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子の巣立ちを後押しする親、邪魔する親

健康的な心を持つ親は、反抗期を迎えた我が子に手を焼きながらも、その反抗を子供の成長の証しと捉えます。

娘から「お父さんの汚れ物と私のは分けて洗濯して!」と言われたらショックですし、

息子から「うるせーな」と言われたらカチンとも来ます。

お父さんのお嫁さんになりたい、と言っていた娘が、たった数年で自分を、キモい、と言い、

キャッチボールをして、お父さんスゴい!と憧れの眼差しを隠さなかった息子が、今度は自分に対して、ウザい、という感情を露わにする訳です。

キモいし、ウザいのです。

ショックだし、カチーンとも来ます。

しかし、健康的な心を持つ親は、自分の思春期の記憶があり、
そんな時期を経て少しずつ大人になった実感を持っています。

大人になりつつある我が子の、
生意気さの後ろに、逞しさを感じ、
扱いづらさの影に、彼らの葛藤を見ます。

健やかな心を持つ親は、子供の反抗を成長の証し、と捉えます。


一方、心が未成熟な親は、子供の反抗を、親への裏切り、と捉えます。

産んであげたのに、育ててあげたのに、親を裏切った、と感じます。

心が未成熟な親は、自分自身が未熟な親によって、否定、拒絶、に晒される幼少期を過ごし、

自分に対する安心感も、親に対する信頼感も、育てることが出来なかった人です。

その過酷な環境下で育ったため、心には、自分は無価値だ、という信念にも似た固い思い込みが貼り付いています。

健康的な親の下に生まれ育った人は、自分は存在するだけで価値がある、という感覚が自然に備わり、

その感覚を後ろ盾に、年齢なりの発達課題を正面から乗り越えます。

発達課題をクリアする度に、心は成長し、やがて、親を卒業する為の反抗期、を迎えます。

健康的な親は、その過程を、身を以て体験しており、

反抗する我が子に手を焼いても、それを、親に対する裏切り、と捉える事はありません。


しかし、未成熟な親は、人生の最初の段階で、自分は無価値だ、という思い込みを持ってしまい、

年齢なりの発達課題にことごとく躓きます。

発達課題をクリア出来ない為、心は成長の歩みを止めてしまいます。

やがて大人になり、親になっても、心は未成熟なままです。

見た目は立派な大人でも、心は幼児のままです。 

幼児のままな上に、自分は無価値だ、という思い込みまで、心にべったりと貼り付いているのです。

幼児的願望に振り回されます。

褒められたい、自分中心でありたい、といった極めて稚い願望に支配されます。

更に、無価値感から目を逸らすことで、いっぱいいっぱいです。

無価値感から目を逸らす為に我が子を利用します。

世間よりも優れていたい、という幼児的願望に衝き動かされ、子供の尻を叩きます。

優れた子であれ、賢くあれ、優しくあれ、勇敢であれ、と求め尻を叩きます。

その一方で、尻を叩いた甲斐あって、子供が優秀な結果を残したら、
今度は、心の中の無価値な思い込みが刺激されます。

そして、優秀な我が子をイジメます。
ここが足りない、あそこが至らない、とケチをつけ、子供を責めます。


心が未熟な親は、自分が幼児的願望に振り回されていることにも、無価値感から目を背けていることにも、

そして自分が、葛藤から逃れるために、子供を道具として利用し、所有している、という事にも、

気がつきません。

惜しみなく与えている、と思いながら、限りなく奪っていることに、

気がつきません。

自分は愛情深い親だと信じています。


健康的な心を持つ親が築いた家庭と、

未成熟な心を持つ親の家庭は、

目指している方向が、全く違います。

健やかな家庭は、家族が羽を休める団欒の場所であり、
子供にとっては、やがて巣立つまでの安心、安全の巣です。

その巣の目的は、あたたかな場所であり続ける事と、

やがて巣立つ子供の翼を育むこと、です。


未成熟な親にとって家庭は、自分の幼児的願望を叶える場所であり、
自分の無価値感から目を逸らす為の場所です。

本人に自覚はありませんが、家庭は親の為にあります。

子供が巣立ちに備えて、翼をぎこちなく動かす姿が、未熟な親には、自分を捨てて、巣を出ようとする、只々身勝手極まりない姿に映ります。

自分がお腹を痛めて産んで、あげて、
自分が苦労をして育てて、あげた、
と思い込んでいます。

本当は、犠牲になっているのは、子供の方ですが、その親は、自分ばかりが苦労をしていると思っています。

その挙げ句の果ての、身勝手な裏切りを親は許しません。


健やかな親は、子供が一人で生きて行ける様に、と考えますが、

未成熟な親は、自分の幼児的願望を叶えることと、自分の無価値感から目を逸らすことが生きる目的になっています。

心が未成熟で、感情の境界線が曖昧な為、自分のことしか考えていない状態を、子供のことだけ考えて、献身的に尽くしている、と思い込みます。


健やかな親そして家庭、の目指すところは、子供の自立ですが、

未成熟な親が目指すのは、自分の願望達成、無価値感からの逃避、です。

以前投稿した記事の中で、健やかな家庭と、機能不全家庭は、少しだけ違うという状態は無く、真逆である、と言ったのですが、

その家庭の目指す場所が、最初から違っているのですから、

真逆の世界になるのです。

健やかな親は子供の巣立ちを後押しし、
未成熟な親は子供の自立を阻害します。


心が未成熟な親が、気がつくことは、決してハードルは低くありませんが、

出産と、子供の反抗期は、親が気づく大きなチャンスだと思っています。


この子が一人で生きられる様にと、

考えているか、どうか、

それだけ見つめてみて欲しく思います。


読んで頂いてありがとうございます。
感謝致します。


伴走者ノゾム






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