ジョージ。
「これは、一体どうなってるのよ?」
 時間をかすめ取られて状況がつかめていない紅葉たちに、その間に起きたことを説明すると、二人

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