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四角い空

違和感を感じた。

見上げると、その一部だけ
大きく四角い穴が空いていた。
正解にいうと
そこだけぽっかり雲がなくて、
ぼんやりではなくはっきりと真四角に
輪郭が切り取られ、
中は真っ暗だった。

時刻は午前5時10分。

歩くとどんどんその四角い穴に
近づいている感じがした。
このまま導かれていくように。
空に現れた
この暗い真四角の世界には
何があるのだろう。
なんだか
せまい箱に深く閉じ込められた
誰かの心のようにも見えた。

お昼になり、
「朝の真四角な空は
なんだったんだろう」と
ふと思った。

空を見上げてハッとした。

あの黒色は、
ほんとは青色だったんだ。

こういうことはだいたい
当たるのである。

空に違和感を感じる時は
決まって
自分の心に何かあるサインなのだ。

ちょうどあの時、
午前5時10分、
きつかった。疲れていた。

楽な生き方ができる環境なのに
楽の中に
ほんのわずかだけある
苦を選んで生きていること。
その中でまた空回りして
もがいて複雑になって
ぐちゃぐちゃに絡まって。
結局、
「このままだとこうなってしまう」
と恐れていた自分になっていること。
そんな自分が嫌になっていた。

上手くいってたことも
また元通りになって、
悪循環をどうリセットしていいかも
分からなくなって。
昨日も欲や寂しさを
自分を嫌いになる方法で
満たしてしまった。
その後悔と共に歩いていたところだった。

そうか。
見上げたあの空、
頭上にあった真四角な暗闇は、
四方八方に閉じ込められ
小さくなってしまった
私の心だったんだ。

だけど陽が登った今、
あの時見ていた暗闇は
こんなにも青い。
暗闇だと思っていた部分は
青空だったんだ。


そうだ。
そうなんだ。

それでも
じっと待つんだ。
変わるまで待つんだ。

変わるから、
変わっていくから、
待つんだ。

心を囲っていた雲は
次第にはけていく。

真っ黒だった四角い暗闇は、
青空だったことに気づく。
広い空の下にいたことに気づく。

そして私の心も
きっとそうなんだ。

陽は登る。
どんな日も。
いつか青空になる。

雲で覆われている日だって、
光は見える。
太陽はそこにあるんだ。

雨は止む。
虹がかからなくとも、
いつかは止む。
いつの間にか
草木を育てている。

今、青空に変わったように。


本当は分かっている。
どうしたらいいか。
辛く苦しいこの気持ち。
でも出来なくて
心と体が違和感を
抱えてしまって、
サインを出していたんだ。

でも。
そのサインに
気づくか気づかないか、
青空を
信じるか信じないか、
変わるまで
待てるか待てないか。

たった3つの選択で
私は私自身を
暗い世界から救うことが
できるのかもしれない。

ほら、今も。
とっても暖かな陽が差してきた。
さっきまで手袋をしても
かじかんでた手が温まってきた。

もうちょっと歩いてみよう、
青空に変わると信じて。
そう思った。

ーーーーーーーーーーーー
【追記】

それにしても
違和感てすごい。

無理をしたら
必ず違和感が生まれるもの。
違和感て何気に味方なんた。

違和感を感じたら無視せず、
なにが違和感なのか考えてみる。
違和感は何とつながっているか
分からない。
自分の内にも外にもある。
空と自分がつながっていたように。

逆に違和感がないということは
自分にとってちょうどいい状態。
きっとそうなんだと思う。

人は自分の心に気づきにくい。
だけど日々、
違和感の理由をなくしていくだけで
生きやすくなるのかもしれない。

それが難しかったりするんだけど、
ね。


あさのはな

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