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『ようこそ、難民!100万人の難民がやってきたドイツで起こったこと』今泉みね子【読書感想文#6】

こんにちは!
私たちBONDは入管問題に取り組む団体です。今回「BOND×読書感想文」企画の第6弾として紹介する書籍はこちらです!

『ようこそ、難民!100万人の難民がやってきたドイツで起こったこと』今泉みね子

書き手は学生メンバーのKさんです。最後までご覧ください~


はじめに

ある日、難民の子がクラスに転入してきたら、あなたはどうしますか?
今回紹介する本の主人公は、ドイツに暮らす小学生の男の子です。彼は、周りの人や社会を通じて難民と関わり、自分の考えをもつようになります。 

本の要約

2015年の夏休みの終わり、マックスのクラスにイラクとシリアからきた難民2人が加わります。シリアから来たタミムは、絵を使いながら故郷で起きたこと、お母さんや妹とはぐれてしまったことを教えてくれました。そんな恐ろしいおとぎ話のようなことを聞き、マックスは自分はなんて幸せなのだろうと思うのでした。

ドイツは、ホロコーストの反省から「ドイツ基本法」に難民の保護を定めています。しかし、多くの難民を受け入れると問題も起きます。生活環境の悪化や住宅不足、難民に対する雇用の少なさ、文化の違いに起因する摩擦や差別など、挙げたらきりがありません。こうした問題の発生に対する人々の不満から難民受け入れ反対運動も起き、マックス一家の中でも意見が分かれてしまいます。

情報交換や物資を寄付できる難民との交流会に参加したり、マックス一家とタミム一家で互いに夕飯に招待したりといった活動を通じて、マックス一家は男女の役割分担や時間感覚など、異なる文化をもつ人たちとの価値観の違いに行き当たりながら、難民と関わっていきます。

たくさんの出会いの中で、マックスは自分にできることをしようと決意します。
 

感想


何か月もかけてドイツに入国しても、難民には大変なことがたくさん待っています。初めての土地で、仕事も十分なお金や物資もなく、頼れる知り合いもいないのですから当たり前です。そして、難民を歓迎する人もいれば、難民の受け入れに反対する人もいます。

また、この物語は小学生であるマックスの視点で進みます。難民のクラスメイトと絵を使って言葉を教え合ったり、先生の言葉や大人の議論を聞いたりしながら、まっすぐ自分の気持ちに向き合う姿が印象的でした。
初めはなんとなく怖かったけど、話してみるといつのまにか仲良くなっていた。

隣の席にいるその子と向き合って話したからこそ知れたことがあった。
この本を読んで難民として生きることの厳しさ、そして相手を理解しようとする気持ちが大切であると感じました。
 

印象に残った言葉


マックスのおばあちゃんの言葉です。
「でも、知り合ってみれば、わたしとそんなに変わらないものね。イスラム教徒、キリスト教徒、なに人だなんて、そんなことに関係なく、同じ人間どうしだから、わかり合うこともできるんじゃないかしらって思ったわ」
 

終わりに

難民受け入れに関する問題はドイツだけでなく、日本を含む世界の問題です。日本では難民認定率が1%以下と低く、認定されずに長期間収容されたり行動が厳しく制限される仮放免になってしまう人たちもいます。難民は怖い、危ないというような先入観で決めつけるのではなく、難民にも家族や住んでいた家があり、長い道のりでも移動し、生きようとしていることを知っていただきたいです。知る人が増え支援の輪が広がれば、難民にとってより暮らしやすい社会にしていくことができると思います。


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