小説 ねこ世界37
「ごめんなさい…あたし本当に母親失格ですよね…ミケさん本当にごめんなさい…」
アヤメはさめざめと泣いた。
ミケはアヤメの背中を擦りながら5年前のアヤメを思い浮かべていた。
ミケが出産して一月後、こねこを養子に欲しいという若夫婦と 会った。
その一組目がアヤメ夫婦だった。
アヤメは流行りのラメ入りメイクをして小綺麗にしていた。旦那の方もこねこを見るとニコニコしてこねこ好きそうだった。
アヤメ夫婦はメスの子を抱いて微笑んでいた。その子がスミレだ。
ミケは自分で生んだ子を養子に出す