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ハトとして?

 仕事部屋の窓の向こうに数本の電線が見える。仕事の合間にふと目をやると、そこにハトがとまっていることがある。細い電線の上にチョコンと立ってじっとしたまま、ときどき小さな頭をクルクルさせている。しばらくその様子をじーっと眺めていると、何だか不思議な感覚に襲われる。まるで自分がハトになったように感じるのだ。

 今日はどこまで飛んで行こう? 
 ・・・向うに見える静かな街まで。
 パタパタパタ~、バッサ~、バッサ~。

 今日は何を食べよう? 
 ・・・道路に落ちている、お菓子やパンのくず。
 パクパクパクパク、パックンパックン。

 今日は何を歌おう?
 ・・・若い頃に流行った、花*花の『さよなら大好きな人』。
 ♪  さよなら大好きなハト さよなら大好きなハト~
  ずっと大好きなハト ずっとずっと大好きなハト~
 
 お別れの後はひきずっちゃうよねぇ。

 なんか気分が乗ってきたから、もう少し歌っちゃおう。

 次はユーミンの『卒業写真』。
 ♪  ハトごみに流されて~ 変わってゆく私を~
  あなたは時々~ 遠くでしかって~ 

 「あなたは私の青春そのもの」と言われるような学校生活を送ってみたかったよねぇ。

 次は徳永英明の『壊れかけの Radio』。
 ♪  飾られた行きばのない~ 押し寄せるハト波に~
  本当の幸せ教えてよ~ 壊れかけの radio~

 大人になってもこういうものを書いてるってことはさぁ、結局、思春期に少年から大人に変わり損ねたんだろうなぁ。

 ここで演歌を1曲。大川栄策の『高山の女』。
 ♪  浅葱色した紬が似合う~ どこか寂しいハトだった~ 
 ♪  暖簾くぐって地酒に酔えば~ 何故か空似のハトばかり~ 
 (浅葱色・・・あさぎいろ  紬・・・つむぎ  暖簾・・・のれん)

 彼が歌番組で箪笥《たんす》を担いだことを、青中年になっても覚えているだなんて思いもしなかった(「中年」を「青少年」ぽく言ってみたよ)。これって人生のヒントだよねぇ。

 童謡・唱歌からも1曲。文部省唱歌の『はと』。
 ♪  ぽっ ぽっ ぽ~ ヒトぽっぽ~ 
  豆がほしいか そらやるぞ~

 そんな言い方するなら、いらない。

 ラストは海援隊の『人として』。
 ♪  私は悲しみ繰り返す そうだハトなんだ~
  ハトとしてヒトと出会い~ ハトとしてヒトに迷い~
  ハトとしてヒトに傷つき~ ハトとしてヒトと別れて~
  それでもヒトしか愛せない~

 ハトとヒトとの関係性がややこしいわぁ。

 ♪  ヒトとしてハトと出会い~ ヒトとしてハトに迷い~
  ヒトとしてハトに傷つき~ ヒトとしてハトと別れて~
  それでもハトしか愛せない~

 最後は「それでもヒトしか愛せない~」か? いや、どっちでも成立するぜぇ !?
 
 ハトしきり歌って満足満足。
 みんなも好きな組み合わせを考えてみるといいよ、ハトとして。

  


♬ 花*花『さよなら大好きな人』
  作詞:こじまいづみ
  作曲:こじまいづみ

♬ 荒井由実(松任谷由実)『卒業写真』
  作詞:荒井由実
  作曲:荒井由実

♬ 徳永英明『壊れかけの Radio』
  作詞:徳永英明
  作曲:徳永英明

♬ 大川栄策『高山の女』
  作詞:仁井谷俊也
  作曲:大沢浄二

♬ 文部省唱歌『はと』

♬ 海援隊『人として』
  作詞:武田鉄矢
  作曲:中牟田俊男/千葉和臣


Ⓒ2023  Namio Kotori


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