【奇譚】赤の連還 13 赤いターバン
赤の連還 13 赤いターバン
いまからおもえば、連隊長宅で、夫君の革命的な戦死を礼賛したオレのことを、団長は、かなり覚めた目で、ながめていた。あれは、いつだったか、宿舎の食堂で、欧州文化のルーツが話題にのぼったとき、知ったかぶりで自説を披露するオレを見ていた、あのときと同じ、冷ややかな目付きだった。
おもうに、マドリガーレの洗礼を受けて以来、心の奥に隠されていた、城東区の精気あふれる市井の記憶が、無意識の堰を突破して、外に噴き出したのだろう。その有様を目のあたりにした直