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書評

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読んだ本について書きます。個人的な感想です。
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2021年1月の記事一覧

フィクションに求めていたもの

フィクションに求めていたもの

岸田奈美さん主催で昨年開催された、 #キナリ読書フェス

5冊の課題図書全てを入手して臨むも、フェスに間に合ったのは、高校生から持っていた「銀河鉄道の夜」と、フェスきっかけで手に取った「世界は贈与でできている」だった。

残された3冊のうち、主催者・岸田奈美さんの「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」はフェス後すぐ読んだが、「くまの子ウーフ」と「さくら」は残ってしまった。

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目指せ、スリムなノーティスト

目指せ、スリムなノーティスト

note連続投稿で文章力を磨かんと意気込む上で、文章力を高めるためのインプットは欠かせない。

今回のこちらも、そのために手に取ったし、大変有意義だった。

意識しないと、というか、意識がズレる余計な言葉が増えるというとは、何となく実感しているのだけど、改めて解説を受けると納得が深まる。

そもそも、この本自体がとても読みやすいので、そこも説得力がある。

文例を用いた解説がわかりやすい。

時折

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さあ旅に出よう【追悼・安野光雅さん】

さあ旅に出よう【追悼・安野光雅さん】

絵本作家の安野光雅さんがお亡くなりになった。

思えば、私が初めて感銘を受けた絵本は、安野光雅さんの代表作、『旅の絵本』だ。

幼稚園卒園まで住んでいたアパートの大家さんは、幼い私を大変可愛がってくださり、自宅にもよくお招きいただいた。

その本棚に、『旅の絵本』はあった。

それまで読んでもらい、また自分で読んだ絵本とは全く違う世界。

そこにあるのは絵だけ。

ト書きもセリフもない。

なんな

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ボクが相談しないのは…

幡野広志さんの著書、『なんで僕に聞くんだろう。』を読んだ。

積読には燃え殻さんの『相談の森』もある。

新聞の人生相談なんかを読むのもわりと好きだ。

でも、ボクが誰かに何かを相談することはあまりしない。

相談したいことがないわけではない。

でも、実際に相談することは稀だ。

その稀に相談する際には、稀にしかしないが故に相談がまとまらず、自分でも何を訊いてるかわからなくなる。

なんでかなと

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親の来し方を想う

親の来し方を想う

村上春樹『猫を棄てる』を読んだ。

戦争に翻弄された時間を胸にしまって生きる父。

その父の人生を記憶と記録を辿って綴る息子。

時空を超えた親子の結び付き。

強過ぎず、弱過ぎず、か細くも切れることのない、糸。

親の過去を受け継いで、今の自分がいる。
どういう形であれ、それは揺るがぬ事実。

それをどう受け止めて今を生きるか。
そしてそれをどう子に繋ぐか。

村上春樹さんがしたようにはできない

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