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唄 / 詩

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解離性同一性障害、多重人格者です。 紬さんウタさんによる言葉を綴っています。
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2020年9月の記事一覧

振り撒く言伝てに
来よ見よと 虫が鳴く

あれにこれに
さざ波たつ心 不知火の言の葉

声なき声
眼なき涙

還ろうや かの人のもとへと
孵ろうや かの地から麓へと

跳立つには早すぎて
留まるには時もなし

さわさわと虫は鳴く

あの道を逝こうや 

時 幽かに震えれども

しとしとと 雨は降り来る

死と死とと 飴は降り来る

足音を鳴らし
影を落とし

夏の終わり 秋風が運ぶ

寒々しく
粛々と

帰らずの川 岸辺には船

じくじくと 雨に熔ける
じくじくと 飴は溶ける

枯れた地を 炙るため
渇れた喉を 潤すため

黄金の光 向こう岸

果て迄

花が咲くように 死は咲く

掬い手のように
摘む手のように

花が裂くように 死は裂く

救い手のように
積む手のように

見慣れた姿を眼の裏に
見知らぬ顔を目の前に

待つ手もあらば
迎え手もあらば

送ること
去ること
赦すこと

揺られ子らよと 天からの導は

続くみちては

ひっくり返したおもちゃ箱

これは不安
これは焦燥

拾い上げては投げ棄てて
感情の海に溺れてく

傷む心
痛む体

抱えた爆弾持て余し

右手にはライター
左手には導火線

いかりの子 本気のいたずら

罰ゲームはもろともに

三つ子の魂百まで

罰ゲームは これから これから

消えてた顔が消えなくなって
網膜の裏 金色にひかる

この感情に名前を付ければ
きっと私は死んでしまう

手の震えは止まらないまま
嘔吐く 脳内が侵略される

死んでしまう 死んでしまう

止まらない衝動と
訳のわからない感情と

黒く塗り潰された何かと

死んでゆく
死なないで

燦々と降り積もる この世の叡知

光る粒
暗がりから顕る

津々と溢れ出る 空と大地を結ぶ糸

爪弾く
音となり波紋となる

歓びよ 謳え
無数の星ぼしから産まれる詩を

雨のごとく降れ
陽射しのごとく射せ

あられもない衝動よ
ここに至るまでの積雪を溶かせ

彼方からの声よ響け

ひとは ひとしずく
せに なをかける

しづく ものいい
なのることもなし

ひょうじょうに いずる
かけるは こころ

においたち かわもながるる

せにせを よるべ
つきあがる そらへ

旅人は見た 今生の空

浮世の通り路
幻夢の道標

足跡に花を散らし ひとよと すべる