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「今、ここ」も「後、そこ」も意識する 


 先日タイで初マラソンに挑戦しました。初めてのハーフマラソンで、21KMちょいの道を割と順調に歩かずに完走できました。
 普段時々ランニングしているとはいえ、10KM以下の短距離を慣れたスピードで走っていることが多く、ジョギング程度しか言えないと思います。そして、最長距離も13KMしか走ったことないですし、年末スケジュールが詰まってるとの言い訳で練習もまともにできてなかったです。この状況で21KMを止まらずに走ることに自信がなくて、前日から少し緊張していました。
 早朝4時、真っ暗の中でのスタートでした。
 会場に到着したのは少し遅れ気味で、ウォーミングアップを軽く済ませ、走り始めました。
 最初は会場の雰囲気の影響もあり、少しテンションが上がり、普段通りの走りが続いていました。薄らな街灯、早朝から動き出すGrabのバイク運転手、工事中で凸凹の道路、コスプレで走るランナー、走りながら写真を撮るランナー、ペースガイドのランナー…周りを観察する余裕さえありました。
 そのまま、10KMへ。ウォーミングアップが不足のせいだったかもしれませんが、足首の筋肉の緊張した状態が徐々に痛みに変わりました。途中途中の給水所で足首をマッサージしてから再出発して15KMを通過しました。この時点もまだ想像していた苦しさが湧きませんでした。
 人生初のハーフマラソン、そしてこの一回切りの「初めて」で、実は面白いことに、苦しさの感覚を味わいたかったです。走りながらマインドフルネスの状態になり、「今、ここ」の自分の体、頭に完全に意識してみました。

 マインドフルネスとは、自分の体や頭や心の中、さらに身の周りに起きていることに意識を完全に向けること。批判や判断の加割らない「気づき」

「今、ここに意識を集中する練習」(ジャン・チョーズン・ベイズ著)

 しかし、もう少し走ったところで、足首の痛みに加えて、足底、太ももにも筋肉痛になり始めました。
 今度は痛みを緩和できないかを考えます。
 2KMごとに給水所があり、5KMごとに軽い食事を補給できる箇所があります。それが後半の楽しみになりました。痛い、止まりたいと思ったら、「後1KMしたらバナナが食べれるからもう少し!」と頭の声が聞こえました。
 今度はマインドフルネスの状態から離れて、あえて「今、ここ」に走っている体と、「後、そこ」を考える頭を分離させます。
 苦しい、苦しいと、ひたすらに「今、ここ」に集中すると、苦しさが明晰で拡大されて衝撃力の大きいものになり、前進の壁になってきます。そういう時、「後、そこ」と「未来」の時間を想像することが前進する力になり得ます。 
 「後、そこ」の一つ一つ小さなご褒美のおかげもあって、最後まで無事に21KMを完走しました。
 体、頭、心の状態を意識することで、それらを一体させることも、分離させることができて、幸福感を増幅するツールがまた一つ増えた気がします。


Podcast:Nana在日本
個人HP:https://nana-zai-jp.com/


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