一箱古本市 実行委員の10ヶ月 ─文京区・千石ブックメルカードの話─
皆さま、本、読んでますか?
そして、「一箱古本市」ってご存知ですか?
2005 年に谷中・根津・千駄木で開催された『不忍ブックストリート』がきっかけとなり、じわじわと全国に広がっている、本だけのフリーマーケット。
"一箱"は、だいたい みかんの箱くらいのサイズのイメージで、「店主さん」として自分で屋号を決め、並べる本とお値段を決め、売り方を工夫しながら楽しむ、一日限りの「本屋さんごっこ」なんです。
楽しそうでしょ
ええ、とっても楽しいんですよっ
本が好きな方、フリマが好きな方なら、絶対に楽しめるイベントです。
そんな一箱古本市が、さる10月9日(日)、東京都文京区千石で開催されました。
その名も、「千石ブックメルカード」。
実はわたし、実行委員3名のひとりとして、この素敵すぎる本のイベントに携わっておりました。"中の人"、やってたんです。
という事で今日は、実は年明け頃から(!!!)からコツコツ準備してきた一箱古本市の裏側と、実行委員として関わらせていただいた日々のお話です。
何かしらのイベントを地域で始めてみたいなぁ、地元で「一箱古本市」、やってみたいなぁ、と思った方のヒントになったら嬉しいです。
ちなみに メルカード(mercado)は、スペイン語で「市場」の意味ですよ。
【 1月 】
本を介して 千石ブックメルカードの"言い出しっぺ"さんと 偶然出会う
2021年春、地元・静岡でスタートした私設図書館で本棚オーナーになり、本を介して思いがけず人とのつながりが広がりました。
現在暮らしている東京都内でも、"本にまつわる何か"ができないかなぁ・・・とぼんやり考えていた頃、「文京区千石で、2019年に一箱古本市を開いた人がいるんだけど、本つながりってことでご紹介してもいいですかー?」と、声をかけてくれた方が。
ここで出会ったのが、千石ブックメルカードの"言い出しっぺ"、Mさんでした。
実はMさん、普段は出版社にお勤めの、書籍の編集者。
なんとこのタイミングと前後して出かけた、とある著者の新刊イベントに、担当編集者として偶然、参加されてらしたのです!!!
そのイベントがMさんとの初対面、でした。
イベントの帰り道、わたしもMさんも大好きな銀座の月光荘のカフェへ寄り道。本の話であれこれ盛り上がり、「今年はできたらいいなぁ、一箱古本市」なんて話をしたのでした。
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【 2月 】
文京区からの助成制度を活用しつつ 一箱古本市開催への道を探り始める
文京区内で地域の新しいコミュニティづくりや、地域の住民同士の交流活性化など、何か新しいチャレンジをする方や団体を応援しよう!という助成制度がスタートする、ということで、Mさんと2人で説明会に参加しました。
結局、わたしが申請して始めようかなぁとぼんやり考えていたプランは、一度寝かせることにしたのですが、Mさんの「千石ブックメルカード」開催については、申請をしてみようかな・・・という話に。
説明会の後、ランチを囲みながら、もしも助成が通ったら、イベント当日に配布するMAPを印刷に出したいなぁ、とか、事前にZINEづくりのワークショップがやれたら楽しそう~、とか、ノベルティに缶バッジつくりたい!とかとか、アイデア(と夢と妄想w)が自由自在に広がっていきました。
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【 3月・4月 】
実行委員3名が初集合
一箱古本市の開催と 関連イベントの準備を着々と
この頃 Mさんから、普段はフリーランスで編集のお仕事をしているというご近所のAさんをご紹介いただきました。
この頃にはすでに、開催日は10月9日(日)!とMさんが決定していて、Aさんとわたしには、ぜひ実行委員として力を貸してほしい!とのお話も。
週末に3人で待ち合わせて、共通の趣味であるシブビル&いい味だしてる建築と風景を散歩して巡りながら、一箱古本市のアイデア出しをしたりしました。
ここでわたしは、まさに"一箱古本市運営のDX化"を担うことに(笑)。
デジタルまわりの施策をまるっと担当することになります。
なぜ、わたし?理由は簡単でした。
普段から仕事でやっていること、かつ、MさんとAさんは逆に全く明るくないけど"できたらいいのになぁ"と思ってらしたことだったそうで。
まさに"渡りに船"。そして、"適材適所"ってやつですね。
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また、3か月連続開催のZINEワークショップで場所をお借りした、文京区内のコミュニティスペースにも伺って、管理している方とも打ち合わせなど。
一箱古本市は10月ですが、ZINEワークショップは一箱古本市のプレイベントの位置づけだったこともあり、初回の開催は6月末。
え!大変!急いで告知と集客を始めなきゃ!!!と大わらわ。
こうして世の中の動向を観察しながらも、徐々に、数年ぶりの一箱古本市開催に向けた準備が本格化していったのです。
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【5月】
GWと休日 仕事の合間をぬって Webページをあれこれ制作・公開!Twitterで告知!を粛々と
4月の終わりから数日の間に、地域で配布するためのチラシの印刷準備と並行して、
Twitterで、中の人のことや、日々の準備の様子を発信しつつ、
わたしが一手に引き受けたWebまわりの制作も、急ピッチで進めていきました。
Mさんから、このチラシに掲載した情報をそのままLINEで共有してもらい、それをもとに原稿をまとめ、画像をつくり、ページにレイアウトして、PCやスマホで表示がおかしくないあ検証して、調整して修正して、と、コツコツ仕事のすきま時間に急いで作業しました・・・。
同時並行で、Googleフォームを使った店主さんの申し込みフォームと、4つのイベントの申し込みフォーム、計5つのフォームも作成。
Mさんからは、申し込みに際して聞いてほしいことをざっくりと伺っていたものの、具体的な文章の構成やどんな情報をどこまでどう載せるか、文章全体の表現を柔らかくするのか・きっちりするのか、といったトンマナなどは、ありがたくも全ておまかせ。
これ、仮にお仕事だったらこんな自由になんてできません。
ライティングにはそこそこ試行錯誤し、時間がかかったものの、とてもやりがいがあって、楽しい書き仕事だったのでした。
その後、参加してくださった店主さん向けのアンケートフォームも作りましたよ。
Googleフォーム自体も数回しか構築したことがなかったのですが、なんとなくググりながらで案外できるものですね(笑) 便利な世の中ですな!
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そして・・・
GW真っただ中な、5/2(月)の深夜、ついにWebページを公開✨
同時に店主さんの申し込み受付や、イベントへの参加申し込みも開始したのでした。
この頃、ちょうどわたしは、ほぼ日の「生活のたのしみ展」の会場で、連日、まさにたのしんで働いておりました✨
(来年も参加したい!!!)
いま振り返ると、正直、この頃から、古本市当日の10月頃まで、本当に日々が目まぐるしくなりまして、記憶が薄いです(笑)
予定を書き込んでいた手帳のページもゴワゴワになっているくらい、文字を書いてありますw
何をしていたのか、と言いますと・・・・
フリーランスでアートやミュージアムにまつわる仕事をし、
定期的な契約をいただいているWebマーケティングやWebディレクター関連の仕事をし、
ほぼ日のイベントで仕事をし、
大学の勉強もひっそりと進め、
日々ミュージアムやギャラリーにでかけ、
京都へインタビュー取材にでかけ、
そしてこの一箱古本市の準備も・・・・・
あ、あとnoteの更新も続けていましたよ
我ながら、欲張りなものです・・・
これは完全に、好きでやっていたからできたことばかり、ですね。
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【6月・7月・8月】
ZINEワークショップを無事に開催✨
店主さんやイベント参加の申し込み動向を見守りつつ Twitterで継続的につぶやく日々
紙のチラシ配布と、Twitter効果もあってか、おかげさまでZINEづくりのワークショップは、3回とも申込締切前に、すべて満席御礼に。
本や雑誌の世界で活動する、ライター・編集者の南陀楼 綾繁(なんだろう・あやしげ)さんに講師をお願いできたのは、ひとえにMさんのおかげ✨
わたしは3回すべてに参加し、当日の会場準備から、受付、開催中のサポート、そして写真を撮ってはTwitterでリアルタイムにツイートするなど、さまざまな役割を担いつつも、参加者の皆さんとの交流を楽しんでしまいました。
Twitterでは他にも、ワークショップや店主さん募集を定期的と並行しながら、タイミングをみてオリジナルキャラクターの「猫まったり」も登場させたり、
カウントダウンっぽいこともはじめたり
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また、8/11(木)の山の日には、実行委員3名で千石の街に集まり、一箱古本市の当日に配布する「おさんぽMAP」のリサーチ兼ロケハンを実施。
すべて手描きのおさんぽMAPは、Aさんの直筆✨
とっても素敵なんですー!!!
そもそもこのおさんぽMAPは、一箱古本市の重要なアイテム。
なので、紙の印刷物が好きな実行委員3人は6月からすでに、どんなサイズや判型にしようか、とか、紙は何がいいか、とか、どんなデザインがいいか、とかとか、嬉々として相談を重ねてきました。
そして、ロケハンをした当日は、実はこのエリアに全く土地勘のないわたしが、初めて訪れる店主さんやお客さまのペルソナとして大活躍(笑)。
コンビニの情報があったほうがいい、とか、目印になりそうな看板は?とか、地下鉄の出口は?とかとか、あれこれ相談しながらの下見会でした。
MAPは、この1か月後、9月半ばごろに最終データを完成させ、印刷の工程へ!9月末に無事に納品されたのでした。
完成したものを手に取ったときは、ついにかたちになった!と嬉しかったです✨
そして当日は、こんな感じでとってもカラフルになるスタンプラリーを開催。おかげさまで、大人も子供も参加してくださって、とても盛り上がりました。
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【9月】
いよいよ申し込み締め切り
急遽つくったノベルティと Twitterでカウントダウン&50以上の店主さん紹介
店主さんの申し込み締め切りは9/16(金)。イベントの締め切りは9月末。
各所での告知のおかげで、なんと50以上の店主さんから参加申し込みがあり、イベントも定員間近まで申し込みが集まりました。
締め切りに合わせて、適宜、Webの告知内容や申し込みボタンを非表示にする、などの細かな更新をしていったり、メディアに掲載いただいたらその情報を載せたり、と、コツコツ地味に作業を続けて行きました。
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店主さんの申込メッセージなどから推測して、FAQコーナーを追加したのもこの頃。
わたし自身が初参加で実行委員をしていて、わからないことが多かったので、あった方が嬉しい情報、聞かれそうなことなどをテキストでまとめて、追記してみました。
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またTwitterでは、開催日当日まであと●日!とカウントダウンしながら、店主さんお一人おひとりをご紹介し始めました。
これ、個人的にぜひやりたかったことだったんです。
店主さんの中にはTwitterやInstagramを活用されている方も多く、お一人おひとりを検索しては、どんなことを投稿されているのかをリサーチし、「猫まったり」としてひとことメッセージを添えました。
丁寧にリアクションやコメントをくださる方もいらして、何だかとても楽しくて。
いつの間にか、日々の仕事の合間の、とても良い息抜きタイムになっていました。
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そうこうしているうちに、Twitterのフォロワーさんが100名に!
本当に無名のわれわれ。
文京区や本にまつわりアカウントの方々のみをフォローするような運用だったので、本当にありがたく、嬉しい限りでした。
ちなみに今日、10月25日現在のフォロワーさんは、178!!!
しかも、一箱古本市が終わってしばらく経つのに減ってない、むしろ増えてるんです・・・。
ありがたい、ほんとうにありがたいです😢
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そうだ!オリジナルのサコッシュをつくろう!!!
9月はじめ頃、わたしは急遽思いついてしまいました。
一箱古本市の当日、"助っ人さん"とよばれるボランティアの皆さまが25名ほどサポートしてくれるのですが、彼らと実行委員のみんなが、一箱古本市のスタッフだと、ぱっと見でお客様や店主さんにわかるようなアイテムが必要だったんです。
いわゆるスタッフPASSとか、スタッフTみたいなものですね。
老若男女問わず、身につけられる何か、そしてもらって嬉しいものがいいなぁと思ったとき、サコッシュだ!とひらめいたのでした。
いろいろと動き回るし、貴重品と「おさんぽMAP」を持っていられる方がいいし。
その昔、採用広報の企画制作の仕事で、ありとあらゆるノベルティグッズを発注・制作していた経験と、ミュージアムグッズ好きが活かされました✨
実行委員のMさんとAさんに、制作費とデザイン案を提案したところ、とっても喜んで賛同してくださり、すぐに発注したのでした。
で、完成したのがこちらー!!!
猫まったり印🐈
サイズも素材感も色も、イメージ通り!!!
おかげさまで、助っ人の皆さんにもとても喜んでいただけました。
皆さんが身につけている光景、何とも嬉しかったです。
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【10月】
いよいよ当日!!!
開催日の前日には、助っ人さんへ向けた説明会を開催しました。
このとき、地味に困ったのが、30名くらいが集まれる会場の手配。。。
予算のない中、貸会議室を借りるのはとんでもない金額になってしまうため、探して探して見つけたのが、区民が利用できる学習室などのお部屋でした。
ネットでめちゃくちゃ探しました・・・無事に見つかって良かった・・・
説明会では、当日のタイムスケジュールや、会場装飾や店主さんのご案内など、お願いしたいことの説明、注意事項や質問事項の共有、備品のお渡し、そしてサコッシュのプレゼント!と、盛りだくさんの時間でした。
時間がなくても、ちょっと手間でも、ボランティアの皆さまが集まって顔合わせできるような機会って、あった方がいいな、とこのとき実感しました。
はじめまして、の方同士で、丸1日、イベントの運営って、大変ですもん。
チームビルディングのために大切だな、とつくづく思いました。
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また直前の数日間は、会場にいらっしゃる方々にむけた具体的な情報をツイートするよう、心掛けました。
スタンプラリーのことや、
重い本を持ってくる店主さんやお客様にむけた最寄り駅のご案内や
当日のスタッフの目印・サコッシュのことも!
そして、当日!!!
ずーっと雨予報だったのですが、なんと朝は日差しが!!!
ぎりぎりお天気に恵まれました。
ほんとうに目まぐるしくいろーんなことがありましたが、大きなトラブルや事故などもなく、無事に終わることができました。
わたしは点在する会場を自転車で巡りつつ、写真をとってTwitterでつぶやいて、の1日。とぉーっても楽しかったです。
話しかけてくださった方に、突撃インタビューしてみたり(笑)
そして最後は、閉会式&表彰式を!!!
一箱古本市の当日深夜。帰宅して最後の最後に"中の人"としてつぶやいたのが、こちらです。
最後の最後まで、本当にさまざまな方々がさまざまな場所で、思いやりと優しさのもと、協力し合って運営されていたイベントだったなぁ、としみじみして、眠りについたのでした・・・・・
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まとめ 仕事じゃないから、楽しいことがある
そもそも、この一箱古本市に関わる実行委員も、さまざまなサポートをしてくださった方々も、全員が ボランティア 、いわゆるプロボノとして関わっていました。
え? 仕事じゃないのに、なぜそこまで?
なーんて声が聞こえてきそうですね。確かに。
僭越ながら、Webページづくりも、Googleフォームづくりも、Twitterアカウントの運用も、いろんな撮影や取材も、これまでの仕事で、当たり前のように担当してきた施策のあれこれです。
半年以上担当していたので、人日計算したらなかなかの請求額です・・・(笑) フリーランスで働いている身ですから尚更。
でもきっと、仕事じゃなかったから、楽しかったこともたくさんありました。仕事じゃないかったから、自由に文章を考え、Twitterで投稿できていたんですよね。
あれこれ任せてくださった実行委員のMさんとAさんには、本当に感謝しかありません・・・!!!
記事を読んでいただきありがとうございます。いただいたサポートは書籍購入などに使わせていただきます。何よりそんな広く優しい心をお持ちの方には きっといいことがあるはず✨メッセージも合わせて書いていただけたら必ずお返事いたします✏︎