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髪をギュッとね! 

 何かを好む気持ちには意外な理由があったりする。
 オイラは、ひっつめ髪にしている女の人を見ると、頭に目が行ってしまう。流行の髪型にはそれほど興味はないが、ひっつめ髪にはなぜか視線が引っ張られてしまう。昔から気になる髪型ではあったが、ここ数年でさらに印象がよくなった気がする(おいちゃんの好みなんて興味ないだろうけど、菅田将暉が話してると思って聞いて)。中でもとりわけ、フラメンコダンサーの女性などに多く見られる、前髪を下ろさずオールバックにして低い位置でまとめるスタイルは、スッキリした顔まわりが凛々しくていい。

 ところで、オイラの家にはスズメやハクセキレイがよくやってくる。小鳥が好きなオイラは、彼らを見つけるとしばらくじぃーっと眺めるのだが、いつも頭に目が行ってしまう。あの丸みにとても惹かれるのだ。
 先日も、自宅の南側にあるガラスサッシのそばにハクセキレイ(ハクちゃん)がやってきたので、いつも通り頭を眺めながら「おぬしの頭はほんに丸いよのぉ、ふぉふぉふぉ」とニヤけていたのだが、そのときふいに、初めて・・・、ある事実に気がついた。
 ・・・髪型がオールバック。

 そう。毛流がすべて後ろ向きなのだ。そう言えば、他の鳥たちもみんなオールバックだ。図鑑を見ても、一部の鳥はモヒカンぽかったりするが、総じてビシーッと後ろに向かっている。
 だからかぁ! 女の人のひっつめ髪オールバックスタイル(以下、HGAB スタイル)に目が行ってしまうのは! あのスタイルが、オイラには鳥の頭に見えていたのだ。ヒトの頭の中でそんな画像処理が行われていたなんて気づかなかったよぉ(オイラの頭ん中だけ)。と、思わぬところで HGAB スタイルが好きな理由が判明してしまったのだ。何事にも理由があるものなのね(うんうん)。

 それ以来、HGAB スタイルの女の人を見ると、法医学のスーパーインポーズのように、女の人の顔にうっすら鳥の顔が重なってきて、顔全体が鳥の顔に見えるような気がするのだ。つまり、宴会グッズにある鳥マスクをかぶった状態(うわぁ!)。もちろん、まわりにいる人は何も異変を感じていないが、オイラは顔がニヤけそうになるのをこらえてジェントルマンな顔(ジェントル面)をキープしているのだ(バカですねー)。※
 
 こういう、お金をかけずに楽しめることを大切にしたいので、これからも鳥マスク・・・じゃない、HGAB スタイルにしている女の人を見つけたら、「この鳥さんは毛流がビシッとしているかな?」とか「丸みに余分な凹凸はないかな?」などと、美容師目線なのか鳥愛好家目線なのか分からない目線で、鳥の頭としての完成度を確認していきたい。ただし、対象はあくまで女の人の頭に限定したいかな。
 男の人の HGAB スタイルはさぁ、小鳥の顔をイメージしようとしても、この3人の顔が立ちはだかるのよぉ。

 小室圭、松浪健四郎、そして SAM。




※ スーパーインポーズ : 
白骨死体の身元を明らかにするための検査法。白骨死体の頭蓋骨と、頭蓋骨の人物と推定される人の顔写真を重ね合わせ個人識別を行う。

※ 髪をギュッとね! :
正しくは『帯をギュッとね!』。河合克敏の柔道漫画。


Ⓒ2023  Namio Kotori


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