シンプルな文章に惹かれる
私はシンプルな文章が大好きだ。煎じたお茶のような文章は心に深く染みる。逆に複雑な方程式のような文章というのは苦手だ。そういう文章を読んでいると意識があっちこっちに飛んでしまって集中できない。私の文章もシンプルだ。シンプルイズベストだ。シンプルで空白のある言葉の連なりが想像力を掻き立てる。だから私は短編もシンプルに書く。チェーホフよりも日常に近く、ヘミングウェイよりもシンプルに人生のありのままを描くのが私の理想だ。しかし人生なんてそんなに単純じゃないでしょなんていう人もいるかもしれない。シンプルイズベストなんて言っても世の中そんなに単純に書ける訳ないじゃない。だけど私はそんな事を言う人たちにこう答えてやりたい。それはあなたが複雑なものを単純さに還元する技術を持たないだけだって。私はその技術を完璧に備えている。どんな複雑なことも一言で表す事ができる。ここにそんな私のシンプルイズベストな短編をいくつか載せてみよう。
※※
複雑
雑に処理しないで 終わり
恋愛
大半は妄想 終わり
人生
生は人に対して画数が多すぎる 終わり
お茶
おぢいちゃんの入れ歯が入っていた 終わり
人間
間を埋めるなんて出来ない 終わり
結婚
結末はいつも別れと死に終わる 終わり
小説
長たらしい説明はしないで 終わり
短編
短く編まれた紙に感傷に浸るなんてバカよ 終わり
シンプルイズベスト
単純すぎてついていけない 終わり
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