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デンマークでの気づき

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デンマークで得た気づきを綴っていきます。
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#福祉

オズモンドとの出会い

オズモンドとの出会い

デンマークで半年間、丁稚奉公をしたハンドメイドの杖の職人にはオズモンドという自閉症の息子がいた。

移り住んだ当日、コーヒーを飲みながら職人たちと話していると、オズモンドが学校から帰宅し

「Hello, I am Osmond.」

と自己紹介してくれた。

自閉症ではいつもと違うことが起こるとパニックを起こしてしまうことがあるが、日本人の男性がこの家に来ることを前もって伝えてくれたようだ。

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ギャップイヤー

ギャップイヤー

立ち止まって考えることが許される国

エグモントホイスコーレは、17歳半以上であれば誰でも入学できる北欧独自の教育機関(フォルケホイスコーレ)の1つである。

そこに入学して驚いたことは、周りの生徒が高校を卒業し、大学に入る前の人たちが多いことだ。この教育機関は義務教育ではないため学費がかかる。

そんな学校に多くの人たちがいる理由に

「ギャップイヤー」

という風習があることが分かり、さらに驚

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Digging Angry(穴掘り怒り)

Digging Angry(穴掘り怒り)

疲れをコントロールするのがプロ
デンマークでは、ヴィルヘルムハーツというハンドメイドの杖の職人の工房で半年間、丁稚奉公もした。彼の本職である建具屋の仕事を手伝っていた時のこと。

庭先にサンルームを造るために、地面をシャベルカーで掘り起こし、深く張った根を手作業で地面から取っていた。ただひたすら根を引っこ抜いては脇に寄せる…。

それを黙々と続けていたらふと、無性に自分に腹が立ってきた。

「なん

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インフルエンザ

インフルエンザ

自分の身体を知る

健常者と障がいを持つ生徒が共に暮らして学ぶ、エグモントホイスコーレに入学して3カ月が経った頃、インフルエンザのような症状に見舞われた。デンマークでは住民になるとイエローカードと呼ばれる保険証のようなものをもらえ、外国人も医療費は無料になる。

2日目には我慢できなくなり、先生に「病院に行きたい」と相談すると、衝撃的な答えが返ってきた。「デンマークでは、そんな風邪は1週間寝てくだ

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キャッシュレス社会

キャッシュレス社会

「幸せ」のために手を取り合う

デンマークで暮らし始めて現金を全く使っていないことに3カ月目で気がついた。一番の要因は「モバイルペイ」に尽きる。銀行口座と電話番号が紐づいた、スマートフォン用の送受金アプリだ。

健常者と障害を持つ生徒が共に暮らして学ぶ、エグモントホイスコーレに入学して最初のパーティーに参加した時のこと。若者2人が目の前でこんなやり取りをした。

「タバコ1箱もらえない?」「ありが

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なんでもやらせる

なんでもやらせる

日本で7年間文具や服飾雑貨の開発デザインをしておりましたが、2018年全てを辞め、1年間デンマークに住むことに。デンマークでは、北欧にしかない「フォルケホイスコーレ」という教育機関の中の、障がいを持っている方、持っていない方が一緒に生活することで、共生とは何かを学ぶ学校である「エグモントホイスコーレ(以降エグモント)」で半年間寮生活。もう半年は、松葉杖をハンドメイド・オーダーメイドしている工房に住

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