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久しぶりに外国人になりました@タイ

 日本に住み続けること十年、周りから「外国人」として認識されなくなるようになった気がしていましたが、タイに住み始めて久しぶりに「自分が異国人」という感覚が蘇ってきて日々新鮮な気持ちでいるところです。
 元々、日本では同じくアジア国である中国の人(もしかして韓国人も?いや特に中国人に対して)を「外国人」として意識していないのではないかと思うことは度々ありました。まして日本に留学して、日本企業にも就職して、十年以上も住んでいたら、「外国人」として認識されるどころか、言葉遣いなど隅々まで「日本人」として振る舞ってほしいと期待されているように感じます。
 シンガポールにも1年間ほど住んでいましたが、多国籍そして華僑が多い中で、誰がどこの国の人ということはあまり意識されておらず、私自身も「自分は外国人だ」ということを意識して行動していませんでした。
 しかし、今度のタイは違う。
 最近「旅居」(旅しながらプチ移住)や「陪读」(子供の留学のための移住)の理由でタイ北部に移り住んでいる中国人は多いものの、割合にしてはまだまだ十分外国人と言える程度です。また、タイ人にも祖父母やもっと上の世代が中国人という中華系タイ人が少なくないらしい(10%弱という説はある)ですが、だからと言って中国人に対して特別に親近感を持ったり、中国語で話しかけられたりすることはほとんどないです。
 今回の海外移住は今まで何が違うかを考えていて、
 そう!言葉が通じないことこそ新鮮で面白いです。
 日本に初めて留学に行った時は日本語が既にある程度できる状態になっていたので、最初から少し意思疎通はできましたし、シンガポールに至って中国語だけでも生きていけるほど何の壁もなくすんなりと溶け込んでいました。
 しかし、タイは違います。渡航前に「フリーランス」になることに対してまだ気持ちの整理がつかなくてタイ語にも全く興味が湧きませんでしたので、タイ語知識ゼロのままで来てしまいました。
 「サワディカ!」
 「サワディカ!」
 「……」
 と相手の挨拶にろくに返事できない。
 市場に行って「いくらですか」すら言えない…
    けど、ストレスは全く感じていなかった自分がいたことに気づきました。
むしろ久しぶりに中国語も英語も日本語も通じないことに、ドキドキして嬉しさを感じました。
 私は久しぶりに外国人になりました!
 
外国人だから言葉がわからなくて当然だ、これから勉強していけば習得できるし、と自信があったからストレスを感じていなかったのではないかと思いますが、最初から流暢なタイ語を喋られることよりも、ゼロベースから覚えていく過程の方が楽しみで仕方がありません。大学で日本語を「アイウエオ」から勉強し始めたときの気持ちを思い出しました。言葉を覚えるのは自分が成長していく過程をもっとも実感できるツールではないかなと思います。
 マンションの管理人に、清掃のおばさんに、タクシー運転手に、市場のお姉さんに、ヨガの集まりに隣に座っている人に、旅行先のガイドさんに…とにかくタイの方にその日に習ったタイ語で話かけまくります。「何回同じこと聞くんだ!」と思われているかもしれないですが(笑)、「外国人だからいいんだよ」と恥ずかしくもなく話かけ続けます。外国人である私に優しさ全開で笑顔で応えてくれてこちらの「練習相手」になってくれるタイの方がほとんどなので、今のところ順調に「タイ語を習う外国人」をやっています。
 いつまで「外国人」でいられるかなと考えながらも、当分「外国人」でいる自分を楽しんでいきたいと思います。

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