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記憶のはなし

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ひとは、記憶があって、はじめて、人として生きていけます。記憶は、そのひとの、存在の履歴であり、証です。もし、記憶がなくなったら、ひとは、どうなるのでしょうか?…そのことを、ずっと…
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連還する記憶 ⑧ 

連還する記憶 ⑧ 



連還する記憶 ⑧

<記憶の共有>

ヒトと他人は身の保全のために集団を形成します。集団の中で、致命的な考えの相違により、生命を否定し存在を脅かす事態が発生しても、集団の理念がこれを検証し、裁定し、統合します。

集団と集団の間で、ヒトの致命的な対立が生じ、生命を否定し存在を脅かし、共同体の存立を否定、錯乱、破壊する事態が発生しても、各集団の理念を突合せ、検証し、すり合わせ、より広く包括的な

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連還する記憶 ⑦ 

連還する記憶 ⑦ 



連還する記憶 ⑦ 

観念を造り出す知性の働きから、理想の誕生と理念の構築という、認識能力を備えたヒトとして、象徴的な収穫物を得られることを確認しました。

本来的に生き物であるヒトやヒトの集団は、自分が生存するに足る理想を造り出し、それを守り抜くべく理念を構築し、実践します。その過程で、ヒトは、生きるために実践するあらゆる行為を、生体に結びつく有機的な観念記憶として、自らの認知体系に保存し

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連還する記憶 ⑥ 

連還する記憶 ⑥ 

連還する記憶 ⑥

連還する記憶⑤では、生命記憶と存在記憶と同じ時間と空間を共有しない観念記憶の脆弱性と危険性について、考察しました。

生命体と時空を共有しない記憶、それは、生命と存在の、たえまなく繰り返される連還の有機的記憶の集積(歴史)へのアクセス権をもたない、閉鎖回路内で自己完結する、無機質の観念記憶です。

生命と存在に有機的に関わる記憶には、生命を否定し存在を脅かすものに抵抗し、排除し

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連還する記憶 ⑤ 

連還する記憶 ⑤ 



連還する記憶 ⑤

連還する記憶 ④では、生命記憶と存在記憶の他に、生命体と同じ時間と空間を共有しない記憶、すなわち、観念記憶について触れました。

今回は、その観念記憶について、考察を深めていきましょう。

生命記憶と存在記憶との関連で観念記憶を考察するまえに、観念記憶そのものについて、考えてみましょう。

観念は、もともとギリシャ語のイデアを指す日本語で、ヒトが、生まれながらに備え

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連還する記憶 ④ 

連還する記憶 ④ 

連還する記憶 ④連還する記憶 ③では、存在記憶について、考察しました。

つまり、

存在記憶
新たな生命は、お母さんのおなかの中にいる間に、胎盤を通して生命記憶を受け取る一方、生まれたときから、存在記憶の記録が始まります。

存在記憶は、血肉に宿る数億年の生命記憶を生きるために活用し、展開し、開発し、進化します。存在の記憶は、進化の記憶なのです。

ところで、生命記憶をベースに蓄積された進化記憶

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連還する記憶 ③ 

連還する記憶 ③ 

連還する記憶 ③連還する記憶 ②では、生命記憶について、考察しました。

つまり、

生命体は、自分が壊れないように、また壊れかけても恢復できるように、生き抜くための記憶を、代々、長年にわたって蓄積伝達してきました。

また、ひと類が、宇宙の実像を未だ認知できないのとおなじように、ひと類の認知機能は、生命記憶の実像を、未だ認知することができないでいる事実についても、おはなししました。

それでは、

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連還する記憶 ②

連還する記憶 ②

連還する記憶 ②初回では、ひとの記憶には二つある、とおはなししました。
生命記憶と存在記憶です。
それでは、それぞれの記憶について、具体的にみていきましょう。

生命記憶
生き物という有機体は、数十兆といわれる多くの細胞で、できています。そして、それぞれの細胞には、生類の誕生以来、蓄積継承してきた記憶があります。

最近の研究で、細胞同士が、独自に情報を交換しあっていることが、わかってきました。細

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連還する記憶 ① 

連還する記憶 ① 

連還する記憶 ①ひとの記憶には、次の二つがあります。

生命記憶
生き物という有機体は、数十兆といわれる多くの細胞で、できています。そして、それぞれの細胞が、生類の誕生以来、蓄積継承してきた記憶があります。それを生命の記憶、生命記憶といいます。

生命記憶は、生きるための記憶です。生命体の寿命が尽きるまで、生きるためにのみ蓄積される記憶です。寿命が尽きると、生命記憶は、他の生命体に引き継がれ、生き

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